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8 約束
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ルスランはキリルの口を荒々しく奪うと、塞いだまま激しく刺し始めた。
喋ろうと顔を背けても、すぐにルスランが追ってきてキリルの舌を吸うから、ちっとも聞けやしない。さっき、ルスランが言った言葉の意味をちゃんと尋ねたいのに。
「ひゃ、あ、ま……っ!」
「キリル可愛い、キリルキリルキリル……ッ!」
ぎゅうぎゅうに抱き締められて、キリルは喘ぎ声を放つだけで精一杯になる。
「あ、ん、あああああっ!」
ぐちゃぐちゃという水音と荒々しい吐息が、結界陣の中に響き渡った。
――駄目だ、気持ちよすぎて、頭がうまく働かない。だけど聞かないと、ルスランはさっきなんて言ったのかを聞かないと……!
「あ、あ、待っ……! ルスラン、ああっ」
「キリル、可愛い、好きだ、ずっと俺のものにしたかった……! だけどエリザベータがいたから俺は……!」
ルスランが、キリルへの愛を叫ぶ。キリルは驚きのあまり、目を見開いた。
「う、嘘……!」
ルスランはキリルの顔中にキスを落としながら、怒鳴り続ける。
「嘘なもんか! 笑わないお前が俺にだけ笑うのが嬉しくて、俺だけのものにしたくて――だから俺は咄嗟にお前を助けたんだ!」
「あ、駄目、イッちゃう、待、あ、ああああっ!」
「キリル、キリル!」
ルスランのあまりの激しい抽送に、キリルの意識が吹っ飛びそうになった。
「ルスラン――好き、俺も大好き!」
「……うあああああっ!」
バン! と音を立てて最奥までルスランが入ったと思うと、ルスランが再びキリルの中で果てる。
どく、どくというルスランの脈動が切ないほどに愛おしくて、キリルはルスランに渾身の力でしがみついた。
「大好きだよ……! 死ぬその瞬間まで、俺と一緒にいて、お願い……!」
「はあっはあっ……! それは俺の願いだ、キリル……!」
ルスランは勢いよくキリルから出て行くと、キリルをひっくり返す。くたりとなっているキリルの腰を持ち上げるとすぐに差し込み、後ろから獣のようにキリルを激しく穿ち始めた。
「はあ……っ! あ、んああっ、気持ち良すぎて死んじゃう、ああ、最高、ルスラン――ッ!」
唾液が口から情けなく飛び出していくけど、構ってなんていられなかった。全ての神経を、ルスランとの交合に集中させる。
好きな人に抱かれる幸せと、押し寄せる快楽。周りには魔物がうじゃうじゃいるというのに、キリルは我を忘れて嬌声を上げ続けた。
何度目かで互いに果てると、気絶したように眠り、どちらかが目覚めると再び激しく交わる。
起きる度に、結界陣がまだ動いていることを確認しては、「まだまだ」と何度もまぐわった。
結界陣の外では、魔物たちの戦いが次第に終わりに近付いていた。やがて数匹の同種の魔物が、まぐわい続けるキリルたちを冷ややかな目で観察し始める。勝者が決まったらしい。
「魔物に見られながらヤるなんて、俺たち凄いな……!」
ルスランが、蕩けて顔を真っ赤にしたキリルを突きながら、笑った。キリルも、満面の笑みを返す。
「あは、せいぜい見せつけてやればいいんだ……!」
「はは、だな!」
「あっ気持ちいい……っ! ルスラン、好き、もっと……!」
「キリル……!」
もう何時間こうしているのか。時の感覚は、すでになくなった。
――だけど、言い出さないだけで、段々と結界陣の青が薄れてきていることは、お互いとっくに気付いている。
半日もこんなことをしていたのかと思うと、キリルはおかしくなった。エリザベータの時はあんなに嫌で嫌で仕方がなかったのに、ルスランとならずっと繋がっていたって平気なのが、嬉しくて仕方ない。
「はあっ……はあっ……!」
だけど、剣士であるルスランの無尽蔵な体力も、そろそろ限界に近そうだ。
お互いの下半身は腿までドロドロで、こんな状態の人間をあいつらが食うのだと考えたら、愉快な気持ちになってきた。
「……ふふ、あはは……っ」
「ん? どうしたんだキリル?」
キリルに体重を乗せながら、ルスランがゆっくり抽送を繰り返す。ルスランの優しい目元にキスをすると、キリルは思うままに伝えることにした。
