逆転関が原殺人事件

東山圭文

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「申し上げます。秀忠の軍勢が西上を諦め、再び江戸に下り始めたとのことでございます」
 知らせを聞いた真田昌幸は不敵に笑った。
「信繁。上田に来たら、また一泡、吹かせてやろうか」
「秀忠を討つのでございますか?」
 信繁は居住まいを正して、父親に聞いた。今の秀忠軍は、まさに這這の体だ。この上田で散々に打ちのめせられ、美濃では家康の首が討ち取られている。兵数もかなり減り、士気もずいぶんと下がっていることだろう。それに天下に聞こえる名将・昌幸のことだ。そんな秀忠軍に戦いを仕掛けて、大将の首を討ち取るのも容易いことだろうと思った。
「ただ一泡吹かせるだけだ。絶対に秀忠は討ってはならぬ」
 信繁には昌幸の言う意味が分からなかった。どうせ戦うのなら、敵の大将を討ち取るのがいちばん良い。敵の士気は大きく下がるだろうし、打撃も大きい。
「父上。ここは秀忠を討つ、またとない好機です。大野殿が家康を討ったなら、我らが秀忠を討って、徳川に大きな打撃を与えることができます」
 昌幸はゆっくりと首を横に振った。
「秀忠軍は、もう上田原を攻めてくることはあるまい。おとなしく東山道を東に下るはずだ。和田峠に兵を忍ばせて、街道の上から攻撃すれば秀忠軍なぞひとたまりもない。秀忠の命を狙うのも容易いであろう。だが、秀忠亡きあと、徳川家はどうなる? 美濃で四男の忠吉も討ち死にしたという報告があっただろう。あとの男子はまだ幼い。そうなれば、関東に結城秀康がおる。これで、信繁、わしの言う意味が分かるか?」
 さすが、父上と信繁は心の中で唸った。
「はい。秀康より秀忠の方が組み易いということでございますか?」
「左様。それに関東にはまだ五万以上の軍勢が残っておる。秀忠軍と合わせると七・八万といったところか。同じ八万でも、八万の秀忠軍と、八万の秀康軍、どちらの方が組み易いかだ」
「それはもちろん、八万の秀忠軍でございます」
 昌幸は満足そうに頷いた。
「だからあくまでも、一泡吹かせてやるだけだ。決して大きな打撃を与えてはならぬ。打撃を与えれば与えるほど、徳川家中でも秀忠では心もとないという意見が出てきて、秀康に家督が譲られるやもしれぬ」
「でしたら、東山道を黙って通してあげればよろしいのではないでしょうか?」
 信繁の言葉に、昌幸はにたりと笑った。
「上田原に攻めてこないけれど、我が領内を敵が通るのだぞ。黙って通すわけにはなるまい」
 和田峠は東山道の中でもいちばんの難所だ。下諏訪宿と和田宿の間にあり、そのほとんどが山道で、馬が並んで通れない山の斜面の道や、切通の山道もある。ここは真田の領内だ。昌幸と信繁はそれぞれ五百ばかりの兵を率いて、街道沿いの山中に兵を忍ばせた。
「良いか。者ども。決して深追いしてはならぬ。そして狙うのは足軽隊ぞ。馬上の武士は決して狙ってはならぬ。それと相手の首を取って軍功を上げようなどと、思ってはならぬぞ。少しばかり敵を驚かせて、すぐ上田原に退く。良いな」
 信繁は父の言いつけを手勢に伝えて、秀忠軍が来るのを隠れて待った。


「いよいよ真田の領内。昌幸が何をしてくるか分かりませぬ。細心の注意が必要でございます」
 お梶の言葉に、秀忠は大きく頷いた。もちろん、もう一度上田城を攻めるなど、秀忠も言わない。兵の士気がすっかり失われてしまっているからだ。
 正信は考えていたことを提案する。
「若殿。ここから真田の領内を過ぎるまで、若殿の身代わりを大将に見立てて、若殿は一人の兵として行軍するのがよろしいかと存じます。そうすれば昌幸に命を狙われることもないでしょう」
 その正信の言葉に、榊原康政や大久保忠隣も頷いた。しかしお梶は浮かない表情で、首を傾げている。
「上田にも攻め込まないうえ、若殿が足軽に扮(ふん)して敵の目をくらまして真田の領内を過ぎたとあれば、敵より劣る兵ならいざ知らず、圧倒的有利な軍勢を率いておりますゆえ、真田を極度に恐れていると思われてしまいます。ここは堂々と、騎乗なさったほうがよろしいかと存じます」
「そうだとしても、若殿を旗印(武将が自分の居場所を明示するための旗)から遠ざけた方がよいでしょう」
