石炭と水晶

小稲荷一照

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ミンス

共和国協定千四百四十三年新春

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 マジンが海に船を進めたのは当然に自分で作った新型機械を試したかったからでもあるが、海に出てみたかったからでもある。
 年越しの祭りが終わって、まだしばらく雪が残るこの時期は様々な計画が去年のまま動いている時期でもあって、春先雪解けの帳尻合わせの忙しさまでの暇な期間でもあった。
 プリマベラの五号船ペルセポネにマイノラとボーリトンとその後輩二人との、男五人で川を下り海に出ていた。
 ペルセポネは輸送船というよりは、もう少し戦闘的な長距離の航海を想定していて貨物室が少し小さく作られていた。
 石炭重油の兼燃缶によるタービン発電であることは変わりなかったが、運転温度が少し上がり、発電効率が上がっていた。
 その増した電力量で音波探信儀と電波探信儀を稼働させていた。
 高精度の時計とその遅れを確認しつつ、地形を探りながら自分の速度と位置を確認する。泥海の間は殆ど海底の反響で動いているのかそうでないのかわからなかった音探が外海に出た途端、はっきり音が返るようになったことにボーリトンは驚いていた。
「しかしこの船が小さいとか言っちゃうってのも旦那もデカい人ですよな」
「海に出ることを考えれば小さいだろう」
 全長百五十キュビットほどの船体は似合わず操作の多くが機械化自動化されていて、巡航中は掃除以外は殆ど作業を必要としなかった。
 プリマベラは川船としては大柄な船だったが、外洋船としては中規模な船だった。小さいと言い切ってしまうには大柄でもあったが、海の広さに比べれば心細い。
 川を行き来するために全体に細く作られた船は、海に出れば吃水を深くすることで多少落ち着きもしたが、海が荒れれば様々に苦労することは覚悟が必要だった。
 更に大きなオゥロゥ型は流石に一人では見きれないが、細くすっきりとした船体と集中的に操作できる操舵と機関によって操船そのものは、見通しの勘だけ良ければ一人でもおこなえ、港によるつもりがなければ殆ど手間がかからない。
 完全な外洋船として全長五百キュビットの船を考えているマジンとしてはプリマベラは小さな実験船であった。


 ボーリトンの後輩、ヘーチョとムーチョは別に兄弟というわけではなく本名でもないのだが、もうなんだかそうやって呼んだほうが早いようなのでそう扱うことにしていた、二人はドクのところのちびっこギャングなのだが、町でのほとぼりが覚めるまでしばらくどこかで預かって欲しいということで、船に載せることにした。
 なにやら二人は殺しの現場に居合わせたらしい。反射的に逃げたはいいが落ち着かなくてボーリトンのところに転がり込んできた。
 組織がしっかりしてくると無任所という人材は貴重でもあった。ヘーチョもムーチョも学もなく口も悪いが、頭が悪いというわけではなく、とりあえず体を動かすことを嫌がらない言いつければ走って動くくらいの素直さはあったので、小遣いを払って置いておくくらいの価値はあった。
 一気に泥海と青海の切り替わるマスケットまで足を伸ばして石炭を積み込んだ。
 巨大な半島の先端部に位置する低緯度帯の日差しながら目立った山もないのに風の切り替わりのせいか時たま雨も降る気候の土地で、一面のとは云わないまでも青々としたブドウやナツメの畑が広がっている農地もある。
 交易は海路で行われているが風が吹く青海と一様に凪いだ泥海の間で対岸への渡しは簡単で、貿易は非常に盛んな土地であるという。
 往来が簡単なせいか舟の規模も全体に小さく、海原深くでは海賊という程のものは出ないが港の入り口を狙ったものはそこそこ多く、それ以上に港を上がってからのほうが多いらしい。
