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六話 裏切られる花嫁
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エーミールに続いて、ユリアーナもそっと扉をくぐる。
何度も訪れたことのある妹の部屋だ。
間取りも家具の位置も把握している。
まっくらだが奥の淡い灯りが漏れている場所が寝室だ。
そこからエーミールの声がした。
「大丈夫、君を愛しているよ」
殴られたような衝撃だった。
先ほど教会で神に永遠の愛を誓ったばかりだ。
まさか数時間でその言葉を反故にされるとは。
怒りで震える唇を嚙み締め、ユリアーナは寝室まで素早く近づき中を覗き見る。
天蓋付きのベッドは薄いレースに覆われていたが、そこに横たわっている二人の姿は透けて明らかだった。
エーミールが両腕を回し、マルゴットを抱き寄せている。
顔を寄せたと思ったら、口づけをしているのか、舌を絡ませるような水音がした。
マルゴットの荒い鼻息がここまで聞こえてくる。
そのままエーミールの手がマルゴットの白い綿のネグリジェをまさぐり、ほとんど膨らみのない胸を探し当てた。
「可愛いよ。今日も気持ちよくしてあげる」
胸元のリボンを外し、エーミールの舌が乳首を求めて這いずりまわると、マルゴットがそれにあわせて上ずった声をもらす。
(なんなの、これは……)
妻となったユリアーナとは今夜が初めての性交だったというのに、マルゴットとは以前からこんな関係を持っていたのか。
しかもユリアーナには一切の前戯をしなかったエーミールが、マルゴットの体にはあれこれしているように見える。
煮えたぎる思考とは別に、冷静なユリアーナが二人のこれまでの動向を思い返す。
ユリアーナがバステル子爵や家庭教師から領地経営や花嫁修業について学んでいる間、エーミールとマルゴットは二人きりでおしゃべりを楽しんでいた。
きっとそのときに、私に隠れてこういうことをしていたに違いない。
しかしマルゴットは心臓が弱いのだ。
あんな痛みがともなう性交に耐えられるとは思えない。
「さあ、おまちかねの場所だよ」
エーミールの頭はマルゴットの股ぐらに移動する。
介護のために剃毛されて、下着もつけていないマルゴットは、ネグリジェをまくられるとそこを隠すものがない。
容赦なく骨の浮き出た両膝を割り、大きく開かせるエーミール。
「とても綺麗だ。いつもの台詞を言ってくれる?」
マルゴットはおずおずと折れそうな指で割れ目をひっぱり、ぬらぬらと燭台に光るそこを見せつけるようにしてエーミールに甘える。
「私に愛を教えて。私には……貴方しかいないの」
エーミールが満足気に笑ったのが逆光でも見えた。
「いくらでも教えてあげる。女の幸せは男に愛されることだ。でも達してはいけないよ。君の心臓によくないからね」
長く舌を伸ばすと、エーミールはゆっくりとマルゴットのそこを舐めていく。
フッフッとマルゴットの息が小刻みになる。
エーミールの手はマルゴットの太ももを撫で、辿り着いた先の薄い尻肉を揉む。
老婆のような皮と骨だけの体を、宝物のように大切に扱うエーミール。
リップ音をさせてあちこちに愛のしるしを残し、いとしいと言わんばかりの丁寧で執拗な愛撫を見せられ、ユリアーナは先ほど自分がされた乱暴な初夜を思い出していた。
マルゴットが極めそうになる前の絶妙なタイミングで舌の動きを止めるエーミールの様子は、この行為にずいぶん手馴れているように感じられた。
達しないことで心臓に負担がかからないようにして、しかし快楽にはしっかり溺れているマルゴット。
そんなマルゴットを愛し気に眺めては、己の肉棒をせわしなくしごくエーミール。
奇妙だが、これが二人の閨のやり方なのだろう。
(ずっと私を騙していたんだ――二人で)
悔しくて悲しくて、流れる涙をぬぐいもせず、ユリアーナは夫婦の寝室へ引き返す。
こすっていはいないけれど、きっと瞼は赤く腫れている。
どうせ性交が痛くて大泣きしたあとだ。
こんなものはなんとでも誤魔化せる。
頭から布団にくるまり、いまだ涙が止まる気配のないまなじりを枕に押し付けた。
どうしたらいいの。
どうしたらいいの。
どうしたらいいの。
同じことを頭の中で繰り返す。
今日は結婚式だった。
痛かったけど初夜も終えた。
明日からは私が領主だ。
領地と領民を立派に治めなくてはならない。
もう父様はのんびり隠居したいと言っていた。
こんなことで煩わせるわけにはいかない。
(じゃあ、このまま見なかったことにするの?あの二人を野放しにして?)