 榊原康政が言った。彼は徳川四天王の一人で、姉川の合戦以降、多くの軍功をあげている。そんな康政の言葉にも、お梶は首を横に振った。
「いいえ。若殿は逃げてはなりませぬ。ここは若殿の旗印のお側にあって、堂々としたお姿を真田に見せつけていただきたいと存じます。そして若殿のお側には私めが馬回り(騎乗して大将を護衛する役目)として仕え、この命に代えても若殿をお守りいたします」
 結局、お梶の熱い情熱に、秀忠は従った。いつもどおりに、秀忠は峠を行進していく。秀忠のすぐ側には、騎乗したお梶が目を光らせていた。
 和田峠の頂上から、和田宿を過ぎるまで、真田の領内に入る。しかもその大半が、峠道だ。道幅が狭く、場所によっては馬が並んで進むこともできない。また切通しになっている個所も多く、道も曲がりくねっている。そんな場所に、敵がどこに潜んでいて、襲ってくるのか、およそ見当が付かない。ましてや敵は普通の武将ではない。誰もが認める智将・真田昌幸だ。一度ばかりか、二度も、徳川軍を敗走させている強者だ。数日前にも痛い目に遭っている。
 先鋒は真田信之、その後ろに忠隣と正信の隊だ。万が一、信之が裏切っても、数に勝る忠隣と正信の隊で撃退できる。その後ろに秀忠の本隊、後詰に榊原康政隊という隊列で峠を下っている。
 正信は後ろの秀忠に何かあってはいけないと、前方の山の斜面や崖に、目を凝らしながら、進んでいく。峠道を半分くらい下ったけれど、今のところ異常はない。万が一、秀忠の本隊に攻撃が加えられたら、正信ばかりか忠隣も康政も、すぐに駆け付けることができる。
 峠から半分ほど下った。今のところ何事もなく行軍できている。このまま何事もなく、通してくれるのか、と正信が思った瞬間、後方で銃声が聞こえた。正信は踵を返して、すぐ秀忠のもとに走り寄る。
 秀忠は無事だ。さらに後方の康政隊に仕掛けられたみたいだ。
「若殿。無事で何より。とにかくここは危険でございます。先を急ぎましょう。それがしが様子を見てまいります」
 正信の言葉に、秀忠とお梶が頷いた。隊列は再び行軍を始めた。
 正信は後方の康政隊まで馬を走らせる。秀忠の本隊は敵の攻撃を受けていなくて無傷だ。後詰の康政隊に辿り着く。
「正信殿。どうやらもう敵の攻撃は終わったようです」
 康政が正信に報告した。康政は馬を止めて、後方を見つめている。
「被害は?」
「まだ詳しく分かりませんが、侍大将は全員無事のようでございます」
 康政の報告に、正信は頷いた。そこに一人の武士が走って二人の前に跪(ひざまず)いた。
「申し上げます。敵はわが軍を攻撃した後、跡形もなく退散した模様です。我が方の被害も軽微!」
 報告を聞いて、正信は安心して自分の隊に戻った。


「殿。恐縮と存じますが、殿に提案したことがございます」
 三成が、福島正則と黒田長政の籠る清州城を眺めていると、そこに島左近が寄ってきて、畏まった。籠城兵一万足らずの清州城は、十万以上の大軍に囲まれていて、風前の灯火だ。それに清州はそれほど堅固な城ではない。
「左近。何じゃ?」
「はい。福島方への降伏勧告を、殿のお名前ではなく、島津様のお名前で出すのがよろしいかと存じます」
 左近の提案に、三成は耳を疑った。三成の名で降伏勧告を出せば、犬猿の仲である正則から突き返されるのは、さすがに三成も承知している。だけど島津だ。
「左近。備前宰相殿を差し置いて、島津殿だと?」
 宇喜多秀家は豊臣一門だ。それに五大老の一人である。島津義弘は石高こそ宇喜多家より高いが、豊臣家から見ると外様で、しかも秀家よりも官位は低い。それに、いくら軍功をあげたとはいえ、この戦に引き連れている兵も少ない。左近の言うことには無理がある。
「はい。福島正則は殿や小西様だけではなく、宇喜多様とも馬が合わないと聞いております。細川様のお言葉でしたら耳を傾けるでしょうが、彼は御味方になって、まだ間もございません。ここは経験も豊富な島津様を、と存じております」
 三成は腕を組み、目を閉じて考えた。三成は自分で、自分の人望の無さをじゅうぶんに承知している。正則への降伏勧告だけでなく、いま率いている十万以上の軍勢の大将も、だれかに譲ろうとは考えていた。