「俺、人生の最期で本当に幸せだった。ルスランのお陰だ、ありがとう」
「……それは俺の台詞だ」
「へへ」
また、熱く深い口づけを交わす。薄れていく結界陣と、その奥で虎視眈々とこちらを狙う魔物たちを時折横目で確認しながら、まぐわい続けた。最期のその時まで、ずっとルスランと繋がっていたいというキリルの願いを叶える為に。
「愛してる、ルスラン」
「俺もだ、キリル」
二人は笑顔になると、互いをきつく抱き締め合った。きっともう、これで最後だろう。
覚悟を決めた、次の瞬間。
ドオオオオン!! という地響きと共に、白い閃光が視界一杯に広がった。魔物の断末魔も、同時に響き渡る。
「――え?」
「なんだなんだ?」
二人が目を細めながら光が落ち着くのを待っていると。
「――人だ! 人がいるぞ!」
「本当か! 無事なのか!?」
聞こえて来たのは、複数の男の声だった。やがて光が完全に収まると、魔物の死骸の間から屈強な男たちが顔を覗かせる。
「君たち! 我々は王国から派遣された討伐た――」
キリルたちに声を掛けてきた男が、キリルとルスランが繋がっている状態なのを見て、停止した。
「……君たちは、魔物に囲まれて一体何をやっていたんだ……?」
「あ、すみません」
ルスランはぺこりと頭を下げると、投げ捨ててあった服を引き寄せる。ずるりと長物をキリルから出すと、自分は裸のまま、先にキリルに下着を穿かせてくれた。次に自分も服を着ると、疲れ切って弛緩しているキリルを見下ろす。
「――ぷっ」
ルスランは、くくく、と堪え切れずに笑いを漏らした。ルスランの笑顔を見ている内に、キリルにも笑いが伝染していく。
「ふふ、はは、あはははっ!」
二人は転がり抱き締め合いながら、笑いが収まるまで笑い転げた。互いに頬に手を触れながら、微笑み合う。
ルスランが、幸せそうに言った。
「キリル、死ぬ時は繋がってるって約束、この先も必ず守るから。一生一緒にいよう」
「ルスラン……! うん、きっとだよ!」
二人の唇が重なり合い、離れる。
そして再び湧き起こる笑いに身を任せる二人を、王国の討伐隊の男らはおかしなものでも見るような目つきで遠巻きに眺めたのだった。
ー完ー
喋ろうと顔を背けても、すぐにルスランが追ってきてキリルの舌を吸うから、ちっとも聞けやしない。さっき、ルスランが言った言葉の意味をちゃんと尋ねたいのに。
「ひゃ、あ、ま……っ!」
「キリル可愛い、キリルキリルキリル……ッ!」
ぎゅうぎゅうに抱き締められて、キリルは喘ぎ声を放つだけで精一杯になる。
「あ、ん、あああああっ!」
ぐちゃぐちゃという水音と荒々しい吐息が、結界陣の中に響き渡った。
――駄目だ、気持ちよすぎて、頭がうまく働かない。だけど聞かないと、ルスランはさっきなんて言ったのかを聞かないと……!
「あ、あ、待っ……! ルスラン、ああっ」
「キリル、可愛い、好きだ、ずっと俺のものにしたかった……! だけどエリザベータがいたから俺は……!」
ルスランが、キリルへの愛を叫ぶ。キリルは驚きのあまり、目を見開いた。
「う、嘘……!」
ルスランはキリルの顔中にキスを落としながら、怒鳴り続ける。
「嘘なもんか! 笑わないお前が俺にだけ笑うのが嬉しくて、俺だけのものにしたくて――だから俺は咄嗟にお前を助けたんだ!」
「あ、駄目、イッちゃう、待、あ、ああああっ!」
「キリル、キリル!」
ルスランのあまりの激しい抽送に、キリルの意識が吹っ飛びそうになった。
「ルスラン――好き、俺も大好き!」
「……うあああああっ!」
バン! と音を立てて最奥までルスランが入ったと思うと、ルスランが再びキリルの中で果てる。
どく、どくというルスランの脈動が切ないほどに愛おしくて、キリルはルスランに渾身の力でしがみついた。
「大好きだよ……! 死ぬその瞬間まで、俺と一緒にいて、お願い……!」
「はあっはあっ……! それは俺の願いだ、キリル……!」
ルスランは勢いよくキリルから出て行くと、キリルをひっくり返す。くたりとなっているキリルの腰を持ち上げるとすぐに差し込み、後ろから獣のようにキリルを激しく穿ち始めた。
「はあ……っ! あ、んああっ、気持ち良すぎて死んじゃう、ああ、最高、ルスラン――ッ!」
