【短編まとめ】おっさん+男前+逞しい受詰め合わせ

天城

文字の大きさ
32 / 76
騎士団のエースに捕縛された盗賊の頭領ですが尋問も拷問もなく囲われて溺愛されています。

十八話

しおりを挟む



「闇魔法に巻かれてる最中に光魔法を使うのは御法度だ。下手をすれば周囲を巻き込む大爆発を起こす」
「そうなのか」
「いつものルーファスなら気付くはずだが」
「……ん?」
「まあそれはいい。先に医務室だ。……おい、此処は任せたぞ。もうすぐレイモンド卿が到着するはずだ」

 昏倒を免れていた騎士達が、表情を引き締めて返事をする。それを見届けてから、団長は俺を伴って部屋を出た。ジョシュアもついてきたが、……こいつあの部屋の中で昏倒してないのか?魔力耐性まであるとか何者なんだ

「レイモンド卿というのは、宮廷魔術師の長です」


 こそこそとジョシュアが教えてくれるが、俺にはなんで宮廷魔術師がこんなところに呼ばれたのか皆目見当もつかない。
 俺の表情からそれが判ったのか、団長がルーファスを担いだまま補足をしてくれる。

「魔力紋、というものがある。指紋と同じで二つとないカタチが、魔術師には見えるという。今までルーファスにかけられた闇魔法の魔力紋は、巧みに隠蔽されていて掴めなかった。恐らくあの女には、指紋を手袋で隠すように魔力紋を隠蔽することが出来たんだろう」
「……それが今回、残ってるって?」
「ああ。先程の様子では、余裕は彼女になかったはずだからな。現行犯だが、後で騎士の証言などでっち上げだと言われないためにも、レイモンド卿を呼んだ」

 聞けばマリーはあの調子で何度も騎士団の詰め所に現れて、ルーファスや他の騎士達の仕事の邪魔をしていたらしい。不意を突かれてルーファスが闇魔法にかけられる事も何度かあったが、その度に犯人を捕縛できず悔しい思いをしていたらしい。
 
「犯罪は、犯罪です。マリー様も、もう言い逃れは出来ませんよ」

 スン、と取り付く島もない様子で言ったジョシュアは、チラチラと俺の腹を見ていた。服にじわりと血が滲み始めている。腹筋でしめつけていても、歩いていると傷が開くのは仕方なかった。それでもナイフを引き抜いてしまえば恐らく出血はこの比じゃないだろう。

「何にせよ、上手くいったなら良かったな。これでルーファスも安心して家に帰れるだろう」
「……」

 急に無言になった団長は、医務室に着いてすぐルーファスをベッドに下ろした。
 そして、そのまま俺の傷を診はじめる。向こうもゴタゴタしてるだろうに、戻らなくて良いのか?そもそもこの医務室には専用の医師がいるようだが?なんなんだこの待遇は。

「……先日、お前を自分のものにして連れ帰るとルーファスが言った時、実は騎士団ではひと悶着あった」
「……」

 今度は俺が黙る番だった。
 団長は慎重にナイフを引き抜き、止血をして傷を手早く縫合し、薬草とガーゼをあてると包帯を巻き始めた。あまりに手際がよくて、戦争の最前線部隊の医療班かと思う。そのくらい迷いのないやり方だった。もしかして、団長になる前は結構やばいところにいたのか?

「何故、お前のような厄介事を自分から背負い込むのか、誰も判らなかった。だが、今日お前がルーファスをあの娘の館から連れ帰ったことで、騎士団の全ての団員が納得した。誰もが成し得なかった、お前だから出来たことだ。これはもう、信用しないわけにはいかない。……騎士団を代表して礼を言おう。ルーファスを助けてくれて、感謝する」

 淡々と治療をし、それだけ言うと団長は戻っていった。事件の事後処理に指揮官がいないわけにはいかないからだろう。壮年の偉丈夫を前にして少しばかり気圧された感があって恥ずかしくなった。おれもまだまだだな。先代だったらもう少し気の利いたことが言えただろうに。

 傍らに控えていたジョシュアに助けを求めるように、チラと一瞬視線を向ける。するとあからさまに深いため息をつかれてしまった。

「ザザ様の下町人気はメイド長から聞いておりましたが、女性のマリー様だけでなく団長までも……。ルーファス様の気苦労が絶えない訳です」

 なんだこれめちゃくちゃ居心地が悪い。
 俺は別になんもしてねぇぞ。

「痛み止めと化膿止めが処方されています。飲んで少し休まれたら、帰りましょう」
「ん。そうだな」
 
 隣のベッドの上には、いまだに青白い顔で目を瞑ったままのルーファスがいる。しまったな、団長にいつごろ目覚めるのか聞いておけば良かった。

 こいつが起きたら、2日分の天国見せてやろう。
 そのために必要な準備を考えながら、俺は仮眠するためベッドに横になって目を瞑った。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...