 それに、確かに左近の言うとおりなのである。細川忠興ならば、秀吉子飼いの武将で、なおかつ正則や長政と共に文禄・慶長の役で、朝鮮半島で軍功をあげて仲も良い。ただ、少し前まで豊臣家を滅ぼそうとした家康に味方をした者どもだ。でも、だからと言って、島津義弘を大将とするのは合点がいかない。北条・徳川・伊達を除けば最後まで豊臣に抵抗した外様だ。
「左近は島津殿を大将にせよと申すのか?」
 左近は首を横に振る。
「大将は五大老の宇喜多様に、と存じております。参謀役に島津様を置けば、わが軍もまとまるでしょう。島津様のお考えになった作戦なら、黒田様や細川様も従うと存じます」
 豊臣軍は二手に分かれて江戸に進軍することになっていた。東山道を下るのは毛利輝元を総大将とする毛利・吉川・小早川・安国寺軍およそ十万。吉川と小早川は毛利一族だし、安国寺恵瓊(えけい)は毛利の家臣だから大将を中心によくまとまっている。一方、東海道を下るのは宇喜多・小西・島津・石田・大谷・細川など、寄せ集めのおよそ十二万だ。その大将を務めるとなると、名実ともに備わっていないとできない。島津義弘だと「実」はあるが、「名」はない。その点、宇喜多秀家なら「名」は申し分ない。少し足りない「実」の部分は義弘がカバーすれば良い。
「では、早速、宇喜多様と島津様にその件をお伝えいたします」
 そう言って下がろうとしていた左近を、三成は止めた。
「左近。清州の次はどうなる?」
 清州の次と言うのは掛川のことだ。掛川城主の山内一豊も正則のように三成たちに従っていない。山内家は豊臣家の小大名として栄えたのだが、もともとは織田家の家臣だった家柄だ。そんなことも関係しているのではないかと、三成は思っている。
「清州が落ちれば、掛川も続くと存じます」
 左近と同じ考えだったので、三成は胸を撫で下ろした。東海道でこの連合軍に盾を突いているのは清州と掛川だけだ。それを過ぎれば駿河国まで反抗勢力はない。
 ただその後に、三成にはまだ不安がある。いくら二十万の大軍で攻めても、家康が十年近くの歳月をかけて作り上げた堅固な江戸城は、簡単に落とせそうにないことだ。
「左近。問題はその後だが」
「その後と申されますと?」
 左近は畏まって、三成の顔を見上げている。
「江戸だが、やはり上杉殿の力を借りないと、落とすのも難しいだろう。直江殿(直江兼次)とも書状を交わしたのだが、伊達と最上が領内に出陣してきて、兵を関東まで動かせないと返事がきたわ。せめて上杉殿と伊達殿が、和睦できぬものか?」
 もし江戸攻めに上杉や佐竹が加われば、味方は三十万の大軍になる。そうなればいくら堅固な江戸城でも落とせそうな気がしていた。でも左近は唇を噛んで、首を傾げた。
「秀頼公の名をお借りして、輝元様に和睦の仲介を頼んでみたのですが、伊達殿は姫を徳川に嫁がせる約束をしているうえ、偏屈ものゆえ……」
 秀頼の名前が出てきて、一瞬、三成は怯んでしまった。今はすべてを知る大野治長も徳川から豊臣に寝返っている。それも家康の首を討ち取ってだ。
 三成は咳払いをして、平静を装って左近の顔を眺めた。
「難しいのか?」
「おそらく」と左近は頷いた。「ただ、小田原の時のように、突然、死に装束で現れる可能性もございます」
 小田原の北条家と同盟関係にあった伊達政宗が、十年前の小田原征伐のとき、遅参して、秀吉に死に装束で現れたのは有名な話だ。関白になった秀吉が発令した「惣無事令」(各地の私戦を禁じたもの)を政宗は破って、会津の蘆(あし)名(な)家と戦って滅ぼしてしまったのである。それで秀吉の逆鱗に触れていたが、死に装束の演出で事なきを得たのだった。
「う~ん」と三成は唸った。おそらく政宗も三成のことが大嫌いだ。ひょっとすると、三成が豊臣方にいるから、政宗は家康方についているのだろう。
「殿。ひょっとして伊達様がお味方しないのは。殿のことが嫌いだからとお考えではないでしょうか?」
 左近にすっかり心の内を見透かされて、三成の背中が張った。
「伊達殿もわしのことを嫌っておるのでは無いのか?」
 左近は首を横に振る。「家康と大きな取引をしているものと思われます。徳川に味方し、もし上杉様を会津に封じ込めて家康方が勝利を収めれば、伊達様は会津領を取り返して百万石以上を約束されていると思われます」
「そういうことか……」
