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1章 テイマー強すぎる件
錬金術
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俺はまぶたの向こうに光を感じ、少しだけ目を開いた。強い光が視界に飛び込んで来て何度か瞬きをする。
ん……。もう朝か。
寝起きでぼやける目を擦りながら周りを見た。ドラゴンが二匹、俺の周りを囲うように寝ている。その円は、どんな魔法陣よりも強力と言っても過言ではないだろう。
……しかし、昨日のが夢じゃなかったとは。嬉しいような悲しいような複雑な気持ちだ……。
そういえば、置いてきちゃったけど、他の奴らはどうしたかなぁ?もしかして、俺のこと死んだと勘違いしちまってるかもなぁ。
泣いてくれる奴もいるだろう。でも、それで喜んでるやつもいそうだな。
俺はクラス全員の顔を思い出しながら思った。
「グルルルル……」
クロノスが唸った。もう起きたのだろうか?といっても、今、昼ぐらいな気がするが。
「グガァァァ」
それに釣られたかのようにティアマトも唸った。
二匹ともフラフラしながら立ち上がった。
やっぱ、近くで見るとこいつらめちゃくちゃデケェ……。俺は目の前にそびえ立つ巨体を見ながら思った。
「おお?もう起きてたのか。早いな。」
ティアマトが言った。いや、だから多分今、昼過ぎだと思うよ?どっちかと言うと遅いと思うんだが。
クロノスは何も言って来ないのか見てみると、何故か、クロノスが一点を見つめている。
「どうした?クロノス?」
「ん?いや、少しあそこにあるものが気になってな。」
そう言われ、俺もクロノスの見ている方角に目を凝らしてみた。すると、その視線の先には、石版の欠片のようなものが落ちていた。
「あれは……。おい、優斗、あれ拾いに行くぞ。」
ティアマトが深刻そうな顔をして言った。なんだろう?もしかして、ティアマトでもヤバイことでも起きるの?
俺は、反射的に落ちている欠片を取りに行った。なんか、ティアマトとクロノスが気になることって俺も気になるじゃん。
俺は近寄って石版の欠片を拾い上げた。触った感覚はただの石だったが、よく見ると文字が書いてある。けど、読めない……。
「くそっ!これが何でこんなところにあるんだ!?」
ティアマトが、いきなり叫んだ。
「なんかやばいのか?これ。」
「ああ。ヤバいぞ。これは錬金石版だ。」
ティアマトはさっきより深刻な顔をしている。それにしても…錬金石版って、どこかで聞いたことがあるような……。
……はっ!思い出した!現物がまだ確認されたことの無い、訳のみしか存在しない伝説の石版じゃねえか!地球にいた時に聞いたぞ!でも、それがなんでこんな所に……?
「奪われたか……。このクソ野郎が……。」
クロノスが怒りに身を震わせている。完全に口調も変わってしまっている。一歩も動いてないが、デカイ威圧感が襲ってくる。
「奪われたってどういうこと?」
「いや、すまん。こっちの話だ。……一つだけヒントを出すとしたら、この石版はさっき話してた『アイツ』に関わってる。」
クロノスが言った。アイツって確かさっき話してたティアマトとクロノスより強いやつのことだよな。そいつに関わってるって……確かにそれはやばい。
俺が事態を飲み込み始めた時だった。
「なあ、俺達と一緒にこの石版の欠片を集めないか?」
「……集めなきゃいけないのか?」
「ああ。ちょっと予定が変わってしまってな。すまない。」
クロノスが申し訳なさそうにグルル……と唸った。今、こいつらと離れるのはダメだ。だって俺一人じゃこの世界は生き抜けないもん。だから、
「なら、集めよう。お前達が深刻そうな顔をしているのも見過ごせないけど、何より俺の身体が危ないからな。」
クロノスとティアマトは一瞬目を丸くしたが、すぐにプッと吹き出し、大声で笑い始めた。
「そうだそうだ。それでこそ我が主だ。」
ティアマトが腹を抱えて転げ回っている。
クロノスは、全力で笑いを我慢してる。けど、完全に我慢しきれてない。
「そういや、錬金石版の欠片を集めるらしいけど、どの辺にあるか分かるのか?」
「ん?ああ。一応分かるぞ。どの辺にあるかぐらいは。」
ホッ……。俺は胸をなでおろした。いや、だってそんな長い間、錬金石版を集めるっていうのも辛いからな。
「で、二つ目はどの辺にあるんだ?」
「ああ。多分それなら、さっき言ってたダーマ王国?とか言うのに行けばいいと思うぞ。」
「ダーマ王国に錬金石版の欠片があるのか?」
「ああ。多分な。」
ティアマトが言った。二匹とも同じ事を言っているのだから、多分合っているのだろう。でも、錬金石版って具体的に何に使うんだろう?疑問になった俺は聞いてみた。
「それはだな……そのまんまだ。錬金術について記してある。ヴァベルの塔というのが出来たのは知っているか?」
「え?あのヴァベルの塔?知ってるよ? 」
「ああ。実はあれ、錬金術で作られてたんだ。」
「お、おい、ちょっと待て。この世界ってなんなんだ?」
ヴァベルの塔とか、何でそれがこの世界でも出てくる? あれは地球のものだろ。
「それは、この世界について聞いてるのか?……昨日言ったろう。強くなったら全て教えてやる。」