 マイノラとボーリトンに食料と石炭を買いにゆかせ、ヘーチョとムーチョに天文を使った位置の計測を教えつつ、測量をおこなっていると、物売りがしきりに舟の辺りを巡っていた。警笛銃を鳴らすと逃げ散らずによってくるというのもお土地柄のようで、果物の様子を見ると大きく張りがあって水と日差しが豊かそうでもある。豊かな森という風には見えないがいたるところに草原はあった。
 石炭はこの辺りだと多少高く、むしろタールのほうが安いらしい。燃料としては使いやすいのは石炭で火を回すまでのタールの苦労を考えるとわからないでもない。
 とはいえこの辺は流石になれたもので素焼きの柄杓にタールを汲んで火にかけるそういう竈用の器具がある。口火になる焚付にちょっと木くずを乗せて火を回して使うらしい。火を消す時はタールの入った金属の壺にドブンと柄杓を沈めて蓋を閉める。火を足したいときは柄杓の中身を炉に開けてタールを掬って炉に戻す。火が回ると中身を開けても柄杓が松明のようになっていて見た目乱暴だがそれで事が足りるという。
 積むべきものを積んでしまえば四人には小遣いをくれて、夜のうちに帰ってくるように命じて船楼で居眠りをしていればよかった。
 百五十キュビットという船体はこの港でも確かに巨船の部類ではあったが、他の帆船も百キュビットを超えているものはかなりあり、喫水線の船腹の太り具合や乾舷や上構の高さを考えるとペルセポネより大きな舟も幾つかいた。
 そういう木造船の中で焼いた骨のように白く細いペルセポネはひときわ目立っていた。
 ぼんやりとした泥海の朝焼けと違って青海の朝日はひどく赤く感じた。
 気のせいということもあるが、水面下に浮かぶ日の形が泥海の風景とは全く違った。
 果てしなく海面一面が赤くすべてを塗りつぶすようなことはなく、むしろ海の暗さを感じさえした。
 陸に上がった四人は十人ばかり船乗り風の連中を連れてきた。
 どういうふうに説明したのかは知らないが仕事はかなりある。
 ペルセポネは手のかからない船ではあったけれど、帆船と云うものは舟が大きく帆が大きくなればどうしてもそれなりに手間のかかるもので、海のことがわかっている連中が多少とも必要なものでもあった。
 遠くの見張りは電探で浅瀬の様子は音探で概要は知れるが、舵を細かく切るような近場や波の様子は人の目に頼るしかない。
 どうも岸壁にぶつけたことを見られていたらしく、船乗り連中には人手の足りない新造船であると見破られていたらしい。
 その後ここで石炭を仕入れるなんざどんな素人かと酒場で見慣れない連中を探していたら、身なりのシャンとしたのが小僧を連れてウロウロしていたから、威勢のいいのが十人雇われてやろうと押しかけたと。そういう流れであった。
 派手にスカした船というのは意外と人が集まらないということらしく、足りない分は後で足すとして、ペルセポネは青海に乗り出した。
 帆走中タービンは殆ど不要なわけだが、電気や真水を作るためにも待機状態を維持するために釜の火は航海中完全に落とすことはしない。
 マイノラは人手に余裕ができたことで慣らしの最中である機関の様子を確認していた。
 舟用のレイアウトと大きさを除けば基本的な構造そのものはストーン商会の冷凍庫の蒸気圧機関と変わりない。
 作っている人間も一緒だから計器配置や読み方も、計器の形は違えど変わらなかった。
 ただ、丘と違って狭いことと、そのせいで暑いことが機関室の問題だった。
 一応計器の集まっているところや幾つかには外気を冷房で冷やしておくって溜まった熱を引き抜く配慮はされていたが、そういう空気の暑さよりも釜本体がジリジリと放射する熱がさばいた魚をジリジリといい感じに炙るくらいに船底を満たしていた。一応そういう放射を減らすために銀が張られて白く吹かれはいたが、元がどれほどであろうと、まだ十分というわけではなかった。
 マイノラは拾ってくるときに使えそうな感じだった二人を機関室の助手にして掃除をしながら説明をしていた。
 帆船としてのペルセポネは鈍重というわけではないが凡庸な船だった。