 三成は下唇を噛んだ。小田原の役のとき遅参した政宗は、苦労して蘆名家を滅ぼして手に入れた会津を、秀吉に没収されている。いくら「惣無事令」を破ったからとはいえ、政宗の心中に豊臣家に対する蟠(わだかま)りがあるのも、理解できる。
「やはり恩賞を見せぬと、動かぬか?」
「はい。恐れながら、殿のように純粋に秀頼公のために、という清廉なお方は少ないかと存じます。伊達様も家康のように百万石のお墨付きでも与えられれば、徳川に状況が不利と見るや、すぐにこちら側にお味方するかもしれません」
 純粋に秀頼公のために、という言葉に、三成の身体はぐらつきそうになった。でも豊臣家のために、というのは嘘ではない。三成は気を取り直す。
「左近。それは、おそろしくないか?」
 三成の頭の中に、政宗が会津で百万石を有する大名になった絵が描かれていた。伊達家はいわば、関東の北条家と共に、最後まで豊臣に楯突いた大名だ。伊達家を大きく加増してしまうと、豊臣家が弱体化したと見るや、東北の地で暴れ始めるに違いない。
「簡単でございます。徳川の旧領は上杉様が入って、関東を抑えればよろしいかと存じます。もともと上杉家は関東管領のお家柄。関八州に移封するとあれば、喜んで従いましょう」
 三成の頭の中に、兼続の顔が浮かんだ。兼続と三成は馬が合う。以前、酒を酌(く)み交わしたときに、兼続は三成にそんな話をしたことがあった。
 でも関東は上杉が抑えるにしても、まだ不安がある。
「それだけでは不安ではあるまいか?」
「はい。そこで旧伊達領には佐竹様が入られればよろしいかと存じます。そうなれば上杉様と佐竹様で、南北から伊達家を牽制(けんせい)できます」
「なろほど。それは面白い」
 三成の顔が明るくなった。
「殿。早速、毛利様に相談してみますか?」
 左近が目を輝かせて言った。家康が亡くなった今は、毛利輝元が秀頼の後見人だ。輝元が首を縦に振れば、それが豊臣家の意志となる。
「頼む。この話が進めば、面白いことになる」
 三成の言葉に左近は満足そうに頷いた。


「大阪から大野治長殿が、参られました」
「通せ」と上杉景勝は声を張り上げた。会津若松城の大広間に、大野治長が緊張した面持ちで現れ、景勝の前で腰を下ろし、頭を下げた。
 噂には聞いていたが、大野治長と言う男はなかなかの美男子だと、景勝は思った。そして所作も優雅である。
「中納言(※景勝の官位)様。お初にお目にかかります。私は豊臣家家臣、大野秀長でございます。この度は、中納言様にお願いの儀がございまして、参上いたしました」
「わしに願いとは何じゃ?」
「はい。東海道を下る軍が伊豆か相模、東山道を下る軍が上野に入ったのに合わせて、中納言様にも関東をお攻めいただきたく申し上げます」
 景勝は腕を組んで、顔をしかめた。というのも、家康が討たれたからといっても、簡単に関東へ出兵できない状況だ。
 会津の背後には、伊達と最上がいる。これらは徳川家と通じている。そして最上はすでに動き始めている。その動きを察知して、景勝は直江兼続に最上攻めを命じた。そして山形城の支城である畑谷城と長谷堂城を落としたところだった。山形城まで深追いさせなかったのは、そこに伊達の援軍が来ていたからである。伊達も最上も、美濃で家康が討たれたという報せは届いているはずなのに伊達は援軍を送っている。それに、下野には結城秀康の大軍がある。
「そう申されても、現状ではかなり難しい。今でも伊達・最上は不穏な動きを見せているし、下野には結城秀康の大軍もおる。秀康は父親に負けぬ猛者(もさ)ゆえ、手こずることは必定。その間に、伊達・最上に背後を突かれたら、わが軍は痛手を被るどころの騒ぎではない」
 景勝の言ったことは、治長にも伝わっているはずだ。しかし治長の顔は、笑みを浮かべているように見えた。
「その件につきまして、まずは伊達様ですが、いま山形付近まで出陣されている政宗公は、会津に進軍せずに、そのまま山形城を攻めると、我らに約束してくださりました。殿にはそれを見届けてから出陣ということになりましょう」
 発言したのは治長ではない。上杉家家老の直江兼続だ。いつの間にか兼続は、治長の横に座って景勝を眺めている。
 景勝は驚いた。山形城は最上家の本城である。伊達政宗がこちらに味方し、最上家を攻めるのだ。
「兼続。それは真(まこと)か?」
