連続殺人は一石四鳥

東山圭文

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連続殺人は一石四鳥

■エピローグ■

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■エピローグ■


 どれくらい眠ったのだろう。目を覚ますと、まず目に飛び込んできたのは真新しい真っ白な天井だ。すくなくともここは勇治の部屋ではない。もし部屋なら天井は木目の板張りだし、それも煙草のヤニのためだろうか、それとも単に築年数のせいだろうか、その辺のところは詳しく分からないけれど、いたるところが黒ずんでいる。そして独特の消毒液の匂い。紛(まぎ)れもなくここは病院だ。
「あら。目覚めたみたい」
 勇治の顔を覗(のぞ)き込んできた女は天使のような微笑みを浮かべている。さすがは白衣の天使。看護師かと思いきや、彼女は婦人警官の格好をしていた。それもそんな格好をしているのは、拳銃窃盗犯で連続殺人犯、それに麻薬使用の疑いまである大田久美ではないか。極悪非道の彼女は、懲りずに婦人警官のコスプレの格好で、なぜか逮捕もされずにここにいる。勇治は「ひえ~」と叫んで、布団を被(かぶ)り、身体をぶるぶる震わせた。
「警視。田中さん、怖がっています。やはり私たちはやり過ぎました」
 直樹の声が聞こえてきた。勇治には何を言っているのかよく分からない。
「小坂巡査。何を言っているの? この男にはこれくらい灸(きゅう)をすえてやらなければ。何しろわたしという女がいながら、あんな頭の中が空っぽのオンナのケツばかり追いかけていたのだから。まだ物足りないくらいよ」
「しかしながら大田警視。服部警視正もそうとうのお怒りじゃないですか。同期の中でせっかくのいちばん出世が……」
「おだまり!」久美の声が張り上がった。「今のわたしは出世なんか望んでいないつーの。そりゃあ北高に入ってしまったとき、がり勉のあんたと違って、演劇部の部長もやり、ヤンキーグループもスケバンとして束ねていたんだから。それでいわゆる二足の草鞋(わらじ)を履いて、必死ぶっこいて勉強したわ。だけれど現役ではどこにも受からなくて、浪人してもう一年必死ぶっこいて勉強してやっと東大に合格できたんでしょ。東大に入ってからも必死ぶっこいて勉強して国家公務員一種試験もパスして、がり勉一筋の小坂巡査よりずっと上に立ったわ。でもそれって結局は虚(むな)しかった。わたしは所轄の地域課に配属になって交番勤務でいい。いや、交番勤務がいちばんいいって」
「大田警視ほどの人物が、交番勤務がいいだなんて、もったいないです。なぜ、なぜなのですか?」
 久美の話を聞いて、勇治は驚いて布団の中から鼻より上を出した。そう言えば、佐藤北斗が殺されたとき、報道管制が敷かれているというのに事件のことも細かく知っていた。さらに久美の部屋に直樹が来たとき、婦人警官の制服を着た久美と会ったと言った。勇治はコスプレだと思っていたが、実は本物だったのだ。しかも久美がこの年齢で警視ということは、キャリア組のエリートだ。直樹なんか久美の足元にも及ばない。勇治の枕元に婦人警官の制服を着た久美が脚を組んで座っていて、勇治の足元にスーツ姿の直樹が直立不動で立っている。
 でも、あの大田久美が警視だなんて。落ち零れで北高でも問題児だった彼女が警視だなんて。勇治の頭の中は大混乱だ。
「期間が短かったけれど、新人の時の所轄での研修がいちばん楽しかったからよ。特に派出所。わたしの研修先は台東区の警察署だったけれど、近所のおじいちゃんやおばあちゃんから、まるで自分の孫のように扱ってくれて、御飯のおかずも貰ったしなあ。でも、今のわたしはロボットよ。犯人逮捕のためなら何でもする、心のない頭でっかちのロボット」
「でも結果的には今回の事件も、解決に向かっているではないですか。丸山亨二が自供して三キロほどの覚醒剤も押収できたのですから……」