 ペルセポネは機帆船ではあったが、機関船に趣味としての帆走機能をつけたものに過ぎなかった。姉妹船のエリアルはもう少しまじめに帆走をも考えた三本帆柱の船上構造をしていて細く長い水線に安定した重心の船体で満帆時の帆走はどの快速帆船にも負けるものではなかった。
 ペルセポネはジブセイル一枚とメインマストの四角い横帆三枚のひどくスッキリした船様で百五十キュビットの船体を走らせようと云うのだから、帆を支える横柱に多少の工夫があろうと、帆の向きが操作に軽く変わろうと、軽快に走ろうというのは、それは無理というものだった。エリアルと違って大きな武装も後甲板に積んでいる。
 だが、もちろんそんなこととは関係なく電動機で回転するダクテッドプロペラが船足を支えていた。補助舵を兼ねたそれは完全帆走時には船足を削ぐだけのシロモノだったが、わずかでも通電していれば舟の腰を支え波を切り裂くようにペルセポネを走らせる翼のようなものだった。
 標準的な快速船が三本柱三枚帆と補助帆の操作で四十名余りで操作するところを、ペルセポネは三枚の帆と一枚の補助帆を四人で操作してきたことは、正直船乗りたちにとっては無茶が過ぎるという感想しか出なかったわけだが、あからさまに欲張った帆の広さをものともしないで巻き上げる機械力を見て毒気を抜かれていた。
 だが最後はやはり帆の動きと船の足腰を見て勘に頼った展帆が必要で、そこは川や泥海とは一味違う妙味があった。
 広い海に出てからはひどく快調に舟は走った。
 ムビル、サイロン、チェナイと抜ける間に更に十五人ばかりの船員を増やした。元来どこか陸に付いたら降りるつもりだった船員も、あまりに船足が早く迷っているうちに次の港につくという有様だった。
 ペルセポネの船倉は狭いとは言っても、舟の大きさに比して狭いというだけで、人が寝るには広い屋敷に転がり込んだような安心感から、船員たちはネズミが巣を作るようにアチラコチラに寝床を整え居心地よさ気にいついていた。
 サイロンあたりだと豚姫海賊団の活躍は様々に上っているらしく、ややこしいお土地柄らしく尾鰭背鰭がついていて悲恋の物語や血沸き肉踊る冒険譚になっていた。
 豚姫というのはもともとどこぞの怪談もどきのお話で、豚に変えられたお姫様を食べた女が豚に変わる、それを延々繰り返すことで豚姫は食べられた女の知恵や力を蓄えつつ永遠に生きる、というようなお話であった。
 豚に変わって知識を使える間なぞたかが知れていようにと思わないではないが、そこはお話なので面白おかしく恐ろしく出来ていた。
 センヌまで海路を七日で着いてみれば、ローゼンヘン工業の船団が軍都に荷をおろして帰るところだった。彼らは元来二週間ばかり早く帰るはずだったのだが、プリマベラの船型が手配書の海賊に似ているとジューム藩王国の外交筋から問い合わせが来て軍都で足止めを食っていたという。荷を運ぶ遡上でも旗竿に共和国の国旗とジューム藩王国の往来免状の旗流をさげていたにも関わらず威嚇射撃を受けたりとで、あまりにあからさまなイチャモンにセンヌのオルジャガ将軍の師団がエルベ川を登って展開し、帰りの船団に陸兵が乗り込んで睨みつけるようにしながら川を降ってきたという。
 このあともう一便が既にヴィンゼを発したはずで、後半の便に電話交換機本体がつまれているので、それをどうするかという話にもなっていた。
 センヌで話を聞くに諸藩諸王国領域では貿易は比較的自由で殊に塩や穀物或いは地金は喜ばれる傾向にあるということだったので、センヌで船倉をいっぱいに満たして出かけることにした。
 ある意味でついでに寄ったダッカは、かなりの賑わいだった。
 絶望的な最前線の町でヌライバ大公国の裏切りにも等しい帝国軍への往来免除で一時は陸路を遮断されていたが、昨冬からの一大反攻作戦で大勝利を収めたり、そもそも水軍の基地として帝国軍の船団を仕留めたりと戦争はまだまだというこの時期ではあったが、海の町としては陸兵が本気になったのならば戦争は勝ったも同然と大盛り上がりだった。