いいえ、違うわ。
それだけはしてはならない。
姉として妻として。
それだけはしてはならない。
エーミールに会陰を見せつけるマルゴットが、三人で笑いあった中庭の光景が、エーミールがマルゴットに愛を囁く声が、三人で笑いあった中庭の光景が、フラッシュバックする。
私は、どうしたいの?
私は、どうしてやりたいの?
私は、あの二人をどうしてやりたいの?
◇◆◇
マルゴットはエーミールと愛を交わし心身ともに満たされていた。
そしてやっぱり私がお姫さまなんだと確信していた。
今日はエーミールとユリアーナの結婚式があり、朝から気分が悪かった。
王都で大人気のデザイナーのオーダードレスを父様がユリアーナに用意していたが、ユリアーナが邸に届いたドレスを試着をしているときから、その生地の色がエーミールの瞳を意識していると分かって業腹だった。
(まるで思いあって結婚するみたいじゃない)
実際は違うのにあんなドレスを見たせいでイライラしたものだ。
エーミールとの関係はもう長い。
エーミールはユリアーナとの婚約が発表されるまで、何度も私に合図を送ってきていた。
『君が好きだ』という合図だ。
エーミールの子を産んであげられない私は、エーミールの妻になることはできない。
それは分かっていたことなので、ユリアーナとの婚約は仕方がないと思っていた。
しかし出来ることなら婚約したあとも、私のことを特別に想ってくれないだろうか。
そんなことを考えていた婚約発表の場で、父様が今後も私が邸に残ることを許してくれた。
田舎に行くなんてまっぴらだったし、エーミールと離れ離れになるのはもっと嫌だった。
エーミールとこれからも一緒にいられる。
そのことに勇気をもらった私は一歩、足を踏み出すことにした。
正直言って、婚約発表されてからのエーミールの態度にむしゃくしゃしたのも本当だ。
ユリアーナばかりエスコートするだなんて許せない。
領地でのお姫さま役は私なのだから。
私が好きだと伝えれば、エーミールとの関係はすんなりと始まった。
逢瀬は私の部屋で繰り返された。
初めはとても緊張したが、あの小説の女のように体中が蕩けるほど愛されて感動し、嬉し泣きしたものだ。
普段は飄々とした優男風のエーミールだが、ベッドの中では情熱的な人だった。
そして必ず私をユリアーナよりも大事に扱ってくれる。
本来ならば初夜のあとには、夫は妻と同じベッドで眠るものだ。
だが、エーミールはここにいる。
父様がお金をかけてつくってくれた美しいお姫さまのベッドで、私の隣に寝転んでいるのだ。
情事のあとは短い私の髪を、いとおしそうにくしけずってくれる。
頬骨の張り出した私の顔に、頬ずりをして口づけてくれる。
愛されている。
これまでにも何度も思ったが、エーミールに愛されているのは私だ。
もとから感じていたが、今日はエーミールからはっきりとした言葉ももらえた。
ユリアーナよりも私が愛されている。
エーミールに腕枕をしてもらったまま、多幸感に包まれたマルゴットは、皺の目立つ腕をエーミールの背中に回した。
◇◆◇
明け方、エーミールは夫婦の寝室に戻ってきて、ユリアーナが起きていないことを確かめるとベッドにもぐりこんだ。
いい思いをしたことに満足をして、いい夢が見られると思いながら。
双子の姉妹を手玉にとって、金と女とどちらにも困らない生活が約束された。
伯爵家とは言え四男に生まれてしまえば旨みはない。
自分は兄弟の中でもへたれだと思っていたが、それがいいと見込まれバステル子爵家の入り婿候補になれたのは本当に幸運だった。
今頃、三男あたりは確実に臍をかんでいる。
もっと自分が若ければと。
だてに兄弟間で揉まれてはいない。
空気を読むことには長けている。
ユリアーナとマルゴットの考えは透けるように明らかだった。
入り婿候補として現れた僕を年頃になってからようやく意識し出したユリアーナ。
恋に関しては奥手も奥手、ちょっと煽ってみたらたちまち落ちてきた。
もっと早熟なマルゴットは僕の劣情を敏感に察知して満更でもなさそうだった。
だから何度もそういう目をしてやったら、偶然を装ってしなだれかかるようになった。
入り婿になることを目標としていたから、婚約してからは確実に結婚まで持っていこうとユリアーナに優しくしていたが、それがマルゴットを刺激して今のような関係になったのは美味しい展開だった。
(美人な双子の姉妹のどちらからも好かれるなんて、男にとってはロマンで垂涎だろう?)
