鮮血の機神兵

安いカラオケ屋さん

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1章・放浪者

[大喰い]

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昔はなんでも食べていた。

食べられるものはどんなに汚くても口にした。

そうしなければ生きられなかったからだ。

そして最初は弱者だった俺は人も食事の中に入れ、捕食し栄養を摂取し、強者になった。

しかし、この腹が減るという欲はいつまでたってもまだ満たされることは無い。

だから次々と人を喰らい、ひと時の満足感に浸されている。

一瞬の幸福。

その一瞬が続いてほしいのに。毎日そう思う。

[食欲]や、[空腹感] 。

それは、何人たりとも抗えないものだ。

仮に人類だけになり、食料がなくなったとする。

そうなった時、自分の腹を切るなんて抜かすやつは真っ先に自分の肉親に手を出し食してしまう。

そして、永遠の後悔に見合われるのだ。

なぜあの時食べてしまったのだと。

実に滑稽で哀れだ。

しかし、それは一瞬の欲を満たすための手段の一つな訳で誰も悪くは無い。

人というものは多くの種を喰らい生態系を乱しつつある。

しかし、それは、しょうがないと思う。

なぜならこの世は欲に満ちているから。

人にしても、動物にしても、昆虫にしても

空腹感というものには誰も逆らえない。

しかし、空腹というものを毎日味わい苦しみ続けている俺にとっては、2日や3日断食した所でどうってことは無い。

過去に1週間以上砂を食い泥水をすすった経験がある俺にとってそれは楽なほうだ。

アイツが見つけてくれるまではそれはもう
「地獄」としか言えなかった。

自分が何者かもわからないまま生き続ける不安感と貧困な環境に生まれてきてしまった不幸。
そして、どうしようもない空腹感。 

しかし、今の生活はそれほど悪くは無い。

仲間と3人…いや、さっきもう1人と合流したから4人ぐらしで、古い屋敷跡に住んでいる。

当然無許可で。

しかし、ベッドもあるし、部屋も多くあるので前の暮らしよりは断然いい。

だが、今となってもこのどうしようもない空腹感には耐えられない時もある。

一応ちゃんとご飯はでるのだが、どこからだか空腹感に見合われる。

昨日、とてつもない空腹感に見合われたので、いつもより多く捕食をした。

俺は一瞬で人をミイラくらいカラカラになるまで捕食してしまう。

食べれるとこほろはすべて食べた。

残さず食べるという自分なりの敬意だ。

今は少しグルメになり残すところもできて

ミイラのような死体になるけど…。

今回、あまりの充実感のために、いつもなら死体を消したもの、それを忘れてしまった。

たぶん人の犯行ではないとばれるであろう。

しかし、あまりそれは問題ではない。

問題は、仮にあの男が、生きていたら俺達の仕業

あるいは俺の仕業だと、かんづかれることだ。

さっきそれを仲間の1人に話したら

「ハァー?ちょっとぉ!なにしてんのぉ?」

「正直、いままでに味わったことのないような充実感だったから…。」

ハァー…。とそう言われた女は首をかしげ

ため息をこぼした。

「あのさ、わかってるよね?ウチらまだバレちゃいけないんだよ?バベルがくるまでぇ!」

「わかってる…。」

と、俺は少し落ち込んだ。

気持ちがドヨンとした。

「とりあえず、バレたらあんたいってもらうかんね!」

と、女に念を押された。

と、こんな具合に多いに叱られたわけだ。

デューク・アームハイド…。

奴の弟には一度してやられたからな…。

リベンジマッチといこうか…。

と、少し口をニヤつかせた。

すると、「どうしたぁ?いい事あったの?w」

と、話しかけられた。

「あぁ、ダンテか…。」

ダンテと呼ばれたその男性は年は若く髪の毛は黒髪の短髪だ。

顔立ちは二枚目で以下にも作ってそうな笑顔をしている。

「死体焼くの忘れたんだってねw何してんの?w」

「お前…。バカにしに来たな…。」

そんなわけないじゃん!とダンテは笑って誤魔化した。

「そーいや、ほかの奴らは?」

「えっと…エゴールはまだ寝てて、リリスはなんか怒ってお酒のでるよw」

そーか。といい、自分の部屋に戻ろうとすると

ねぇ!ベルゼ!

と、またダンテに呼び止められ

「これからどーすんの?」

と言われた。

「まぁ、あれだな。とりあえず眠いし寝るわ。」

俺はそう言って寝室に向かった。





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