 勇治は堪(たま)らず声を出して二人の会話の中に入っていった。
「あのお。何が何だかわけが分からないんですけど……大田久美って、連続殺人事件の犯人だったんじゃ?」
 久美は勇治の顔を覗き込んで、「フフフ」と笑った。
「優等生くん。すっかり騙(だま)されたわね。殺人事件なんか最初から起きていないのよ。事件は丸山と深田を追い詰めるために、わたしが考えたでっち上げだったってわけ」
 先ほどの二人の会話が本当なら、久美は東大卒の本物の優等生だ。そんな彼女に優等生くんと呼ばれると、こそばゆいというかいたたまれない気持ちに駆(か)られてくる。
「でっち上げって?」
 久美は大きく頷いた。
「佐藤北斗も井原栞奈も生きているわ。二人とも罪を認めて、いまは拘置所(こうちしょ)にいるわよ。それでこの二人だけど、わたしの変装と演技を使ってオトリ捜査で捕まえたの。わたしは中学や高校で演劇部の部長をしていただけでなく、東大でも新たに演劇サークルを立ち上げて、団長も女優も脚本も演出も中心になって活躍していたから、わたしも見事な演技と演出だったわね。いくら同級生で仲が良くても、覚醒剤の取引しているのがわたしだと二人にはバレなかったわ。ちょっと顔をいじくっているからかもね。麻薬捜査に関しては、基本的にオトリ捜査が認められているから、わたしが麻薬常習者の演技をして彼らに近づいて現行犯で捕まえるのは違法ではないのよ」
「でも、二人は殺されたって……」
 久美は首を振った。
「さっきも言ったでしょ、でっち上げって。なぜでっち上げたかというと、丸山たちの罪を暴くため。それも深田のアリバイが成立しない時間帯が死亡推定時刻になるように、二人をとりあえず殺してみようと考えたってわけ。その計画ももちろんわたしが立てたのだから、真犯人はわたしになるように、いろいろ考えたってわけ。そのタネはわたしの部屋で明かしたでしょ。冷凍した凶器で遺体を冷やして死亡推定時刻を送らせて、それを食べて証拠隠滅して。これって、一石三鳥どころか、一石四鳥の連続殺人計画ってわけね」
 驚いた。一石四鳥の殺人計画か。勇治は心の中で唸(うな)った。
「なぜ、そんなまどろっこしいことを? 殺人事件なんか計画しないで、普通に捕まえればいいのでは?」
 勇治の言葉に久美はゆっくりかぶりを振った。
「残念ながら、そうはいかなかったのよ。丸山は一年ほど前からマークしていて、昨年の十二月の初めに自宅アパートにも捜査令状を取って踏み込んだのだけれど、なかなかしぶとくて尻尾(しっぽ)を出さなかったわ。だからいきなり本丸に突入しても失敗するから、外堀から攻めたってわけ。まずは丸山の手下の佐藤北斗、そして常習者の井原栞奈。栞奈は丸山のアパートに踏み込んだ時に、部屋に一緒にいて、そのときに任意でしょっ引いたのだけれど、検査の結果はシロだったの。だけれど今回はあなたの推理どおりクロだったわ。でも二人が覚醒剤で捕まったことが知られたら、余計に丸山も深田も慎重になっちゃうでしょ。過去にもあの二人をしょっ引いたけど、尻尾を出さなかったから。だから彼らを慎重に追い詰めるために、佐藤と井原は殺害されたことにしたわけなのよ。深田のアリバイのない時間帯に事件をでっち上げて、覚醒剤ではなく殺人事件の捜査とでっち上げてね。そこで連中の尻尾を掴(つか)むために、あなたに十万円ぶんの覚醒剤を手に入れてもらうという重大な任務をお願いしたってわけ」
「それで俺が失敗して、怒ったわけか?」
「そう。マジでぶっ殺すって思ったわ。だって純白なシャブでなく、あの薄汚いビッチに十万円を使っちゃったのだから、シャブのありかを掴むことができなくなりそうになったばかりか、わたしのプライドがズタズタになったのよ。まあ、モデルガンを本物の拳銃と思い込ませるのも、小坂巡査に協力してもらったけれど」
 勇治は何も言えなくなって、目を逸(そ)らした。もし覚醒剤を手に入れていたら、久美の描いたシナリオどおりの展開になっていたのだろう。