唾液が口から情けなく飛び出していくけど、構ってなんていられなかった。全ての神経を、ルスランとの交合に集中させる。
好きな人に抱かれる幸せと、押し寄せる快楽。周りには魔物がうじゃうじゃいるというのに、キリルは我を忘れて嬌声を上げ続けた。
何度目かで互いに果てると、気絶したように眠り、どちらかが目覚めると再び激しく交わる。
起きる度に、結界陣がまだ動いていることを確認しては、「まだまだ」と何度もまぐわった。
結界陣の外では、魔物たちの戦いが次第に終わりに近付いていた。やがて数匹の同種の魔物が、まぐわい続けるキリルたちを冷ややかな目で観察し始める。勝者が決まったらしい。
「魔物に見られながらヤるなんて、俺たち凄いな……!」
ルスランが、蕩けて顔を真っ赤にしたキリルを突きながら、笑った。キリルも、満面の笑みを返す。
「あは、せいぜい見せつけてやればいいんだ……!」
「はは、だな!」
「あっ気持ちいい……っ! ルスラン、好き、もっと……!」
「キリル……!」
もう何時間こうしているのか。時の感覚は、すでになくなった。
――だけど、言い出さないだけで、段々と結界陣の青が薄れてきていることは、お互いとっくに気付いている。
半日もこんなことをしていたのかと思うと、キリルはおかしくなった。エリザベータの時はあんなに嫌で嫌で仕方がなかったのに、ルスランとならずっと繋がっていたって平気なのが、嬉しくて仕方ない。
「はあっ……はあっ……!」
だけど、剣士であるルスランの無尽蔵な体力も、そろそろ限界に近そうだ。
お互いの下半身は腿までドロドロで、こんな状態の人間をあいつらが食うのだと考えたら、愉快な気持ちになってきた。
「……ふふ、あはは……っ」
「ん? どうしたんだキリル?」
キリルに体重を乗せながら、ルスランがゆっくり抽送を繰り返す。ルスランの優しい目元にキスをすると、キリルは思うままに伝えることにした。
「俺、人生の最期で本当に幸せだった。ルスランのお陰だ、ありがとう」
「……それは俺の台詞だ」
「へへ」
また、熱く深い口づけを交わす。薄れていく結界陣と、その奥で虎視眈々とこちらを狙う魔物たちを時折横目で確認しながら、まぐわい続けた。最期のその時まで、ずっとルスランと繋がっていたいというキリルの願いを叶える為に。
「愛してる、ルスラン」
「俺もだ、キリル」
二人は笑顔になると、互いをきつく抱き締め合った。きっともう、これで最後だろう。
覚悟を決めた、次の瞬間。
ドオオオオン!! という地響きと共に、白い閃光が視界一杯に広がった。魔物の断末魔も、同時に響き渡る。
「――え?」
「なんだなんだ?」
二人が目を細めながら光が落ち着くのを待っていると。
「――人だ! 人がいるぞ!」
「本当か! 無事なのか!?」
聞こえて来たのは、複数の男の声だった。やがて光が完全に収まると、魔物の死骸の間から屈強な男たちが顔を覗かせる。
「君たち! 我々は王国から派遣された討伐た――」
キリルたちに声を掛けてきた男が、キリルとルスランが繋がっている状態なのを見て、停止した。
「……君たちは、魔物に囲まれて一体何をやっていたんだ……?」
「あ、すみません」
ルスランはぺこりと頭を下げると、投げ捨ててあった服を引き寄せる。ずるりと長物をキリルから出すと、自分は裸のまま、先にキリルに下着を穿かせてくれた。次に自分も服を着ると、疲れ切って弛緩しているキリルを見下ろす。
「――ぷっ」
ルスランは、くくく、と堪え切れずに笑いを漏らした。ルスランの笑顔を見ている内に、キリルにも笑いが伝染していく。
「ふふ、はは、あはははっ!」
二人は転がり抱き締め合いながら、笑いが収まるまで笑い転げた。互いに頬に手を触れながら、微笑み合う。
ルスランが、幸せそうに言った。
「キリル、死ぬ時は繋がってるって約束、この先も必ず守るから。一生一緒にいよう」
「ルスラン……! うん、きっとだよ!」
二人の唇が重なり合い、離れる。
そして再び湧き起こる笑いに身を任せる二人を、王国の討伐隊の男らはおかしなものでも見るような目つきで遠巻きに眺めたのだった。
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