学園最低クラスの天才生徒~最強は最弱に配属されるそうです~

あどりりりりり

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最強の妹

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 入学式は最初こそ大きなハプニングが起きたものの、無事終わった。
 まあ、式の途中ずっと他の新入生の視線が突き刺さりまくってたが。もちろん俺に。

 そんな中、ついに入学式の終わりが告げられた。

『これで入学式を終了とします!Eクラスから順に講堂から出てください!』 

「……終わった。ついに終わった……。さあ帰るぞ……」
「さ、災難だったね……」

 ぐったりしながら、講堂を後にする。
 ああ。空気が美味しい……。一生空気吸ってたい。
 が、今はそんなゆったりしている時間はない。あとから出てくる奴らに捕まらないように早く逃げなきゃ。

「じゃ!俺はもう行くから!バイバイ!」
「……あ、待って……」
「ごめん!また今度!他の新入生に捕まったら超面倒くさいことになるから!」
「………………………………!」

 ……風の音でよく聞き取れなかった。まあ、いいや。また聞けばいい。それよりも今は逃げることを優先せねば。あの量の魔術師は流石の俺でも手こずる……。
 あんなのに同時に魔法打たれたらたまったもんじゃない。下手したら死ぬわ。

 すると。

「いたぞ!」
「絶対許さねえぞぉぉ!!」

 入学式に向かう前に倒したチャラ男ABが出てきた。そうか。もう気絶が溶ける時間だったか。
 ようやく復活したところ悪いんだけど……。

「邪魔だぁああ! どけぇええええ!」

 サッカーのボレーキックの要領でチャラ男Aを吹き飛ばし、鋭いパンチでチャラ男Bを視界から消し去る。もう魔法とか使ってる時間無い。
 チャラ男AB……さっき復活したところなのにすまん。本当は普通の魔術師には使っちゃだめな格闘技なんだが……この場合は使っても許されるよな。うん。俺が許す。

 そのまま、弾丸の様に走り続け……。






 ………。
 …………………。
 ………………………………。





 ガチャッ!!バタン!!

 家に入り、急いで扉を閉める。

「ふぅ……。取り敢えず家にいる分には大丈夫だろ。流石に不法侵入はできまい」

 家に入って玄関に手をつき、肩で息をしながら、独り言をこぼす。

「何やってんの……?」

 すると、頭の上の方から声がかかった。
    残りの力の大体半分くらいを使って顔を上げる。
    そこに居たのは、黒髪ツインテールの女の子……俺の妹の絵里だった。

「そんな所で寝てないで風呂入って。床が汚れる」
「こ、この状態のお兄ちゃんに掛けるべき言葉はちょっと違うんじゃないか?絵里……」
「じゃあ、死ぬ?」
「いえ、入らせていただきます……」
「よろしい。洗濯するものはカゴに入れといて。皇が風呂入ったら洗濯機いれちゃうから」
「おっけー……」

 壁に手をつきながらゆっくりと風呂場へ向かう。
 服を脱ぎ洗濯カゴに放り込み……バスタオルを持って風呂に入る。
    ポチャンという音と共に強烈な癒しが体を襲う。

「ふわぁぁ……。いい湯だ……」

 暫くお湯に使ってぽわぽわした気分になっていると。

「ちょっと皇!」

 そんな我が妹……絵里の声と共に風呂場のドアが勢い良く開いた。

「な、何? 俺なんかした?」

 俺が帰ってきてしたことといえば床に倒れて、風呂に入ったくらいだけど……。

「この服!」
「さ、さっき来てた服だな……。特に何もない位と思うんだが? 普通の制服だろ?」

    何かあったら逆に困る。

「女の人の匂いがする」

「……は?」
「彼女でもできた?」
「いや……そんなものはできてないぞ。てか、できる気がしない」
「そうよね……こんなやつ……私以外……」
「ん? なんか言ったか? 声が小さくて聞き取れなかった」

 絵里はたまにこういうことがあるから困るんだよなー。見た目はいいんだからもっと自分に自信持てばいいのに。

「な、なんでもない!」

 何かよくわからんが、絵里が声を荒らげる。

「ならいいんだが……」
「そ、そんなことよりなんなの!? この絶対に皇の匂いでは無いの匂いは!」
「考えられる可能性としては遥……かなぁ」
「……は? 誰それ」
「まあ……俺の友達かな? 今日一緒に学園行った女の子。ちなみに結構美人さんだぞ!自慢の我が友だ!」

 うーん……友達でいいよな?向こうが認めてくれてるかは分からないが、多分大丈夫だろう。

「……その美人さんとどれくらいの間隔置いてた?」
「ん? まあ、人が一杯いたのもあったから結構くっついてたかもなー。あと、席も一席一席が狭かったから、服と服くらいは……」
「もういい」
 
 俺が話してる途中で絵里にピシャリと話を遮られる。
 あれ?なんかお湯が冷たくなったような。
 そして、また絵里が続ける。

「……その子の家どこ?」
「な、何しに行くんだ?」
「決まってるじゃない。消しに行くのよ」
「………え?」 
 
 えっと……俺の妹が今、俺の友達を消すっていったんだよな?な、なんで?服に匂いが移っただけだよな……?