「はい。最上の長谷堂城を落としたとき、それがしが政宗公に使いを送りましてございます。もし伊達様が山形を攻めて会津に進軍しなければ、今まで家康に味方したことも、この上杉家が秀頼公に口添えいたすことを約束しました」
 これで北の憂(うれ)いがなくなった。だけれど、これで上杉軍が関東に進軍できるというわけではない。下野には結城秀康の大軍がある。
「それで、結城秀康だが……」
「はい。下野から退却するものと存じます」
 答えたのは治長だ。景勝は治長の顔を眺めた。だけれど、治長の言うことは、景勝には信じられない。
「その根拠は?」
「はい。東山道を下る毛利様と真田様が合流して上野に、東海道を下っている石田様の軍勢も相模に、それぞれ十万以上の大軍で侵攻いたします。そうなれば結城秀康は、下野を守っている場合ではございませぬ。江戸に退くことでしょう。そうなれば下野の守りも手薄くなりましょう。そこを上杉様と佐竹様で攻め込むのです。そうなれば安房の里見様も、上総に侵攻するのです」
「なるほど。それで徳川は袋の鼠か」
 これは面白くなってきた、と景勝の胸が高まった。結城秀康が江戸に退けば、下野に残るのは宇都宮城主の蒲生秀行だけだ。蒲生家はもともと会津を領していたが、宇都宮に減封された大名家だ。秀行は家康の娘を妻にしているから、今は徳川一門と言っても過言ではない。そんな秀行は家康や秀康に比べると、凡庸な武将だ。父親の氏郷と比べてもかなり劣る。それに年齢も若く、経験もない。下野に秀康がいなくて、背後から伊達が攻めてこないのなら、下野はそれほど苦労することなく上杉領になる。
「それで中納言様。徳川が滅んだ暁には、もともと関東管領家の中納言様には関東に移っていただきたく存じております。これは豊臣家の意向です」
 治長の関東管領という言葉に、景勝は胸を躍らせた。上杉家は関東管領家として、関東の武士や豪族を管理しなければならないのだ。その大義名分のため、義父の謙信は北条家と争ったが、上野国を取ったり取られたりして、関東に覇を唱えることは無かった。偉大な父親でも出来なかったことを、この景勝ができるのだ。
「それで、治長殿。我らが関東ということになると、この会津には誰が移ってくるのか?」
 兼続が治長に向き合って尋ねた。治長は景勝に身体を向けて答える。
「会津には伊達様が入られる予定です」
「それだと、上杉家の背後には、また大きな敵がおることにならぬか?」
 兼続の言葉で、景勝は我に返った。確かに兼続の言うとおりだ。伊達政宗という男は、かなりの野心家だ。十年前に葦名家を滅ぼして会津に進出したとき、次に狙っていたのは関東だと聞いている。
「安心してください。今の伊達領には佐竹様が入れば抑えになることでしょう」
「おお、それは心強い」
 思わず景勝は声をあげた。伊達の後ろに佐竹家がいれば安心だ。佐竹家の当主・義宣(よしのぶ)はとても律儀な男だ。政宗が野心を剥き出しにして関東に侵攻してくれば、彼が黙っていないだろう。背後にいてくれれば本当に心強い。
「ところで、治長殿。江戸は小田原以上の堅城のうえ、籠城兵も多く、さらに結城秀康も江戸に籠るとなると、これだけの大軍で攻めても、容易には落ちぬと思うが、太閤殿下が小田原でしたように、徳川の家臣のなかに内通者でもおるのか?」
 兼続は北条家の家老の松田憲秀のことを言っている。小田原の役の時、憲秀は秀吉と内通したが、それが北条家内で露呈して監禁された。でも家老の内通ということで、北条家は瓦解して、降伏に繋がったのである。石垣山に作った一夜城もあるが、家老の内通による打撃も、北条方には大きかったはずだ。
「徳川家は、なかなか家臣の結束が強く、うまく切り崩しができませぬ。小田原の役の時の松田殿のような仕置きを恐れているのかもしれませぬが……」
 治長は言いよどんだ。松田憲秀は小田原落城後、秀吉から切腹するように命じられた。天下統一を果たした秀吉に、憲秀のように主君を裏切る不忠の臣は不要だったからだ。
「ならば、降伏を勧めてみるのはいかがか。佐竹様が抜けた常陸に移封となれば、条件はそれほど悪くなかろう」
 治長は首を横に振った。
「常陸には真田様、と考えております。徳川にはその真田領か、出羽の大曲あたりと言うことになるでしょう」
