宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――

黒鯛の刺身♪

文字の大きさ
53 / 56

第五十四話……消える兵器!?

しおりを挟む
『カーヴ、大した戦果ね! 流石だわ!』

 私は惑星ドーヌルに寄港中、通信モニターに映るセーラさんに褒められる。
 やはり敵の巨大な機動要塞を破壊したのだ。
 マーダを憎むセーラさんの喜びはひとしおだった。


「有難うございます。で、惑星アーバレストの様子はどうですか?」

『それがね……』

 セーラさんは曇り顔で言葉をつづけた。

 それによると、惑星アーバレストへ向かった惑星ドーヌルの防衛艦隊は、惑星アーバレスト近くの宇宙空間にてマーダ連邦の艦隊と交戦。
 人類側は大型艦が多かったので、長距離が有利と判断。
 長距離用のレーザービーム砲で攻撃を開始した。
 それに対し、小型艦艇の多いマーダ側は肉薄攻撃を敢行。
 戦いは混戦となった。


――結果。
 マーダの近距離からのミサイル攻撃で、人類側は大型艦を多数失った。
 人類側は、以前と同じく、マーダの謎のミサイル攻撃に敗れたのだ。
 その後、人類側は他星系からの応援もあり、戦線は膠着した。

 ……だが、安易に交戦すると、また破れる可能性が高いのではないかということだった。


「敵は、また実体弾による攻撃だったのですね!?」

『……ええ。私は詳しくないのですが、そう聞いています!』

「ふむう……」

――実体弾。
 それはレーザービームなどの光学兵器とは違い、ミサイルなどの質量を伴う昔からの兵器だった。
 実体を伴うため、質量や炸薬などの効果もあり打撃力は高かったが、その反面、弾速は遅く、容易に回避、又は迎撃されることが多かった。

 ……しかし、何度もこの実体弾にやられるということは、なんらかの方法で迎撃されないなど、未知の攻撃力を持つ兵器である可能性が高かった。


「……で、A-22基地の方はどうなんです?」

『未だ健在ということなんですけど、食料や弾薬が乏しいとも報告が来ています……』

「……そうですか。わかりました。至急対策を練ります!」

『カーヴ、お願いしますね』

 私は心配そうな顔をするセーラさんを宥め、超光速通信を切った。



☆★☆★☆

「旦那、どうします?」

「どうするもなにも、どんな堅陣だって補給なしには持たないさ」

 ブルーに返事をするが、クリシュナとて敵機動要塞と一戦交えた後だ。
 すぐにA-22基地救出に急行するわけにはいかない。
 整備や補給を行わねばクリシュナとて動けなかったのだ。

 惑星アーバレストのA-22基地は、マーダの地上軍に包囲されてはいるが、すぐに陥落するというわけでは無かった。
 今まで、沢山の資材を使って要塞化しておいたのだ。
 そう簡単に落ちてもらっては困るのである。


「出航する!」

「了解!」

 クリシュナは補給の為に帰港していたドーヌルの宇宙港を飛び立ち、整備と修理のために惑星アルファを目指した。
 結局、惑星ドーヌルでは技術力が足りず、クリシュナの修理が出来なかったのだ。

 クリシュナは二度のワープと通常航行により、無事に惑星アルファの氷の大地に着陸。
 整備のために宇宙船アルファ号に横付けしたのだった。



☆★☆★☆

「……なんだこれは?」

「どうしたんです?」

 私はクリシュナの整備を汎用ロボットのコンポジットたちに任せ、ウーサの店でタブレットモニターを覗いていた。
 モニターに映っているのは、件のミサイル兵器である。

 ……否、正確には映っていない。
 発射されたミサイルはすぐに消え、しばらくすると人類側の艦艇に命中していた。
 何がなんだかサッパリわからない。


「これなんで消えるんだろ?」

「私に聞かれましても……」

 私の問いかけに、困った顔をするウーサ。

 ……しかし、私は分からないですまされない。
 私は頭をかきながら、葉巻に火を付け、ロックのウイスキーをあおった。


「もしかしたら、隠れているんじゃないです?」

「……ぇ? 隠れるって? どこに?」

 何にもない宇宙空間のどこに隠れるというのだろう。
 ……まてよ、何もないわけじゃないな。

 宇宙にはまだまだ解明されていない謎がある。
 目に見えないだけで、謎の物質は漂っているかもしれないし、謎のエネルギーが存在しているかもしれない。
 そんな未知の場所が宇宙という場所だった。

 よって、ウーサが言うように、敵のミサイルが航行途中、どこかに隠れているかもしれないのだ……。


 その晩、私は酔ったままクリシュナへ帰った。
 艦橋でブルーに出迎えられる。


「おかえりなさい。……で、旦那、良い方法が見つかりましたか?」

「いい方法は見つからなかった……。もう撃たれる前に敵艦自体をやっつけるしかないな……」

「……ええ!? そんな無茶な!」

 ブルーは不満そうだったが、そもそも簡単に対策なんてうてるものじゃない。
 そんなに簡単に対策できたら、そもそも兵器として成立しないのだから。


「まぁ、飲もうぜ、相棒!」

「……飲みますか!」

 結局、その日は朝まで飲んで潰れた。
 よい案は浮かばないなら、せいぜい英気を養うことが、明日を戦う戦士にとっては大切なことだったのだ。

 惑星アルファの氷の大地にも、青白い朝日が昇る。
 ……そう、明けない夜明けなどないはずであった……。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派
SF
『科学の魔女は、空色の髪をなびかせて宙を舞う』 高校を卒業後、亡くなった両親の後を継いで工場長となったニ十歳の女性――空鳥 隼《そらとり じゅん》 彼女は両親との思い出が詰まった工場を守るため、単身で経営を続けてはいたものの、その運営状況は火の車。残された借金さえも返せない。 それでも持ち前の知識で独自の商品開発を進め、なんとかこの状況からの脱出を図っていた。 そんなある日、隼は自身の開発物の影響で、スーパーパワーに目覚めてしまう。 その力は、隼にさらなる可能性を見出させ、その運命さえも大きく変えていく。 持ち前の科学知識を応用することで、世に魔法を再現することをも可能とした力。 その力をもってして、隼は日々空を駆け巡り、世のため人のためのヒーロー活動を始めることにした。 そしていつしか、彼女はこう呼ばれるようになる。 魔法の杖に腰かけて、大空を鳥のように舞う【空色の魔女】と。 ※この作品の科学知識云々はフィクションです。参考にしないでください。 ※ノベルアッププラス様での連載分を後追いで公開いたします。 ※2022/10/25 完結まで投稿しました。

天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志
ファンタジー
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!??? そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...