「でも良かったわ、あのボイスレコーダーの中に超小型の盗聴器を仕掛けておいて。そうしないと手足を縛られたユウくんが、二人に何をされてしまうか分からなかったから。それに、キスだけじゃ、きっとユウくんのこと、忘れちゃうから」
 勇治の顔が上気して、再び布団の中に隠れた。あそこでの会話はすべて盗聴されていたのだ。だとすると……勇治は再び布団から顔を出した。
「だったら、俺が十万円で覚醒剤を買おうと交渉していたの、聞いていたよね?」
「確かにそうね。結局、それがきっかけで二人の自白を引き出せたわけ。そして二人が関わった覚醒剤の使用者が芋(いも)づる式に出てきて、この中に河合アリスもいるわ。アリスが捕まったことも、アリスを狙っていた優等生くんにはとても悲しいお知らせだけどね」
「っていうか、その優等生くんと言うの、やめてくれるかな。俺なんかよりもずっと大田のほうがすごいから」
 勇治が真顔で抗議すると、久美は照れくさそうに首を振った。そして腕時計を見た。
「小坂巡査。そろそろわたしは桜田門の本庁に向かわなければなりません」
「オオタケイシ。もうそんな時間ですか?」
 直樹は背筋をピンと伸ばして向き直り、久美は微かな笑みを唇に浮かべた。直樹の再三の言い間違いはオオタケさんではなく、オオタケイシだったことに、このとき初めて勇治は気付いた。
「そう。わたしはどんな処分でも甘んじて受けるわ。というか、もし警察をクビにならないで済んだら所轄勤務を願い出るつもり。それも交番勤務」
「警視。正気ですか?」
「がり勉の小坂もやめてくれるかな。わたしのことを警視とか大田警視とか呼ぶの」
「分かりました。女ジェイソン」直樹はそう言って敬礼した。
「もう。高校の時のあだ名もやめてくれる」久美は唇を尖らせた。そして再び勇治の顔を覗き込む。
「田中さん。今回はいろいろとご協力ありがとうございました。田中さんのご協力なしでは、容疑者逮捕にこぎつけられなかったと思っています。そしてわたしの個人的な感情から、最後は怖い思いをさせてしまい、申し訳なかったと思っています。本当にごめんなさい」久美はショートカットの黒髪を振り乱して深々と頭を下げた。
「いや、その……それで百万円は?」
「あれはご協力の謝礼とお詫(わ)びのしるしとして、田中さんがお納めください。その他にもわたしの初恋の人と短い期間でしたが恋人になっていただいたお礼の気持ちも込みですが」
 とはにかんだ笑みを見せた久美は、勇治に背中を向けて、紺色の背中が病室から出て行った。
 病室に残されたのは勇治のほかに直樹である。彼は久美に変わって、勇治の枕元の丸椅子に腰を下ろした。
「そうか。大田も警察官だったんだ。しかもキャリア組」
「そうです。だから怒ったら怖いのです。昨日なんかもこぴっどく怒られましたから。例の婦人警官の衣装のことで。あれは本当にパワハラです」
 勇治はプッと吹き出した。「ぜんぜん気付かなかったよ。例のコスプレだと思っていた」
「それと例の井村って男のことですが……」
「井村?」勇治は首を傾げた。
「松芝電気に勤めている男です。本名は井村等」
「思い出した。みなみの上客の男だ」
「彼、週明けには逮捕状が取れますが、松芝電気の金を横領して、深田容疑者に貢(みつ)いでいました。これが発覚したのも、田中さんの働きがあってのことです」
「いや。それほどでも」
 と、勇治が照れて頭を掻いたところで、ドアをノックする音が聞こえた。こちらが「どうぞ」という間もなく、ドアが開けられて、潤也が入ってくる。
「小坂。もう女ジェイソンは戻ってこないな?」
「名探偵。もちろんです」と直樹が椅子から立ち上がり、変わって潤也が椅子に座った。
「この社会のクズ。だから言っただろ。あの女に関わるなって」
「桜葉は最初から知っていたの?」