エーミールはユリアーナが隣で寝たふりをしていることなど知らない。
どれだけ傷ついて泣いたかも知らないし、ユリアーナが何を考えているかも、もちろん知らない。
何度も訪れたことのある妹の部屋だ。
間取りも家具の位置も把握している。
まっくらだが奥の淡い灯りが漏れている場所が寝室だ。
そこからエーミールの声がした。
「大丈夫、君を愛しているよ」
殴られたような衝撃だった。
先ほど教会で神に永遠の愛を誓ったばかりだ。
まさか数時間でその言葉を反故にされるとは。
怒りで震える唇を嚙み締め、ユリアーナは寝室まで素早く近づき中を覗き見る。
天蓋付きのベッドは薄いレースに覆われていたが、そこに横たわっている二人の姿は透けて明らかだった。
エーミールが両腕を回し、マルゴットを抱き寄せている。
顔を寄せたと思ったら、口づけをしているのか、舌を絡ませるような水音がした。
マルゴットの荒い鼻息がここまで聞こえてくる。
そのままエーミールの手がマルゴットの白い綿のネグリジェをまさぐり、ほとんど膨らみのない胸を探し当てた。
「可愛いよ。今日も気持ちよくしてあげる」
胸元のリボンを外し、エーミールの舌が乳首を求めて這いずりまわると、マルゴットがそれにあわせて上ずった声をもらす。
(なんなの、これは……)
妻となったユリアーナとは今夜が初めての性交だったというのに、マルゴットとは以前からこんな関係を持っていたのか。
しかもユリアーナには一切の前戯をしなかったエーミールが、マルゴットの体にはあれこれしているように見える。
煮えたぎる思考とは別に、冷静なユリアーナが二人のこれまでの動向を思い返す。
ユリアーナがバステル子爵や家庭教師から領地経営や花嫁修業について学んでいる間、エーミールとマルゴットは二人きりでおしゃべりを楽しんでいた。
きっとそのときに、私に隠れてこういうことをしていたに違いない。
しかしマルゴットは心臓が弱いのだ。
あんな痛みがともなう性交に耐えられるとは思えない。
「さあ、おまちかねの場所だよ」
エーミールの頭はマルゴットの股ぐらに移動する。
介護のために剃毛されて、下着もつけていないマルゴットは、ネグリジェをまくられるとそこを隠すものがない。
容赦なく骨の浮き出た両膝を割り、大きく開かせるエーミール。
「とても綺麗だ。いつもの台詞を言ってくれる?」
マルゴットはおずおずと折れそうな指で割れ目をひっぱり、ぬらぬらと燭台に光るそこを見せつけるようにしてエーミールに甘える。
「私に愛を教えて。私には……貴方しかいないの」
エーミールが満足気に笑ったのが逆光でも見えた。
「いくらでも教えてあげる。女の幸せは男に愛されることだ。でも達してはいけないよ。君の心臓によくないからね」
長く舌を伸ばすと、エーミールはゆっくりとマルゴットのそこを舐めていく。
フッフッとマルゴットの息が小刻みになる。
エーミールの手はマルゴットの太ももを撫で、辿り着いた先の薄い尻肉を揉む。
老婆のような皮と骨だけの体を、宝物のように大切に扱うエーミール。
リップ音をさせてあちこちに愛のしるしを残し、いとしいと言わんばかりの丁寧で執拗な愛撫を見せられ、ユリアーナは先ほど自分がされた乱暴な初夜を思い出していた。
マルゴットが極めそうになる前の絶妙なタイミングで舌の動きを止めるエーミールの様子は、この行為にずいぶん手馴れているように感じられた。
達しないことで心臓に負担がかからないようにして、しかし快楽にはしっかり溺れているマルゴット。
そんなマルゴットを愛し気に眺めては、己の肉棒をせわしなくしごくエーミール。
奇妙だが、これが二人の閨のやり方なのだろう。
(ずっと私を騙していたんだ――二人で)
悔しくて悲しくて、流れる涙をぬぐいもせず、ユリアーナは夫婦の寝室へ引き返す。
こすっていはいないけれど、きっと瞼は赤く腫れている。
どうせ性交が痛くて大泣きしたあとだ。
こんなものはなんとでも誤魔化せる。
頭から布団にくるまり、いまだ涙が止まる気配のないまなじりを枕に押し付けた。
どうしたらいいの。
どうしたらいいの。
どうしたらいいの。
同じことを頭の中で繰り返す。
今日は結婚式だった。
痛かったけど初夜も終えた。
明日からは私が領主だ。
領地と領民を立派に治めなくてはならない。
もう父様はのんびり隠居したいと言っていた。
こんなことで煩わせるわけにはいかない。
(じゃあ、このまま見なかったことにするの?あの二人を野放しにして?)