 ダッカは私掠船の一大根拠地として私掠船免状を発行していて、帝国船の船首に付いている太陽の紋章やら公用船の名前入りの旗やらを持ち込むと賞金が出た。二つ揃えて二組持ち込めば軍船一杯かそれに積める大砲が一揃え手に入る金額になるということで、四隻襲えれば軍船一隻ということになる。
 バカバカしいほどに単純な煽りだが、危険があっても大きく稼げ、しかも国のために働いた英雄様になる機会、とこぞって腕自慢たちが無謀な賭けに乗り出していた。
 大方は当然に失敗していたが、紛れと当りを引き当てて一山当てたものも少なくない数いた事でダッカは煽るだけ煽ってひどく安く水上戦力を整えていった。
 船や大砲がタダと言っても修理や食料矢弾は大きな掛かりで、それを引き出すために戦闘を必要とし、という繰り返しは、よく言っても大道芸の皿回しのようなものだった。
 ダッカの船乗りたちは実用的な戦闘艦の中では異様に優雅に見えるペルセポネに場違いな印象を持っていて、豚姫の一党かと思いきや野郎ばかりがゾロゾロと降りてきて、地金を下ろして商いをしている様子にホッとした様子だった。
 最前線でもあり、陸路が未だに細いダッカでは予定外の飛び込みでも蓄えの利くものは喜ばれた。
 ダッカでは流石に海賊豚姫の噂は広まっていた。
 豚姫海賊団の名の起こりは実のところかなり眉唾で、帆柱を焼かれ舵をおられて漂流させられた船に乗り込んできた略奪者が美女ばかりで、頭目が猪のような牙を見せて豚姫と名乗ったということなのだが、このあたりは怪しげでもある。
 だが実のところ女ばかりで海賊を張っている船はダッカにもいくつかある。理由は色々あるのだが、つまりは海賊というものの成り行きであるから、そこは詮索するだけ無駄でもあった。
 海賊豚姫の評判はやはりここでも背鰭尾鰭がついて怪しくはあったが、多少は具体的でもあった。
 黒く細い船体の一本マストの遠目には遊覧船か貨物船。船の全容が見える位置にいけば黒い船体が実は小さくないことがわかる。
 風の向きや強弱に頓着しない位置取りはあからさまに素人くさいものだが、それが誘いで罠にかけたと思った時にはいつの間にか船に穴が開けられている。童話のように、どうぞ召し上がれと皿に乗った豚を食った途端に腹を豚の子に破られる、そういう不気味に手練な海賊だった。公認海賊たちのいくらかも幾度かそれらしい黒い細い船に出会って、絡んだ者達もいたが、船腹に穴を開けられ速度を削られ、追うどころではなく陸に戻ったという。
 問題は私掠船免状を保たないモグリの海賊が諸藩諸王国の海域、私掠船が行動しやすい多島海を荒らしている、そして名を挙げている、ということがダッカ公認の海賊たちにとっては気に入らないということだった。
 多島海には真水しかないような、或いは真水さえないような小島が百千万もあって、海賊たちはそれぞれ思い思いに泊地としているわけだが、当然に豚姫もそういう拠点を持っている様子で、その行方を追うことはひどく難しいことだった。
 もともと帝国領域寸前までは或いは石炭が買えなくなるところまでは行ってみるつもりだったので諸藩諸王国領に向けて進路を向けた。
 多島海に入ってからは、電探もチラチラと大きな反応を引っ掛けるのだが、それらしい船を見つけることはできなかった。そもそも島影が多すぎて反応が船だったのかも疑わしくも思えてくる。
 アバルツレイ半島の向かい側多島海にまたがる小国アルナンダマシャオキヤ王国はワオ族とキャオ族という二種類の亜人による連合二重王国できちんとした年号が寸断される以前のかつては帝国の属領であったが皇帝大逆という帝国の国家動乱があって独立した亜人国家だった。
 現在は夜型のワオ族と昼型のキャオ族がそれぞれに半ば共生するように国を成り立たせている。
 親帝国というわけでも反帝国というわけでもない独立国で、周辺国との貿易はあるが積極的に外に何をしているというわけでもなく、タダビトがいれば目立つような国でもあった。