 治長の言葉を聞いて、景勝は首を傾げた。いくら豊臣家に敵対したとはいえ、城を囲む前の降伏勧告で、旧真田領に移封となると、あまりにも酷すぎる。もし景勝が徳川家の当主であれば、拒否して籠城するだろう。もちろん上杉景勝としてもこんな移封なら拒否をする。会津からの移封でも二十分の一の石高に、徳川家の関八州からだと四十分の一の石高になってしまう。
「そんな条件、徳川も飲まないだろう」
 景勝が言うと、治長は畏まったまま、顔を上げた。その顔が不気味に笑っている。
「さすがに飲まぬことでしょう」
「飲まぬ場合、かなり苦戦すると思うが……」
「その場合のために、困難ですが内部工作はすすめております」
 端正な顔の治長は、薄く笑った。


 東山道を下っていた徳川秀忠の軍勢は、途中で真田昌幸の攻撃を食らったものの、何とか江戸に戻ることができた。
 そして江戸に戻るや否や、重臣が集められた。徳川に降伏を勧告する使者が、大阪から来たのである。参加しているのは、秀忠・秀康の兄弟、榊原康政、大久保忠隣、お梶、美濃から無事に帰ってこられた井伊直政と本多忠勝、そして本多正信である。本多忠勝は、右腕を負傷していた。忠勝は正信の顔を見るなり、舌打ちをして睨みつけた。なぜ美濃に遅参したのか、この腰抜けめ、と心の中で罵っているのは正信にもよく分かる。
 正信と忠勝は本多一族で、先祖は同じで血が繋がっているが、仲がとても悪い。正信は相手にしていないが、謀略と算盤(そろばん)で出世した正信のことを、忠勝は「腰抜け」と揶揄(やゆ)している。忠勝は正信と違って、徳川四天王の一人に数えられ、武勇伝を多く残している武将で、今までは戦場で傷一つ負わなかった。そんな彼が、この度の戦で深い傷を負って帰ってきたのである。美濃の戦いに間に合わなかった秀忠に従軍していた正信たちは、体面が悪い。
「さて、集まってもらったのは、この度、大阪から使者が来て、降伏を勧めてきた。その内容は徳川家の関東を没収し、信州上田、もしくは出羽大曲で徳川の存続を許すというものだ。そこでみなの意見を聞きたい」
 秀忠の言葉に真っ先に反応したのは、忠勝である。
「そんな内容、飲めますか。使者を追い返して、敵と一戦、交えるのみ」
「拙者も、忠勝殿の意見に賛成です。こうなれば関東に敵を迎え入れて、叩き潰しましょう」
 若い井伊直政も続いた。この軍議に出ている者の中でいちばん若い。しかし彼も赤鬼と賞されるほど、勇猛な武将だ。
「これはわしも同じ意見。敵は二十万以上あっても、一斉に行動するわけではあるまい。敵の一つ一つを撃破していけば、勝てる可能性も高くなってくる」
 結城秀康も鼻息を荒くして続いた。弟の秀忠とは違って、彼も勇猛果敢な武将だ。座った姿勢も威圧感があって堂々としており、雰囲気は父親譲りだ。隣に座る秀忠が、どうしても頼りなく見えてしまう。
 その秀忠は小さく頷いた。そして正信と康政と忠隣の顔を眺める。
「そなたたちはどう思っているのか?」
「はい。それがしも、これだけひどい要求は飲めないと思っております」
 答えたのは、榊原康政である。彼も四天王の一人で武勇にその名を天下に轟かせているが、秀忠に従軍していたので、正信と一緒で肩身が狭い思いをしているのが分かる。
「分かった。それでは正信はどう思っておる?」
 秀忠の目が正信に向いた。同時に忠勝の厳しい視線も感じる。
「はい。それがしは、この要求を受け入れるべきかと存じます」
 正信の言葉に場が静まり返った。そんな正信にまず反応したのは、忠勝だ。
「最初から負けると見るとは、やはりそうとうの腰抜けぞ」
「そうだ。さっきも申したが、敵が二十万いようが、三十万いようが、それが一つになる前に一つずつ叩けば良い。そうすればおのずと勝機が見えてくるというものだ」
 秀康が続いた。彼の口調も荒々しい。
「しかしながら、東山道も東海道も、下ってくる軍勢はどちらも十万を越えております。しかしこちらの最大動員兵力は、もともと十万程度。戦で多くを失った今は八万程度でございます。そのうえ、上杉や佐竹が攻め込んできたら勝ち目はございません」
 正信の反論に、忠勝が嘲笑を浮かべた。
「それだからお主(ぬし)は腰抜けと呼ばれるのだ。上杉と佐竹の背後には伊達様がおろう。辰千代君と伊達様の姫は婚約されておる。いざとなれば、その伊達様が会津に攻め込んでくるのだぞ」