「最初からじゃない。途中からだ。お前から二キロの焼き肉と聞いたときには、大田が肉を凶器にして殺して、その肉を使って死亡推定時刻をずらして、その肉をお前に食わせたことくらいは推理していたぜ。あいつが浪人して東大に入って卒業して、国家公務員試験に合格して警察官になったということを知ったのは、その後だけれどな。とにかくジェイソンはやり過ぎた。きっと警察のトップからかなりの大目玉を食らってしまうだろう」
「だったら、大田が犯人だと分かった時点で、なぜ教えてくれなかったんだよ」
 勇治は唇を尖らせて抗議した。そうしてくれれば、同じ日に二度も死ぬかもしれないという経験をしなくて済んだと思う。
「この殺人事件には裏があると思ったからさ。前にもお前に言ったと思うけど、警察署のほうにモデルの仕事場なんて無かったのだ。それに小坂がお前に差し入れした水筒の件もあっただろ。偶然通ったのにお前に差し入れするなんておかしいからな。どこからか我々の調査依頼が警察に漏れたとしか思えなかった。どう考えても情報が漏れるといたら依頼主からしかないからな。それで怪しいと思って大田を調査したら素性(すじょう)が分かったんだ。どうせ水筒はジェイソンが小坂に持っていくように指示したんだろ?」
「名探偵のご指摘のとおりです」
 潤也の言葉に小坂は頷いた。勇治がみなみの調査をしているとき、潤也は別の調査が入ったと言った。もしかしたらこれは久美の調査だったのかもしれない。
 そして警察署の方から来たというあの言葉。消防署の方から来ましたと言って消火器を高価で売る詐欺(さぎ)が昔はあったというけれど、その逆バージョンのようだ。警察署の方ではなく、本当に警察署から来たのだから。
「でも、犯人が分かったのなら……」
「黙れ、クズ。てめえが女にだらしがねえからだ。どうせ、あっちも追いかけて、こっちも追いかけて、最終的には全滅だったんだろ? それにもう四万円は返せるよな。何しろ大金が手に入ったのだから」
 何も言えない。潤也の言うとおりだ。でも勇治にはまだ反撃のカードが残っている。
「桜葉はコンドームだけじゃなくて、同級生の女の子のパンティも被(かぶ)ったみたいだな」
「クズ、お前、まさか……」
 勇治は不敵な笑みを作った。
「そのまさかだよ。女ジェイソンからすべて聞いたぜ」
潤也はフーッと息を吐いて、薄笑いを浮かべて勇治の顔を眺めた。
「そんなの昔の話だ。それより今だ。今、どうやって生きているかが大事なのだ。それでさすがにクズも連戦連敗で落ち込んでいると思ってよ。俺がクズのために最高のプレゼントを用意しておいたぜ。入って!」
 それでドアがゆっくり開いて、「失礼します」と女の声が聞こえた。そして入って来た女に、勇治は目を丸くした。
 入ってきたのは山口広海だった。オンザ眉毛の髪の毛に、真ん丸の顔。セイウチかアザラシのような寸胴の肉体。勇治の元パトロン、こけしの出来損ないの女だ。
「誰か愛する人がいないと寂しいだろうと思ってよ、俺が電話してやったんだぜ。お前には悪いが、この一連の事件でお前がどれほどクズでゴミでゴキブリなのか、たっぷり話してやった。そしたら、それでももう一度、お前みたいなクズでゴミでゴキブリでもやり直したいと言うから、呼んでやった。感謝しろ」
「いや、感謝と言われても……」
 というか、よけいなお世話だ。百万円もあるから、キャバクラに通って、いいキャバ嬢をゲットする。勇治は心の中で潤也に向かって叫んだ。
「名探偵さん。我々は邪魔みたいですから、ここは若い二人に任せて」
 これは見合いじゃないし、若い二人なんかじゃない。勇治は心の中で直樹に向かって叫んだ。
「そうだな、小坂。ここは若い二人に任せて……」
「おいおい」という間に二人は出て行ってしまった。すると、病室に残されたのは若い二人。勇治と広海だ。
「勇治っち、会いたかった。本当に合いたかったよ」
 広海はそう言って横になっている勇治に抱きつき、病院の中だというのに構わず、いきなり大きなタラコ唇で勇治の唇を吸った。

●了●


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