 だが、ここの国の船大工は総じて腕がよく間に合わせを器用にこなしてくれるので、海賊や貿易船の修理の飛び込みが多い国として知られている。小さく入江と小島が入り組んだ半島部は潮の満ち引きで水路が変わり、魔法のように船を隠す土地でもあった。
 訳ありの金離れの良い船を相手にするうちに信用第一の昼夜を問わない船大工がいくらも出来た、という土地柄でもある。
 亜人の街ではタダビトが目立つのは当然でもあったが、一方で修理に飛び込んだタダビトは船大工を兼ねた船宿に匿われていることは大いに考えられた。
 海賊豚姫の船がミンスだとして飛び込みの船大工が本格的な修理をしたと考えるのは難しいところだが、艤装のいくらかを修理したとすれば相応の規模の船台と技術を持っているはずで信用第一が口を割るはずはないが、目星をつけることはできるはずだった。
 船を港に入れての結論から言えば数が多すぎた。
 船台の大きさから言えば三十かそこらは可能性があったし、それくらいの規模の船大工は女郎屋を含め船が必要とするものを粗方抱える集落になっていた。
 中には女で売っている船大工もあって、まぁ正直なところを言えばため息が出るほどに、世は様々、だった。
 三日ばかり船を町の大工にあずけて船底に付いた藻やら貝やらを落としてもらうことにしたのは、一種お手上げだったからでもある。ひとつきやそこらでそうそう船底が痛むというはずもないが、お大尽の見せびらかしをして衆目を集め、ついでに船を空にする機会も欲しかった。
 遠征の船長としてはのんびり船を空けることも出来ず、女断ちをしていたのもそろそろ堪えていた。
 そういうわけで、積んできた穀物やチーズなどを相場市場に流して金にすると、痛飲すべく酒場に繰り出した。
 野郎どもが女を見つけるたびに小遣いをくれてやって送り出し河岸を変え、と三軒ばかり繰り返してゆくと、懐かしい顔がいつの間にか座っていた。
「おう。四千八百タレルか。十二年ぶりだな。さすがに老けたが、……動きはそうでもないな」
「そう言っていただけると、ありがたいですな。若様。いやまぁ、今では立派な旦那ぶりですね。――お前も元気そうだな。……ま。マイノラ」
 イーゼン・マミーズミは白髪交じりの総髪をひっつめに高く髷をゆっていた。
 一瞬マイノラはしゃっくりとゲップに返事を邪魔されて酒盃を上げて返事に変えた。
「今日は何のようだ。仕事を探しているってなら船員の口はあるぞ」
 イーゼンはマジンの手を見てニヤリと笑った。
「旦那。お仕事の件もありがたいんですが、まずは先約の仕事のお支払いを頂きたいと思いまして」
「命で払えってんじゃないだろうね」
「セントーラの命をってなら、いま担保になっています。――あたしじゃありません。あたしはまぁ、旦那の顔を知っているからって渡りをつける算段をしてたわけでして」
 マジンが酒盃を片手に左手を懐に差し入れたのにイーゼンは慌てた。
 マジンはゆっくりと穴あき金貨を一本取り出し、目を向けずにマイノラに顔を回した。
「連中連れて次の河岸に先に行って、船が仕上がるまで適当に遊んでいろ」
 マイノラが一党を引き連れて席を離れるのを待ってイーゼンが手元の器に酒を注いだ。
「ほんとうに見事な旦那ぶりだ」
「で、お前は誰の使いだ」
「あたしはセントーラの使いです」
「で、あいつはドコにいる」
「ん。まぁなんつうか、あたしの仕事は、旦那をみつけて女どもに引き渡すまででして」
「その女どもがセントーラを預かっているのか」
「いや、まぁ、そういうわけでもないんですが。細かい話はあたしもなんで、そちらは河岸を変えてご案内いたします。よろしければ案内料を頂ければ。まぁ面倒事なんであたしが会えませんでしたで流すっつうのもありですが」
 マジンは懐に入っていた穀物の売上代金を財布ごとまとめて放る。
「駆け引きはなしだ。セントーラが死んでいれば後で利子を付けて返してもらう」
 イーゼンが渋い顔をした。