 辰千代(松平忠(ただ)輝(てる))とは家康の六男である。その辰千代と伊達政宗の長女・五郎(いろ)八(は)姫は、昨年婚約している。婚約しているとはいえ、辰千代はまだ八歳で、五郎八姫もまだ六歳。婚約をしただけで輿入れもまだで、一緒に暮らしているというわけではない。そして辰千代も、秀康同様、父の家康から遠ざけられた子どもだ。それは秀康と同じで、母親の茶阿局(さあのつぼね)の身分が低かったというふうに正信は推測しているが、そればかりは家康に聞かないと理由が分からない。
 正信は居住まいを正して、忠勝に向かい合った。
「政宗公は我らとの約束を反故(ほご)にして、上杉が関東に攻めても、会津には動かないかもしれぬ。伊達家もお家のために有利な方に付くだろう。もし上杉が関東に攻め込めば、それで我らが不利となる。そうなれば、辰千代君との婚約も破断にして、岩出山を動かぬかもしれませぬ」
 正信の言葉に、忠勝は再び嘲笑した。
「伊達様は小田原の役で遅参したときに、この徳川に助けてもらったという恩義がある。その恩義を忘れると思うか?」
 徳川が助けたというのは、政宗が遅参したとき、家康が秀吉に口添えして助けたということである。
「恩義よりも、お家存続の方が大事ではござらぬか。そう考えれば、上杉が動いても、伊達は動かぬ」
 忠勝は正信の顔を睨みつけた。
「正信殿は腰抜けのうえに、不忠義者とみたわ。それがしもお会いしたことがあるが、伊達様はお主のような腰抜けで不忠義者とはまったく違うわ」
 十歳も年下の忠勝から腰抜けのうえに、不忠義者とまで言われてしまった。さすがの正信も腹が立ったが、言い返せば言い合いになる。ここはぐっと堪(こら)えることにした。
 しかし忠勝は続ける。
「それに美濃に間に合わなかったのも、この腰抜けで不忠義者のせいであろう。若殿の軍勢が間に合っておれば、殿も討ち死にすることはなかった。というより我が方の大勝利だったはずだ」
「忠勝殿。それは少し言いすぎであろう。徳川にとって、真田は喉に突き刺さる魚の小骨のような存在ぞ。小骨は早々に取り除いておいた方がよかろう」
 助け舟を出してくれたのは秀康だ。秀康の言葉で、さすがの忠勝も体(てい)が悪そうに、唇を一文字に結んで押し黙った。
「それで、正信。どうして要求を受け入れた方が良いのか、申してみよ」
「はい」正信は秀忠に身体を向けた。「もしも徹底抗戦した場合ですが、小田原の北条家のようにお家存続が許されないかと思っております。でもここで我らが要求を飲めば、たとえ十万石でも、一大名家として徳川のお家を存続することができます」
「正信殿。存続と言っても、国持ちでもないし、三河や遠江などの旧領のどこかに戻れるわけでもない。邪魔者として僻地に追いやられるだけではあらぬか」
 大久保忠隣が言った。彼は秀忠の側近の中でもいちばんの側近である。軍事はそれほどでもないが、奉行として優れた能力を発揮している人物だ。そんな彼は、正信に対抗心を剥き出している。正信はあまり相手にしていないが。
 正信は忠隣に顔を向けた。
「忠隣殿。この江戸の地も、もともとは僻地であったでござらぬか。城も小さく、目の前に海が迫り、満潮になると潮水が城内に入り込んで、潮が引くと葦が生い茂る湿地帯だったではござらぬか。平地も少なく、背後は原野が広がる未開の地であったはずですぞ。飲み水を得るのも苦労した。そんな江戸を、神田山(神田駿河台あたり)を切り崩した土で湾を埋め立てして平地を広げ、城を拡張し、吉祥寺村から小石川上水を整備して飲み水を確保できるようになったのも、忠隣殿がおられたからこそ。また新たな地に徳川が移封されても、そこで忠隣殿が開発に携わってくれれば、石高もすぐに跳ね上がりましょう」
「そうは言っても、正信殿。ここ江戸は特別な地ですぞ。海に面しているから、埋め立てれば平地を広げることができる。その平地を作る台地も、城の背後にいくらでも広がっている。亡き大殿も、ここはいずれ大阪を抜き、日本一の都市になると仰せられた。しかし上田や大曲はどうか。そこには海もない。海が無ければ、広い平地も作れず、さらに諸国との交易も盛んにできぬ。塩を得るのも、一苦労でございます」
 忠隣の言うことが、尤(もっと)もなのだろうと正信は思った。何も無かった江戸が、この十年でここまで発展できたのは、確かに海があったからであろう。
