鮮血の機神兵

安いカラオケ屋さん

文字の大きさ
上 下
5 / 9
1章・放浪者

[3人]

しおりを挟む
夜の都市はとても寒く、少し寂しさがある。

とりあえず他の町に行こう。

そう思い、今、夜行列車に乗っている。

男らとの1件から1時間くらいたったと思う。

幸い安い席があったので、ベット付きではないがありがたいことである。

まるで眠気がしないので、新聞を読み、夜を過ごす。

ガタゴトと列車は線路を走り、スヤスヤと眠る人達のいびきや寝言が聞こえる。

夜は妄想や感情が高ぶるらしい。

しかし、あまり、そんな事はないと思う。

でも、1人でこう座ってボウっとしていると、

昔のことを思い出すのだ。

そう思い長い夜を過ごした…。


[ALS・大佐室]
デュークは徹夜で仕事をしていた。

ここ数日これと言った事件は起こってはいないが今回奇妙な事件が起こった。

連続殺人なのだが、その死体がとても妙で、全身の血液が抜かれミイラのようにカラカラになっているのだ。

ALSの科学班班長のコルア班長によると、人による犯行だったらまずその抜き取る方法がないし、外傷も無かったため、不可能という事だ。

しかし、デュークには1人、それができる奴らを知っていた。

デュークには確かな確証があった。

さっきリコ少尉が珈琲をもってきてくれたのだが、その事件の事で頭がいっぱいになり、飲む暇がなくとっくに冷めてしまった。

[黒い十字架]…。デュークの片腕と弟を奪った奴らだ。

アイツらの犯行に違いない。そして、アイツらが関わっているんだったら必ず弟を殺した奴に会える。

ベルゼ…。

あいつを必ず見つけ出し、弟の仇を取ることが、自分の生き甲斐のひとつである。

あの時は自分の不甲斐なさと相手の威圧に負け心
が折れ、そして、弟を死に追いやってしまった。

しかし、今は違う。権力と絶対的な力を持つことが出来た。

今なら奴らをこの手で潰せる。

拳を握りしめデュークは強く机を殴った。


[???(とある場所)]
「おいおい!ベルゼさぁんよ…。あんたどんだけ腹減ってんの?1日に10人なんて正気の沙汰じゃないぜ?」

キャハハハハ!!!と笑いながら若い女性が笑っている。

右目に黒い十字架のタトゥーを入れたそのベルゼという男は

「まぁーだよ…。満たされねんだよなぁ…。」

と不満そうな声を発した。

「そんな食べてたらぁ、太っちゃうゾ☆」

と女性が言うと

「黙れ…この男好きが…。」

と、小声でいった。

すると女性は

「えぇー?だってぇ、人間の雄っておもしろいのよ?」

とまた嘲笑し、

「ちょぉっと、くすぐるようなことを言えばすぅぐ騙されちゃうんだからぁ!」

と、どこか楽しげに言った。

2人がそう話し合っていると、奥の方からいびき声が聞こえてきた。

「あのさ、あいつのいびきどうにもなんねぇの?」

と、ベルゼが言うと

「しょうがないじゃん!エゴールいつも寝てんだもん!起こすと怒るよぉ?」

と、面倒くさそうにいった。

彼女はとても感情の表現が豊かだとベルゼは思った。

自分らよりも長い時間下界に出てるだけあって、そういった感情を持つようになったのか、

はたまた、男を手玉にとるため学習したのか。

どちらでもいいが、自分のように一つの感情を出すのも難しい奴は、感情の引き出しが多い奴のことを少し羨ましくなることもあるのだ。

「でぇ?これからどーすんの?」

「そうだな…。まだメンツがそろっていないし、しばらくは個人…だな。」

そう言ってベルゼは煙草を吸い始めた。
















    
しおりを挟む

処理中です...