「博打の勝ち負けの利子を取り立てようなんざ道理が通りませんぜ、旦那。あの女は自分の命を賭場に放ったんだ。放ったのはあたしじゃない」
「同じことさ。どいつもこいつも世の中の連中は自分を賭場に放るつもりで他人を賭場に巻き込んでいる。お前もそうだ。これからボクを賭場の鉄火場に焚べようってんだろ。ボクはおとなしく焚べられてやるよ。せいぜいボクがうまく転がって勝ち目をつかむことを祈るんだな」
 イーゼンが案内したのは町から小舟で通う離れの船大工の一軒だった。
 船は入っていない。立地も半端で隠れるには向いていないが、女郎屋としてはなかなか繁盛していた。
 町から往来が見えないのもいいし、近くから船を出して寄せるのにも困らない。そこそこの船で入っても良い。町の裏側の小島一つが女郎屋のようなものだった。
 昔は船大工のついでの女郎屋だったが、今は女郎屋のついでの船大工になっていた。
 街では出せない半壊れや訳ありを扱う女郎屋でスキモノの戯れやゲテモノ好きには世に聞こえた名店であるという。亜人がなしているこの国この街で女郎屋だけが例外なわけもなく、港であればタダビトも多いがはるばる春を捧げに来る女という奇特を思えば、訳ありなのはむしろ当然でもあった。
 イーゼンが受付の番頭に何やら言うと中居がマジンを部屋に案内した。
 潮風に淫臭やら香の香りやらがまじり、船材を贅沢に使った宿の雰囲気を一転いかがわしいものにしていたが、建物自体のつくりはなかなかに技を凝らし贅を尽くしたものになっていた。床なぞミシとも言わない作りになっているのには感心する。
 部屋にはいると半玉だか見習いだかの女中がいて服を脱ぐのを手伝われて部屋の棚に丁寧にたたまれしまわれると、薄い浴衣を着せられて湯殿に通された。狭くもない湯船のむこうに荒淫に乳や股に浮腫や垂れが来ているものの年の頃はマジンと同じくらいの女二人と年若いというか姉がソラユエくらい妹がエリスくらいの年頃の子供が女が四人いた。
 本日はお殿様には遥々我ら親子をお贖い求めいただき忝なく存じ上げます、などと口上を述べていた。
 ブルネットの女はよく鍛えられていたが裸であればわかるほどに妊娠していて、もう一人の女は目を潰されていた。ブルネットの女は直接あったことはないが記憶があった。確か一万二千タレルの強盗だったはずだ。
「セントーラはどこだ」
 盲た女が裸の尻より頭を下げたまま応えた。
「セントーラ様はこちらにはおいでになりません。お殿様にお越しいただきたく少々迂遠な方法を取らせていただきました」
「理由はそこのトキオマルクノイジドーラか」
 この数年で名を売ったブルネットの女が伏せたままピクリと反応した。
「それは理由の一端にありますが、全てではありません。セントーラ様、ヴィオラ姉様とミンス様をむざむざ殺させないための帝国に対する訴えでもあります。細かな話は枕語りにいたしましょう」
 予想通り、セントーラは帝国に帰って子供を産んだ後、継承儀式とやらをおこなっていた。そのみちゆきで妹シェラルザードが生きていることを知ったセントーラは数名を雇ってシェラルザードとその娘二人を奪還したものの、ミンスを奪われ自らも囚われた。
 オーベンタージュの領地、練兵場の一角、通称豚小屋は兵士を生ませるための人間牧場だった。
「それが成り立つのか」
 そんな風に無理に数を仕込んでもヒトが使えるようになるまでの時間と費えを考えれば、その投資は途方も無いと思えるのだが、帝国ではそれが成り立つという豊かさに目眩がする。
 人間の家畜としての採算性は成長と経費を考えれば優秀と言いがたい。
 繁殖期は年中だが、繁殖年齢も早くて八歳、普通十歳を超えばらつきがあるとなればどうにもならない。
 経済性を考えるなら何処なりとで奴隷狩りのほうがまだ健全だ。
 成り立つか成り立たないかはともかく、現実としてここにいる四人ともに前歯が犬歯まで全て抜かれ左手の甲と右の尻たぶに大きな烙印が入っていた。
