触手の苗床にされてた剣士を助けたんだけどエロさが半端ない!

天城

文字の大きさ
23 / 100
三話

1-2

しおりを挟む



 特に声と、何となく雰囲気が、とかなんとか。腹が立つことこの上ない。俺は俺であって、じいさんとか知らんわ。
 若かった俺はイライラしながらも街の人に『ヴィノード』の死因について聞いて回った。貴族に睨まれるなんて、何やらかしたんだまったく。
 ヴィノードを知っている年寄りたち曰く、

『貴族の坊ちゃんと駆け落ちしたって聞いたんだけどな』
『相手だけ連れ戻されて殺されたってやつか?』
『そもそもどこで知り合うんだよ貴族』
『ヴィノードは結構ランクの高い依頼も受けてただろう?』
『そういや指名で依頼が入った後、達成もなしに消えたって話だったな』
『ああ、未達成で消えたから、後からその貴族がギルドに難癖つけにきたって大事件』
『え? その貴族はどいつだって? そりゃあお前、ギルドへの依頼は召使いがお忍びで来るんだろうから名前なんて俺らは知らねえよ。一応ギルドの資料には残ってるんじゃねーか』

 ここまできたらいけるところまで調べなきゃ気が済まない。俺はギルド長にせっついてぐらぐら揺らして、死んだじいさんへの同情とかを上手く使いつつ、閲覧禁止の資料をこっそり見せてもらった。
 ヴィノードに指名依頼をしてきたのは、ウィトリー家というらしい。

 王都にある屋敷の他に、北の国境と雪山に近いあたりの辺境を治めている古くからの貴族だった。指名依頼は本人を呼びつけて直接交渉をするタイプだったらしく、細かな内容は書かれていない。
 ただ、任務内容は『護衛』。行く先は『西の森』となっていた。

 ――西の森、だってよ。あのテンタクルボールのいた森に、ヴィノードが足を踏み入れていて、しかもそこから連れてきた苗床の寝言にヴィノードの名前が出てくるって?そんなんもう、確定だろう。ドンピシャだ。ふざけんなオイ。ここでも出て来るのはあのじじいなのか。

 もう十代の若造でもないのに、イライラとした気持ちがわき上がってくる。
 アレン・バーツィーの依頼をうけた時には、西の森なんて大して変わった依頼じゃないから気に掛けてもいなかった。まさか何十年も後にヴィノードと同じような依頼を受けて俺が西の森に踏み入るなんて、誰も思わなかっただろう。こういうの、数奇な運命とか言うんだろうか。

 真夜中、ギルドに駆け込んだ俺は、あの時ギルドで見た資料をもう一度見せてくれと現ギルド長に頼み込んだ。拝み倒して土下座する勢いの俺に呆れたギルド長が折れてくれたのは、空も白み始めるような時間帯だった。

      ‡
 
「おいコラ、人が必死に情報探してるのを笑ってたなお前?」

 アレンの研究室に入るなりドスの効いた声でそう言うと、ルーペ片手に何かを観察していたアレンはぱちりと青い目を瞬かせた。ズカズカと部屋に入り、勝手に椅子を引っ張ってどっかりとアレンの前に座る。
 散らかった机の上には、シャーレや金属の器具や、水槽やら土塊やら、色んなものでいっぱいだった。少しは片付けようぜ、なにをするにも効率悪いだろうが。何のためにゴミ袋用意してやってると……って俺はオカンか。

「え~? もう判ったの? なんで? どこから?」
「……コノヤロウ否定もしやがらねぇ」
「アーーーっ! 待って待ってそれ凄く大事なやつ! 持ってかないで~!」

 ゴミっぽい物と大事そうなものを勘でより分けて、俺は勝手に机を整頓していた。しかしアレンの態度に腹が立ったので凄く重要そうなシャーレを摘まみ上げてやる。もちろん持ち上げただけだが、ゴミに捨てられると思ったのかアレンが珍しく狼狽えたように俺の腕に飛びついてきた。


しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。

天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。 しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。 しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。 【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話

愛しの妻は黒の魔王!?

ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」 ――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。 皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。 身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。 魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。 表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます! 11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

隠れオメガの整備士は自由になりたい。なのに暴走する最強騎士を身体を張って止めたら、運命の番だとバレて過保護な専属契約を結ばされました

水凪しおん
BL
※オメガバース設定。激しい戦闘描写や、執着攻めによるマーキング描写、軽度の性的な接触の描写がありますので、15歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。 汚染された惑星を浄化する生体兵器『機装(ギア)』。 その搭乗者は優れた能力を持つ『アルファ』に限られ、彼らの精神を安定させる鎮静剤として『オメガ』が存在する世界。 整備士のエリアンは、オメガであることを隠し、ベータと偽って軍の最前線で働いていた。 オメガは道具のように扱われるこの社会で、自由を守るための必死の嘘だった。 だがある日、軍最強のエリートパイロット・クレイドの機装が暴走する事故に遭遇する。 死を覚悟して止めに入ったエリアンだったが、暴走する機体はなぜか彼にだけ反応し、沈静化した。 それは、隠していたオメガのフェロモンが、クレイドと強烈な『共鳴』を起こした瞬間だった。 「見つけた。俺の対になる存在を」 正体がバレたと戦慄するエリアンに対し、冷徹なはずのクレイドが向けたのは、処罰ではなく執着に満ちた熱い視線で……? 孤独なエリート騎士×身分を隠した健気な整備士。 星の命運と本能が交錯する、近未来SFオメガバース!

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

処理中です...