「で、お梶殿はいかが考えている?」
 秀康は末席に控えるお梶に目を向けた。女子とはいえ、お梶は智謀と武芸に優れており、家康の時から軍議に出席している。今日は女子らしく優雅な着物を着ていた。
「はい。私も要求を突っぱねて、敵と戦うのがよろしいかと存じます。そのさい、秀康様のおっしゃるとおり、敵軍を各個撃破していく作戦を取るのが良いかと存じております。その際、まずは東海道を下る敵がいちばんの弱点と思いますので、小田原か箱根に軍を集めて、敵を叩きます」
「何故、東海道の軍勢か?」秀康が微笑みを作った。
「はい。敵の弱点から討つのが戦では大事と、亡き大殿も仰せられておりました。そのさい東海道の敵は、形式上は宇喜多秀家が大将となっていますが、実際の大将は治部少輔です。その治部少輔を快く思わぬ輩も多いので、確かに大軍ではございますが、まとまりに欠けています。ここに我が方の主力をぶつければ、撃破するのも可能かと存じております。撃破すれば、毛利も退く可能性がありますし、数でも互角に持っていけます」
「さすが、お梶殿だ。わしと同じ考えだ」と秀康は満足そうに頷いた。「それで、若殿はいかが考えているのか?」
 今度は秀忠に顔を向けて尋ねた。秀忠は困惑したように顔を歪(ゆが)める。
「皆の意見を聞いて、決断しようと思っていました……」
「すると、若殿も大阪方の要求を拒否するということで良いか?」
「まあ……そういうことになります……」
 秀忠は小声で頷いた。兄の秀康に威圧されたように、正信には見えた。
 でも、これで決定だ。徳川は大阪方の降伏勧告を拒否することになる。正信も腹を決めた。
「すると今度は大阪方の大軍を迎え入れてどう戦うかだ。わしは先程も申したが、敵が二十万いようが三十万いようが、それが一斉に行動することはできぬと存ずる。そこで各個(かっこ)撃破(げきは)が肝心だ。お梶殿の申すように、特に東海道を下る軍は寄せ集めでまとまりに欠ける。これを要害の地、箱根の山中城か、堅固な小田原城で迎え撃つ。そちらに出来るだけの兵力を集中するのだ。これを撃破できれば、後は東山道を下る毛利との闘いだ。あちらは毛利一族という面で、ある程度まとまりがあるし、真田も付くから厄介な敵になろう。だが東海道で負けたとなれば、お梶殿の申すとおり、毛利は兵を退くかもしれぬ。攻めてきても、我が方が士気も上がっている。そうなれば野戦でも籠城戦でも、じゅうぶんに勝機があろう」
「それがしも秀康様に賛成でございます。大軍を迎え撃つなら、敵が分散している間に弱い所から討っていくのがよろしいかと存じます」
 井伊直政も賛成に回った。その横で、本多忠勝も頷いている。
「あとは敵軍の中に内通者を作るのが良いでしょう。特に東海道の軍は作り易いのではござらぬか?」
 榊原康政が正信の顔を眺めた。敵への謀略は正信のお家芸だからだ。
その筆頭に来るのは、やはり福島正則と黒田長政だ。正則の清州城は、敵の降伏勧告に従ったという報せが入っている。その正則と長政は石田三成と馬が合わない。合わないどころか、憎みさえしている。いわゆる犬猿の仲だ。とにかく東海道を下る三成には敵が多い。正則の他にも、細川忠興や池田恒興といった、もともと徳川に与(くみ)していた武将は、落とせなくもない。豊臣家にそれほど恩顧を受けていない、島津義弘もいる。特に東海道を下る敵は、確かに一枚岩ではない。ただ失敗する可能性もある。
「やって出来ないことは無いかもしれない。ただ大殿亡きいま、我々の誘いに乗ってくれるかは分かりません」
 正信は正直に答えた。すべて家康という名実ともに全国で二番目の偉大な棟梁がいたから、敵方も多く内応してくれたのだ。その家康がいない今、実績のない秀忠の名前で応じてくれるのかは、まったく分からない。
「でも、東海道を下る敵方には応じてくれる家もあろう。やってくれるか?」
 秀康の目が正信に向いた。正信は「承知いたしました」と答えた。
「それでは下野には蒲生軍を残して、あとは相模の小田原に移そうと思う。そこで敵を迎え撃つまでだ。お梶殿もわしの参謀役として、小田原にきてほしい」
 お梶は「畏まりました」と上品に頷いた。秀康は洋々と顔を輝かせた。
 
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