 オーベンタージュが何を欲したかは知らないが、その継承のためにヴィオラを欲し、それが手に入れられないとなるやシェラルザードに子供を生ませ無駄であることを確かめ、子供を腹いせに孕ませ、息子は兵に取り上げた。三人目が息子であることで無駄を知ったオーベンタージュに処分される寸前に彼女は救出されたが、代わりにセントーラは捕まった。
 ノイジドーラは船をくれてやるからとそそのかされ、セントーラを手伝ったはいいが、間抜けにもミンスを奪われる失態を犯し、その時の相方もろとも自らも豚小屋に放り込まれ、セントーラが自分の保険のつもりでとっておいた策で自分一人で這々の体で逃げ出した。
 ノイジドーラは身一つで逃げたというわけではなくて、豚小屋ひとつまるごと脱走した。
 保険とはセントーラが飲み込んでいた二パウンほどの爆薬で、肛門に仕込んでいた銃弾は取り上げられたものの爆薬の方は気づかれずに石組みに巧妙に隠したという。
 ノイジドーラに一応可能性のないわけでもない逃げ出す方法を託けたのが約一年前。
 オーベンタージュは一年のうちに二回豚小屋を破壊されたことになっていい面の皮だが、流石に三度は続くまいという、三度目の策が帝国の船を襲い、オーベンタージュに咎ありと含みおきつつマジンを呼び出すという方法だった。
 セントーラにしてみれば計算のできる方法はもうないということだった。
 この女郎屋、泡姫郭に身を寄せているのはここでマジンに身請けしてもらって、新しい身分を作るためというのがもともとの計画ではあったものの、今となっては食料を町から船に運びこむにも必要だったし、ノイジドーラにしてみれば帝国からも共和国からも追われる身になってしまって立ち往生でもあった。
「ちなみにここまでどうやって逃げてきたんだ。素っ裸というわけでは無かったんだろう」
「雌奴隷の脱走があるはずだから捕まえてこちらの女郎屋に売ってくれと宝石で支払ったと聞いております」
 シェラルザードが収まった陰茎の位置を探るように腹をさすりながら言った。
「船にいる連中は身寄りはなしか」
「あればとっくに逃げているよ。あの船がいい船だってのは間違いないけど、百人もでずっとすむには狭すぎる。もう子供も何人か生まれている」
 ノイジドーラが呆れたようにいいながら腕に乳房を押し付けた。
「今回はそんなに出費をするつもりがなかったから、そんなにたくさんを身請けするカネはないな」
 そう言うとシェラルザードはコロコロと笑った。
「壊れや片端を高く売る女郎屋はありません。はした金でお引取り頂ければ棺桶を荼毘に付す必要もなく店の面倒もなくなります」
「流石に三度同じ手に引っかかるほどに間抜けではあるまいな」
 翌日ノイジドーラの案内でミンスに何が残っているのかを確かめに上がった。
 小さな島の浅瀬に停泊中のミンスは石炭とか硝煙の匂いよりも盛りのついた女と溢れる乳に子供の糞便の香りと何か目眩がする香りだった。船長室の組み合わせ錠を開けると書き込みのある地図とセントーラの文字で書かれた書付、日誌と台帳があった。
 帝国の地図はひどく詳細で読みやすい。
 セントーラがここを脱出の拠点に選んだのは、メコンフナン川の出口にあたり帝国西域を一気に南下して諸藩諸王国領に脱出できるからだった。
 何千という規模であればともかく数百であればいくらかのいかだで下ることもできる。
 マジンにとって問題だったのは彼自身救出作戦のような細かな目標を見分けるセンスに欠けているところだった。百人殺したり千人殺したりという雑な仕事は得意技なのだが、千人の中から一人を見つける、という作業はマジンにとってひどく難しいことだったし、今回の仕事での重要な点だった。
 城の内部が見当付く者でもう一度いってもいい、という女は当然に少なかった。
 一旦ペルセポネを泡姫郭に寄せて豚姫海賊団の運営に関係ない女たちを、ボクが買ったから先に持って帰るように、とマイノラに指示すると、臨時雇いの男たちは仰天したようになっていた。
 海で海賊狩りをするつもりで持ってきた武具と軽自動車と短艇用の船外機をおろし、イーゼンマミーズミを捕まえた。