「そうか……。」
俺は腰を上げると、次の国へ向かって歩き出した。もちろん、クロノスとティアマトは剣になった。
ん……。もう朝か。
寝起きでぼやける目を擦りながら周りを見た。ドラゴンが二匹、俺の周りを囲うように寝ている。その円は、どんな魔法陣よりも強力と言っても過言ではないだろう。
……しかし、昨日のが夢じゃなかったとは。嬉しいような悲しいような複雑な気持ちだ……。
そういえば、置いてきちゃったけど、他の奴らはどうしたかなぁ?もしかして、俺のこと死んだと勘違いしちまってるかもなぁ。
泣いてくれる奴もいるだろう。でも、それで喜んでるやつもいそうだな。
俺はクラス全員の顔を思い出しながら思った。
「グルルルル……」
クロノスが唸った。もう起きたのだろうか?といっても、今、昼ぐらいな気がするが。
「グガァァァ」
それに釣られたかのようにティアマトも唸った。
二匹ともフラフラしながら立ち上がった。
やっぱ、近くで見るとこいつらめちゃくちゃデケェ……。俺は目の前にそびえ立つ巨体を見ながら思った。
「おお?もう起きてたのか。早いな。」
ティアマトが言った。いや、だから多分今、昼過ぎだと思うよ?どっちかと言うと遅いと思うんだが。
クロノスは何も言って来ないのか見てみると、何故か、クロノスが一点を見つめている。
「どうした?クロノス?」
「ん?いや、少しあそこにあるものが気になってな。」
そう言われ、俺もクロノスの見ている方角に目を凝らしてみた。すると、その視線の先には、石版の欠片のようなものが落ちていた。
「あれは……。おい、優斗、あれ拾いに行くぞ。」
ティアマトが深刻そうな顔をして言った。なんだろう?もしかして、ティアマトでもヤバイことでも起きるの?
俺は、反射的に落ちている欠片を取りに行った。なんか、ティアマトとクロノスが気になることって俺も気になるじゃん。
俺は近寄って石版の欠片を拾い上げた。触った感覚はただの石だったが、よく見ると文字が書いてある。けど、読めない……。
「くそっ!これが何でこんなところにあるんだ!?」
ティアマトが、いきなり叫んだ。
「なんかやばいのか?これ。」
「ああ。ヤバいぞ。これは錬金石版だ。」
ティアマトはさっきより深刻な顔をしている。それにしても…錬金石版って、どこかで聞いたことがあるような……。
……はっ!思い出した!現物がまだ確認されたことの無い、訳のみしか存在しない伝説の石版じゃねえか!地球にいた時に聞いたぞ!でも、それがなんでこんな所に……?
「奪われたか……。このクソ野郎が……。」
クロノスが怒りに身を震わせている。完全に口調も変わってしまっている。一歩も動いてないが、デカイ威圧感が襲ってくる。
「奪われたってどういうこと?」
「いや、すまん。こっちの話だ。……一つだけヒントを出すとしたら、この石版はさっき話してた『アイツ』に関わってる。」
クロノスが言った。アイツって確かさっき話してたティアマトとクロノスより強いやつのことだよな。そいつに関わってるって……確かにそれはやばい。
俺が事態を飲み込み始めた時だった。
「なあ、俺達と一緒にこの石版の欠片を集めないか?」
「……集めなきゃいけないのか?」
「ああ。ちょっと予定が変わってしまってな。すまない。」
クロノスが申し訳なさそうにグルル……と唸った。今、こいつらと離れるのはダメだ。だって俺一人じゃこの世界は生き抜けないもん。だから、
「なら、集めよう。お前達が深刻そうな顔をしているのも見過ごせないけど、何より俺の身体が危ないからな。」
クロノスとティアマトは一瞬目を丸くしたが、すぐにプッと吹き出し、大声で笑い始めた。
「そうだそうだ。それでこそ我が主だ。」
ティアマトが腹を抱えて転げ回っている。
クロノスは、全力で笑いを我慢してる。けど、完全に我慢しきれてない。
「そういや、錬金石版の欠片を集めるらしいけど、どの辺にあるか分かるのか?」
「ん?ああ。一応分かるぞ。どの辺にあるかぐらいは。」
ホッ……。俺は胸をなでおろした。いや、だってそんな長い間、錬金石版を集めるっていうのも辛いからな。
「で、二つ目はどの辺にあるんだ?」
「ああ。多分それなら、さっき言ってたダーマ王国?とか言うのに行けばいいと思うぞ。」
「ダーマ王国に錬金石版の欠片があるのか?」
「ああ。多分な。」
ティアマトが言った。二匹とも同じ事を言っているのだから、多分合っているのだろう。でも、錬金石版って具体的に何に使うんだろう?疑問になった俺は聞いてみた。
「それはだな……そのまんまだ。錬金術について記してある。ヴァベルの塔というのが出来たのは知っているか?」
「え?あのヴァベルの塔?知ってるよ? 」
「ああ。実はあれ、錬金術で作られてたんだ。」
「お、おい、ちょっと待て。この世界ってなんなんだ?」
ヴァベルの塔とか、何でそれがこの世界でも出てくる? あれは地球のものだろ。
「それは、この世界について聞いてるのか?……昨日言ったろう。強くなったら全て教えてやる。」
「そうか……。」
俺は腰を上げると、次の国へ向かって歩き出した。もちろん、クロノスとティアマトは剣になった。
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