「聞こえなかった? 
 その女の子を、消、し、に、行、く、の」

 そんなことを言う絵里の視線は戦場に慣れているはずの俺でさえ背筋がゾクリとするほど、冷たかった。死んでいるような、色の無い、光の灯らない瞳。絵里……もしかしたら本当に……。

「……お前本気で……?」
「本気に決まってるじゃない。お兄ちゃんに近づく害虫は私が駆除しなきゃ」
「な、何言ってんだよ?」
「お兄ちゃんは私さえいればいい……他の女なんかいらない……」
「…………ッ!! 《闇よ眠りへと敵を誘え》!!」
「!!!」

 【スリーピング】の魔法を受け、ドサッという音を立てて崩れ落ちる絵里。

「うそ……だろ?」

 か、体が勝手に動いた……。まさか、絵里から発せられる殺意を感知して体が勝手に反応したのか……?俺に向けられたものでもないのに……。どんだけすごい殺意抱いたんだよ……絵里。に、匂いが移っただけだよな?

「原因は分からんが、そこまでやらなくても……」

 ……はっ!まさか!!

「俺にリア充になって欲しくなかったんだな!?」

 俺に先を越されるのがそんなに嫌だったか……。

 ふーむ、と納得の声を上げてから、結構本気で妹の将来について考えていると、

「が、害虫は……駆除……しな……きゃ」
「え……?」

    そんな声が聞こえ、驚いて床に転がる妹を見る。
 俺の【スリーピング】を受けて一瞬で起き上がるなんてそんなこと……。

「害虫は駆除ッ!!!」

 ありました。

「な、なんでお前起きてんの!?」
「執念で起きた」
「そんなことできんのかよ!?」

 お、俺の魔法を執念だけで破るなんて無理だろ……。それが出来るんなら、今まで俺に戦いを挑んできた奴等はなぜ全員が俺に負けていったんだ?絶対負けないだろ。

「く、駆除しなきゃ……」
「な、なあ、リア充になられるのが嫌なのはわかるけどさ……流石に殺す必要はないだろ?」

 そんなので人殺してたら世界からリア充が消える。いや、まあ、それも悪くないけど。
 
「は、はぁ!? わ、私の気持ちに気づいてたなら言いなさいよっ!!」
「ん? ……ああ! よくわかるよ! リア充この世から全て消したいよなぁ!」

 全員消えられると困るが本心で言えば消したい。主に人前でいちゃつくバカップル。死ね。

「…………そういう意味じゃない」
「えっ? 違うのか?」

 その言葉を聞いた瞬間、周囲の空気、もとい、絵里の周りの空気の温度が急速に下がる。
 絵里は手を小刻みに震わせながら……。

「……死ね」
「ぐほわぁっ!?」

 お、お兄様ともあろうものに本気の右ストレートをぶち込むなんて……!しかもお腹に!明日血尿とか出て死んだらどうするつもりだ!?
 いや、そんなので死ぬわけ無いんだけどさ……。

「もしかして、私が彼氏作らない理由分かってない……?」
「いや、お前モテるんだから彼氏作ればいい話だろ。なんで作らない?」

    まあ、彼氏が俺に挨拶をしに来ようものなら遺書を持ってきてもらうことになるが。俺の可愛い妹に手を出そうなんて輩は許さん。即刻死刑。

「………チッ」

 し、舌打ち? 俺の妹が今俺に舌打ちした? こんなにも絵里のこと思ってるのに……?……いやいや、よく考えろ。今絵里は反抗期なんだ。そうだ。だから、俺にも反抗的。異論は認めん。認めたくない……!!

「まあいいや。その遥とかいう女に伝えといて」
「なんて伝えるんだ……?」

 絵里はそこで一旦間をおき、衝撃的な文章を発する。


「『私の兄に手出したら殺す』って」

「お、おう……」

 そこまで俺をリア充にしたくないか……!まあ、別に遥のこと好きな訳じゃないし、あっちも俺に好意とか抱いてないと思うし、いいけどさ……。いいけどさ……!

「しょうがないから、これくらいで妥協する」
「そ、そうか」

 これくらいの意味ってどんなんだったっけ……?なんか俺の頭の中に出てる意味を今の文に当てはめるとかなりおかしい文章になるんだが……?

「じゃ、ごゆっくり。……夜寝るとき、人の気配に気をつけた方が良いかもね……」

 低く暗い声で忠告してくれる。
 人の気配……ま、まさか、夜包丁でも持ってきてぶっ刺すつもりか!? ……し、暫くは姫乃の家に泊まろう。多分今回のはどうにもならない。うん。石橋は叩いて渡る。危険は少しでも減らす。師匠の言葉を守ろう。

 この時は、それが最良の決断だと思っていた。




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