「イーゼン。手伝いを頼みたい。セントーラとその娘を救い出す。断るなら早く逃げたほうがいいぞ。失敗したら地の果てまでも追って殺す」
「あたしがいれば成功するような言い草ですな。それに失敗しても旦那は生きているようだ。あそこは要塞ですよ。二度は正直浮かれポンチが油断したんだと思います」
「それはいい。ボクは要塞やら砦やらを落とすのが趣味なんだ」
 マジンの自信ありげな様子にイーゼンは疑わしげな渋い顔をしたが諦めた様子だった。
「……わかりましたよ。それで、あたしの役回りは」
「一リーグばかり離れた森のなかから援護してくれればいい。やり方は後で教える。それが終わったら帰ってもいい」
 帰っても、という言い草にイーゼンは鼻で笑った。
 建物の案内は、結局ノイジドーラがおこなうことになった。軽自動車二両をまとめて載せられる川船を一艘買って食料を揃え船外機で一気に川をのぼり始めれば準備万端だった。帝国領内も南の方の国境の入り組んだあたりは、単に帝国領であるというだけで人家もなければ畑もなかった。偶に申し訳程度の街道風のものが見えたりもするがそれだけだった。
 風景が少し変わったのは森に埋もれた山間がいきなりえぐれたような盆地になってからだった。
 地図で見たときに巨大な爪あとのように見えた地形の断絶は思いの外豊かな水源と農地だった。そこからは川の別れが複雑で慎重に上る必要があったが外れである灌漑用の貯水湖には出なかった。
 遠くに石で作られた尖塔が見え田園の街道を見下ろす城塞が見えた。
 船から機関車を引き上げ船を森の沢沿いに滑りあげ下草に隠した。そこからイーゼンの使う迫撃砲と弾薬箱を森のなかに運び入れ、足元と向きを定めた。
「イーゼン。お前の仕事はとても単純だが重要だ。無線機で合図をするが、合図がなければ時間がきたら、まず、この箱のなかの弾の頭についているピンを抜く。それを翅を下にして滑り落とす。弾が飛んでゆく。お前がやるべきことはこれだけだ。それを、ここにある三箱、五十四発発射すること。それだけだ。だが実のところ、今回の作戦は他のところは出たとこ勝負だ。だから打ち終わったら適当に逃げてもいい。或いは無線機を使って呼び出してくれれば指示をする。夜目で一リーグもあれば音だけで位置を割り出すことはできないし、小規模な騎兵なら逃げ切れなくなってからでも機関小銃でやり過ごせる。あれなら暇なうちに三散射に設定しておけ。逃げるときはあの自動車を使っていい。少なくとも馬には追いつかれない。
 ノイジドーラ。お前は居館を中心にヴィオラとミンスを探せ。手早く行けないと思うなら目星がついたところでボクに場所を教えろ。地図の見方は教えたな。マスの記号を言って東西南北だ。新しい建物があってもそれでだいたい分かる。
 夕方まで休んで日が落ちたら行動を開始する。簡単だろう」
 作戦の簡単さは実施の簡単さを意味しないし成功の簡単さも意味しないが、ここまで来てしまった以上仕方ないし、マジンの装備の禍々しさを見たときに二人はあまり文句をいう気がしなくなった。巨大な弾薬箱を背中に背負って肉厚の銃身の機関小銃にベルトでつなぎ左肩にかけ、背より高い長弓にワインのボトルのような鏃をつけた矢を十本といかにもおもたげな金属の矢柄を二十本。他にいくらか。という様相であった。
 ノイジドーラは銃と弓の組み合わせに疑問を持っていたが、威力がありすぎて人を殺すのに向いていないと昔言っていたことに、イーゼンは覚えがあった。
 少なくともイーゼンは以前少年だった人物が出来たことを今再びおこなったとして同じ結果に終わるはずがないと考えていた。
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日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

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