落ちこぼれ精霊術士はドSなお師匠様に執着されてたみたいです

天城

文字の大きさ
31 / 41
三章 最強の魔術師

12




「……一丁前に勃つのか」

「な、な、……だって師匠が!」

「俺のせいか?」

「そうだよ! 酷いよ! 師匠のせいでしょ!」

 外気に晒されて少し勢いの萎えた俺の性器を見下ろして、師匠は「ふぅん」と呟くと大きな手の中にそれを包み込んだ。そのままゆっくり、押し上げるみたいにして揉まれて先端を指でくすぐられる。ビクンッと全身が震えた。
 下半身を重たく感じるような、こんな快感は初めてで、頭の中がパニックを起こしていた。

「なんで、なにしてるの、師匠……」

「俺のせいなんだろ? 抜いてやるよ」

 先走りの液体で濡れた師匠の指が、ぐりゅっと俺の性器を擦り上げる。

「あっ、ぁっ……ひ、ぁっ……ッ」

 ビクビクッとシーツから身体を跳ねさせて俺は悶えた。顔が熱いのと、ぼろぼろ勝手にあふれる涙で顔がぐちゃぐちゃな気がするけど、師匠は止めてくれない。

「ひでー顔……」

 目尻に師匠の舌が這って、涙をすくい取っていく。低く笑う振動が伝わってきてカアッと顔も身体も熱くなった。
 性器を根元から形を確かめるように扱き上げられて、先端からとぷりと透明な液体があふれる。だんだんとこみ上げる快感が頭の中までぐちゃぐちゃにしていって、混乱した俺は「こわい」と泣き続けた。

「大丈夫だから。……ほら、イけ」

 師匠は低く艶のある声で俺を宥めながら、追い上げていく。

「――ッ!」

 快感に耐性のない俺はそれからすぐに師匠の手のひらに射精してしまって、グスグスと泣きながら「ごめんなさい」と謝った。

「なんで謝ってんだ?」

「手を汚したし、師匠の手で気持ち良くなっちゃったし、キスも……」

 話している間に、ふと見たら師匠の股間も隆起していた。思わずそれをジッと見つめていたら顎を持ち上げられてキスされる。もう一度見ようとすると、ぐっと顎を掴まれて動けなかった。

 これって、師匠も欲情してるってことでいいのかな? 俺も手で師匠のソレを擦った方が良い?

「あ、あの……俺も同じように……?」

 恐る恐る問いかけると、師匠は深いため息をついてから身体を起こした。

「お前はしなくていい」

「でも、俺……」

「ルイス。俺がこんな風に触れるのはお前だけだ。……今はその返事だけじゃ駄目か?」

「……」

 師匠の目は嘘をついていないように見えた。きっと、親友のルキアーノスにこんな風に触れたことはないんだろう。
 でも今俺に触れてくる手には紛れもなく押し込めた激情と熱と、欲情が混じっていた。
 それって、前世の俺には好きでも触れられなかったってことじゃない? 俺は、その延長でキスしてもらったのかな。代用品……ってことかな。
 そう思ったら、なんだかまたモヤモヤとした気持ちがわき上がってきた。

「でも、じゃあ俺は師匠になにしてあげたら……」

 つい対抗するようにそんな風に言ってしまったら、師匠は一瞬沈黙した後にぽつりと言った。

「一回でいい。望みを聞いてくれるなら、――呼んでくれ。『ゲニウス』と」

「えっ……えっと」

 戸惑う俺が言い慣れずにもごもごするのを、師匠はずっと急かさず待ってくれた。俺は必死になって、頭の中の言葉を声に出す。

「――ゲニウス」

 ふ、と師匠の唇が笑みに綻んだ。いつもの皮肉げな笑い方ではなくて、懐かしむように笑うその表情に俺の心臓はギュッと縮み上がる。
 一度飛んだ拍動が忙しなく走り出して、息が苦しい。

 ……どうしたって、師匠にそんな顔をさせるルキアーノスに、俺は敵わないよ。

 俺だって師匠を好きなんだ。でも師匠の中には、俺よりずっと深くルキアーノスが刻みつけられている。だって親友が生まれ変わるまで、三百年も苦しい思いをしながら待ってたなんて、相当だ。その年月分の想いの強さを考えたら、それを俺が上回ることは、不可能な気がした。
 やっぱり俺は代わり……なんだろうか? 師匠が見ているのは俺の背後にある、前世なのかな。
 生きている時間が違ったら、わかり合うのは難しいって言ってたエレンの言葉がまたぐさりと突き刺さる。

「師匠は、ルキアーノスのこと、愛してた?」

「は、なんだそれ。友だって言っただろ」

 俺に向けるいつもの笑い方で師匠が言った。そっちのほうが好きだなって思う。意地悪でもちょっと怖くても俺だけに向ける顔だから、その師匠が好き。

「俺は師匠のこと、死ぬまでずっと……好きでいていい?」

 吐息が触れるほど近くで師匠の唇が笑みにつり上げる。もう一度、キスして欲しくてその唇をジッと見つめた。


「――お前の好きにしろ」


 うん、と頷いた俺の額に柔らかな唇が触れる。
 その夜俺は、初めて師匠の腕に抱かれて眠りに落ちた。
 





感想 5

あなたにおすすめの小説

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。

零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。 鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。 ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。 「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、 「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。 互いを想い合う二人が紡ぐ、溺愛と溺愛の物語。 幼馴染み組もなんかしてます。 ※諸事情により、再掲します。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

姉の婚約者の心を読んだら俺への愛で溢れてました

天埜鳩愛
BL
魔法学校の卒業を控えたユーディアは、親友で姉の婚約者であるエドゥアルドとの関係がある日を境に疎遠になったことに悩んでいた。 そんな折、我儘な姉から、魔法を使ってそっけないエドゥアルドの心を読み、卒業の舞踏会に自分を誘うように仕向けろと命令される。 はじめは気が進まなかったユーディアだが、エドゥアルドの心を読めばなぜ距離をとられたのか理由がわかると思いなおして……。 優秀だけど不器用な、両片思いの二人と魔法が織りなすモダキュン物語。 「許されざる恋BLアンソロジー 」収録作品。

長年仮番として務めてきましたが、王子は正式な番を娶るそうです

けふ
BL
王都を守る巨大結界は、王族の魔力によって維持されている。 第二王子アデルの傍らには、常に一人の騎士がいた。 近衛騎士レオン。 彼は長年、王子の「仮番」として特別な任務を担っている。 しかし王子は、他国の王女との正式な番契約が決まってしまった。 仮番の役目は、そこで終わるはずだった。 だが結界塔で行われる儀式の中で、 二人の関係は次第に変わり始める。 王族と騎士。 主と臣下。 越えてはならない境界を前にしても、 王子は騎士の手を取る。 「共に立て」 ※オメガバースではありません ※ふんわり読んでください ※なんでも許せる方向け ※イラストはChatGPTさん

【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!

梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。 あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。 突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。 何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……? 人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。 僕って最低最悪な王子じゃん!? このままだと、破滅的未来しか残ってないし! 心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!? これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!? 前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー! 騎士×王子の王道カップリングでお送りします。 第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。 本当にありがとうございます!! ※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。