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1章 チュートリアル

27話 決着…?

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27話

__気づくと、目の前でウル太郎が項垂うなだれていた。

「…あ?」

 目立った傷は見当たらない。しかし、動く気配がない。

 一瞬何が起きたのか分からず、記憶をたどる。

 魔王が放った光。避けきれず死をさとり、目をつぶっていた。まぶたをすり抜けて入ってくる光を一瞬さえぎった影。

「お前…何で…え、起きろよ」

 ウル太郎の体をゆする。反応は無い。

「…トウジ!危ない!」

 カルミアの声が聞こえて顔を上げる。目の前に大剣を振り上げる魔王の姿が映る。

「死ね」

 振り下ろされた大剣が目の前に迫る。

 瞬間、目の前に黒く小さな何かが飛び込み、攻撃をゆるめた。思考が追いつかない内に景色が変わる。

「危なかった…トウジ、大丈夫!?」

「あ、あぁ…それよりウル太郎が!」

「見せて。…鼓動こどうはある。致命傷ちめいしょうも見当たらない…どうなってるの」

「__乗り移られたな」

「乗り移られたって…さっき言ってたのか?」

「あぁ。あの紫色の光は、無数のたましい怨念おんねんの集まりだ。れた者に取りいて心をむしばんでいく、あの感覚は気持ち悪かったわ」

 絶句ぜっくした。人を、生き物を、死者をもてあそぶような力にいきどおりを感じた。

「…ちょっと、トウジ!」

 立ち上がり、魔王へと向かう冬志にカルミアが止めに入る。

「待って。今行くのは危険よ」

「…ウル太郎がいなきゃ勝てないってか」

「そうじゃない!光のことを聞いて危険だと思ったの」

「ダイフィルトがいるから大丈夫だ。それに、早くウル太郎を助けてやらないと」

 そう言うと、カルミアは黙り、それを見た冬志はまた魔王の元へ走り出す。

 『闘争心』や『怪力』などのスキルを全て発動させ、短期決戦たんきけっせんへ持ち込む。

「…うらぁ!」

 剣を振り上げ、渾身こんしんの一撃を与える。

 それを魔王は大剣でなぎ払う。

 吹き飛ばされるがすぐに体勢を整えてもう一度走る。

「トウジ、いくよ!」

「頼んだ!」

 カルミアの召喚魔法で冬志が瞬間移動を繰り返す。魔王の死角へ入り背中に攻撃を当てる。瞬時しゅんじに相手の射程範囲外しゃていはんいがいに出る。剣を後ろへった勢いで体勢をくずした魔王へ更に一撃を加える。

「そう何度も同じ手を使えると思うな」

「なっ…」

 魔王は体をねじり、勢いそのままに攻撃してきた。瞬時しゅんじに身をかがめ、避ける。『闇撃やみうち』の連発と通常の斬撃を一点に集中させダメージを蓄積ちくせきさせる。

「お、らぁ…!」

 そして…右足を切断、魔王がよろめき、倒れる。

 今だ。大チャンス。首へ剣を振るう…

「ここが魔王の城ォ?廃墟はいきょじゃねーのか、おい」

「っ!?」

 突如とつじょ、現れたそれは、一瞬で魔王をふみ潰し、あくびをしていた。
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