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第10話 奇跡の公開と真実
しおりを挟む公開初日。
映画館の前には、夜明け前から長蛇の列ができていた。
だが世間の空気は冷ややかだった。
「炎上映画、大コケ必至」
「史上最低のキャスティング」
ワイドショーや週刊誌は嘲笑を繰り返し、映画評論家ですら「公開前から失敗は見えている」と断じた。
---
だが。
最初の上映が終わった瞬間、空気は一変した。
暗闇の中、エンドロールが流れる。
そして――拍手。
一人、二人、やがて観客全員が立ち上がり、スタンディングオベーションが鳴り止まなかった。
「最高だった……!」
「泣いた、まさかあの5人でここまで……!」
「青が本当に役者になった!」
「不破のEPEP、震えた」
「ガブリエラの日本語の叫び、鳥肌だった」
SNSは #律の奇跡 #伝説の5人 で埋まり、口コミは瞬く間に広がった。
批評家たちも掌を返し、「史上最大の実写化成功」と絶賛した。
---
プレミア上映会
ステージに並ぶ5人と、原作者・倉木。
ライトを浴びた彼はマイクを握り、静かに口を開いた。
「十年前――上三川のサファルビイベントで、私は夢を諦めかけていました」
観客がざわめき、会場が静まり返る。
「その時、ここにいる五人が……私を救ってくれたんです」
倉木は一人ずつに視線を送った。
「大神社君。夢を失いかけていた君の姿が、颯を描くきっかけだった」
「古場君。ステージで最後まで歌い切る姿に、勇気をもらった」
「不破君。酔客から守ってくれた背中を、今も覚えている」
「田代君。スベった私に“俺もスベった”と笑わせてくれた。その一言で生き返った」
「ガブリエラさん。片言で“夢を信じて”と伝えてくれた。あれがなければ、私は漫画を続けていなかった」
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5人は呆然と倉木を見つめ、やがて涙を浮かべた。
観客席からすすり泣きが聞こえる。
「だから――これは復讐じゃない。私の“ありがとう”なんです」
倉木の言葉に、会場は拍手の嵐に包まれた。
5人の目から、静かに涙がこぼれ落ちた。
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