1Kアパートのトイレからイケメン獣人が次々召喚されてくるんだが?

天城

文字の大きさ
15 / 22

3-1

しおりを挟む




 始めの一週間が過ぎてから、この異常な事態に適応してしまったユウリはそこそこ平穏な日々を過ごしていた。己の順応力が憎いと思ったのは初めてだった。

 妙なスライムをひっつけているのにも慣れたし、ひたすら変態行為に見える執着を見せる蛇気質のシキにも慣れた。
 シュイの甘やかしには時折圧されつつ赤面する程度で済んでいて、タイガは相変わらずの傍若無人だったが猫のようにチラチラとユウリの様子を観察している事が判った。
 どれもこれも警戒する程のこともない事象になっていったから、受け入れることが出来たのだ。

 そして一ヶ月が経つと、獣人達は曜日関係なくトイレから唐突に現われるようになった。

 休日のユウリを独占しているタイガを、不公平だと他の二人が言い始めたからだ。
 日曜日のヴァルフレードだけが何も言わず、自分の日にだけ現われた。そしてユウリを膝の上に乗せると散々甘やかして寝かしつけ、いつの間にか帰っている。

 しかもヴァルフレードは母の話をよくしてくれた。まるで幼児の寝かしつけのようだが、母が獣人のいる異世界でどんな暮らしをしていたのか聞くのはとても楽しかった。

 ただこのまま適応して獣人の存在に慣れたとしても、それだけではいけないんだろう。焦りに似た漠然とした不安の中、ユウリは自分の記憶が欠落している子供の頃のことを調べ始めた。

 こういう調べ物の時、身内の言葉はあまり役に立たない。ユウリはネットで行方不明の子供の記事をざっとピックアップし、その時期の新聞を図書館で調べた。自分が小学生低学年の頃から、過去に遡っていく。するとユウリが6才の頃、『神隠し』と噂される子供の行方不明記事が出てきた。

 タイガが言うように大規模な捜索がされていたらしく、情報提供を呼びかける張り紙のサンプルも載っていた。それには当時いなくなった時のユウリの服装や特徴などが事細かに書かれている。もちろん、佐倉雄利という本名もだ。

 その頃のことを思い出そうとすると、何故か胃の奥がぎゅっと絞られるような恐れが生まれ、それ以上考えるのを止めてしまう。獣人達との関係は決して悪くないようなのに、この震えるような恐怖はなんだろう。

 ユウリは鬱々としたものを抱えながらアパートに戻り、休日に合わせて現われたシキに飛びつかれて頬ずりされていた。

「ユウリ様、今日は私を選んで頂き本当にありがとうございます」
「──股間に顔埋めながら言うセリフじゃないだろが」
「もう一時も我慢ができなかったのです。ユウリ様、……ああ、ユウリ様……ッ」

 壁に追い詰められてすぐフローリングにペタリと下ろされ、股間にシキの顔が埋まった。高い鼻梁もイケメンな顔も全く見えなくなり、スゥスゥと息をする僅かな音だけがする。
 残念ながら今日も一日暑い中出かけていたので、股間は蒸れていた。

 出来る事ならシャワーで汗を流してからやってほしかった。
 しかしシュイやヴァルフレードとは違い、シキは絶対にソレを許してくれない。
 汚いと言うと『では綺麗にいたします!』と謎の使命感を燃やしてあっちこっち舐めてくるからダメだ。何も言わず抵抗もしないのが1番被害が少ないと、最近ようやくわかってきた。

「ユウリ様、今日もたくさんご奉仕します……」


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。

天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。 しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。 しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。 【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

処理中です...