いいえ、違うわ。
それだけはしてはならない。
姉として妻として。
それだけはしてはならない。
エーミールに会陰を見せつけるマルゴットが、三人で笑いあった中庭の光景が、エーミールがマルゴットに愛を囁く声が、三人で笑いあった中庭の光景が、フラッシュバックする。
私は、どうしたいの?
私は、どうしてやりたいの?
私は、あの二人をどうしてやりたいの?
◇◆◇
マルゴットはエーミールと愛を交わし心身ともに満たされていた。
そしてやっぱり私がお姫さまなんだと確信していた。
今日はエーミールとユリアーナの結婚式があり、朝から気分が悪かった。
王都で大人気のデザイナーのオーダードレスを父様がユリアーナに用意していたが、ユリアーナが邸に届いたドレスを試着をしているときから、その生地の色がエーミールの瞳を意識していると分かって業腹だった。
(まるで思いあって結婚するみたいじゃない)
実際は違うのにあんなドレスを見たせいでイライラしたものだ。
エーミールとの関係はもう長い。
エーミールはユリアーナとの婚約が発表されるまで、何度も私に合図を送ってきていた。
『君が好きだ』という合図だ。
エーミールの子を産んであげられない私は、エーミールの妻になることはできない。
それは分かっていたことなので、ユリアーナとの婚約は仕方がないと思っていた。
しかし出来ることなら婚約したあとも、私のことを特別に想ってくれないだろうか。
そんなことを考えていた婚約発表の場で、父様が今後も私が邸に残ることを許してくれた。
田舎に行くなんてまっぴらだったし、エーミールと離れ離れになるのはもっと嫌だった。
エーミールとこれからも一緒にいられる。
そのことに勇気をもらった私は一歩、足を踏み出すことにした。
正直言って、婚約発表されてからのエーミールの態度にむしゃくしゃしたのも本当だ。
ユリアーナばかりエスコートするだなんて許せない。
領地でのお姫さま役は私なのだから。
私が好きだと伝えれば、エーミールとの関係はすんなりと始まった。
逢瀬は私の部屋で繰り返された。
初めはとても緊張したが、あの小説の女のように体中が蕩けるほど愛されて感動し、嬉し泣きしたものだ。
普段は飄々とした優男風のエーミールだが、ベッドの中では情熱的な人だった。
そして必ず私をユリアーナよりも大事に扱ってくれる。
本来ならば初夜のあとには、夫は妻と同じベッドで眠るものだ。
だが、エーミールはここにいる。
父様がお金をかけてつくってくれた美しいお姫さまのベッドで、私の隣に寝転んでいるのだ。
情事のあとは短い私の髪を、いとおしそうにくしけずってくれる。
頬骨の張り出した私の顔に、頬ずりをして口づけてくれる。
愛されている。
これまでにも何度も思ったが、エーミールに愛されているのは私だ。
もとから感じていたが、今日はエーミールからはっきりとした言葉ももらえた。
ユリアーナよりも私が愛されている。
エーミールに腕枕をしてもらったまま、多幸感に包まれたマルゴットは、皺の目立つ腕をエーミールの背中に回した。
◇◆◇
明け方、エーミールは夫婦の寝室に戻ってきて、ユリアーナが起きていないことを確かめるとベッドにもぐりこんだ。
いい思いをしたことに満足をして、いい夢が見られると思いながら。
双子の姉妹を手玉にとって、金と女とどちらにも困らない生活が約束された。
伯爵家とは言え四男に生まれてしまえば旨みはない。
自分は兄弟の中でもへたれだと思っていたが、それがいいと見込まれバステル子爵家の入り婿候補になれたのは本当に幸運だった。
今頃、三男あたりは確実に臍をかんでいる。
もっと自分が若ければと。
だてに兄弟間で揉まれてはいない。
空気を読むことには長けている。
ユリアーナとマルゴットの考えは透けるように明らかだった。
入り婿候補として現れた僕を年頃になってからようやく意識し出したユリアーナ。
恋に関しては奥手も奥手、ちょっと煽ってみたらたちまち落ちてきた。
もっと早熟なマルゴットは僕の劣情を敏感に察知して満更でもなさそうだった。
だから何度もそういう目をしてやったら、偶然を装ってしなだれかかるようになった。
入り婿になることを目標としていたから、婚約してからは確実に結婚まで持っていこうとユリアーナに優しくしていたが、それがマルゴットを刺激して今のような関係になったのは美味しい展開だった。
(美人な双子の姉妹のどちらからも好かれるなんて、男にとってはロマンで垂涎だろう?)
エーミールはユリアーナが隣で寝たふりをしていることなど知らない。
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