異世界傭兵物語~物理と魔法を極めた最強の魔族になりました。仲間と楽しく冒険したり、領地経営もしちゃいます!~

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第七十一話……最後の戦い【前編】

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 古城に戻った後。

 情報収取に務めると、アトラスやベリアルを殺したのは、ズン王国の宰相ラムザであることがわかった。





「ガウ殿! 猶予はあと一か月で頼みたい!」



「わ、わかりました!」



 ザームエル男爵は情報取集に協力してくれたが、あと一か月の間にこの問題を解決できねば、氷雪の巫女を討伐する軍を動かすとのことだった。



 それだけ、この異常な長さの寒波により、パウルス王国の民が疲弊しているとのことだった。

 背に腹は代えられない。

 寒波を収束させるために、氷雪の巫女に強訴する構えだったのだ。





「でも、エドワードはどこにいるポコ?」



「……うん、分からないけど、先ずはラムザから何とかしよう!」



 私達はドラゴに幌付きの荷車を牽かせ、吹雪の中、ラムザという男を探す旅に出るのだった。







☆★☆★☆



――1週間後。





「広いところポコね」



「大きいね!」



 街道を昼夜分かたず疾駆し、ズン王国の王都の外壁に着く。

 この王都はパウルス王国の王都より巨大で、その分、王都を囲う城壁は石造りではなく、簡素な土塁で覆われていた。





「よし、通って良し!」



「有難うございます!」



 幻惑魔法と偽の通行証で、王都の城門を突破。

 王都の中に入ることに成功した。





「ガウ、作戦はあるの?」



「ない。どうしよう?」



 宿屋の二階で、これからどうするかマリーに問われる。

 しかし、のんびりとしている時間は無かった。





「とりあえず、夜に忍び込んでみよう!」



「わかったわ!」

「わかったポコ!」



 特別な作戦はない。

 ただ単に闇に紛れ、宰相ラムザの邸宅に忍び込むことにしたのだった。







☆★☆★☆



 邸宅に音もなく忍び込み、守衛を次々に気絶させる。

 そして、執事のような老人を縛り上げることに成功した。





「宰相ラムザ殿はいずこ?」



「……存じ上げませぬ!」



「しゃべらぬと、この死霊が魂までも食らいつくすぞ!」



 スコットさんが鎌を掲げながら脅す。

 この世界では、死霊に魂を齧られると、死してもなお無限の苦しみを味わうという言い伝えがあった。



 このため、老執事は顔を青くして、口を開いた。





「……宰相様は、今日は自室からお出になっておりません」



「そうか、では、エドワードという騎士はどこにいる?」



 老執事は一瞬言葉を詰まらせるが、スコットさんの意味深な笑顔をみて、再び口を開いた。





「エドワード様は王城の地下牢にいらっしゃいます……、何卒お助けを!」



「約束は守る。だが、暫し眠ってもらうぞ!」



 老執事にマリーが睡眠魔法を掛けると、老執事はスヤスヤと寝息を立て始めた。





「よし、時間がないから、これから手分けしよう! マリーとポココ、そしてジークルーンは王城の地下牢へ行って最重要目標の黒騎士エドワードの身柄の確保。私とスコットさんは宰相ラムザの捜索!」



「わかったわ! ガウ、気を付けてね!」

「気を付けるポコよ」



「そっちも気を付けてね!」



 こうしてマリーたちと別れ、スコットさんと共に宰相ラムザの捜索を続けたのだった。







☆★☆★☆



 廊下で出合う、メイドや衛兵たちを縛り上げながら進む。

 次々に部屋の扉を開けて、内部を確かめていく。





「旦那様、どうやらここらしいですな?」



「……だね」



 ひと際立派な扉が施された一室があった。

 中に入ると、暗いながらも立派な調度品がおいてあるのが分かる。



 ……が、人の気配がない。

 大の大人が5人も眠れそうな豪華な寝具があったが、そこにもラムザはいなかった。





「ラムザがいませぬな!」



「だけど、この屋敷で他に部屋はない。どこかに隠し通路でもないかな?」



 あちこち家具を動かしてみた結果。

 この巨大な寝具の下に、地下へと続く隠し階段を発見した。





「旦那様、ありましたな」



「うん、降りてみよう!」



 私は地下へと続く、隠し階段を降りていった。







☆★☆★☆



 階段を降りた先は、地下通路が続いていた。



 かなり歩いただろうか……。

 地下通路の突き当りにある、上へと続く梯子を経ると、小さな古井戸から外へ出た。



 どうやら、ズン王都の外に出たらしい。

 顔を上げると、雲一つなく星が奇麗だった。





「旦那様、あそこに人影がありますぞ!」



「……ああ」



 人影に近づいていくと、その人影は豪奢な敷物の上に椅子とテーブルを並べ、高価そうな果実酒を嗜んでいるところだった。





「ズン王朝宰相閣下、ラムザ殿か!?」



「いかにも! 下郎、名を名乗れ!」



「……私の名は、ガウ・ベルンシュタイン」



 私が答えると、彼は果実酒の入ったグラスをテーブルに置き、薄ら笑いを浮かべながらに問うてきた。





「かの有名な魔族のベルンシュタイン公爵殿か……、ご用は何事かな?」



「お命頂戴致したい!」



 こう告げると、彼はもう一つグラスを用意し、果実酒を注いだ。





「……まぁ、そう言わず、君も飲まないかね? 今日は星が奇麗だ」



「貴方は、なぜ魔王ベリアルを殺めた? なぜ氷雪の巫女を悲しませる?」



 私は知っていることを彼に聞いてみた。





「……なぁんだ、全部知っているのか? じゃあ生きて帰すわけにはいかんな!」



 宰相ラムザがグラスをテーブルに置いた途端。

 気が付いた時には、彼の剣が私の右わき腹に刺さっていた。





「ぐはっ!」



 私は彼のテーブルに血をまき散らし、片膝をついた。





 ……一体何が起きた?

 何も見えなかったぞ。
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