4 / 71
3・弟との事実確認
しおりを挟む
「王太子殿下の婚約者として長年の研鑽の末の出来事で、お心がお疲れなのでしょう。 お嬢様、どうぞゆっくりとお休みくださいませ。」
そう言って。幼い頃からこの公爵家に仕えてくれているおじいちゃん先生が出ていった後、部屋に残ったのはベッドの隣にソファを動かして座った弟・アイザックと、お茶を淹れてくれる私付きの侍女レナだけだ。
「姉上。 会場であったことを聞きました。 僕が夜会の出席に間に合っていればそんなことをさせなかったのに……本当に申し訳ありません。 今からでも、王宮に行ってアイツを殴って……」
私と同じ、淡い金色の髪に柔らかな緑色の瞳の弟・アイザックに私は首を振った。
「駄目よ。 あんなのでも不敬になるわ。」
自室なのだから関係ない、と、私も正直に答えると、アイザックはソファから立ち上がった。
「しかし! アイツは今までもさんざん愚かな行動の尻拭いを姉上させていた愚か者です! しかも、夜会の場であのように婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を言い渡すなど非礼にもほどがある。 そもそも王家から申し入れてきた婚約ですよ!? もう、いい加減に一度痛い目にあった方がいいのです!」
だん! と、地団駄を踏むように足を鳴らしたアイザックを、私は宥め座らせる。
なぜならば。
「殿下は間違いなく、すぐにでも痛い目にはあいます。 貴方が手を下さなくても平気よ。」
「どういう意味ですか? 姉上。」
私はアイザックに、向かってにっこりと笑った。
「昨日の証文……取ってあるのでしょう?」
「あぁ、はい。」
ごそごそとジャケットの内ポケットから出したのは、昨夜私が夜会の席で王太子殿下から受け取った書簡を折りたたんだものだ。
ぱらり、とひらいてそれをアイザックに渡す。
「ほら、陛下の御璽が押してあるわ。 でもね、陛下のサインは入っていないの。 御璽とサインは本来セットであるべきものよ。 簡易の書類であれば御璽ではなく、サインだけで、決裁されるわ。 だからこんな風に、御璽だけで発行されるものではないの。」
「……でもこれには、サインはない……。」
「そうなの。 その時点でこの書類は無効なのだけれど、問題はそこではないわ。 ……アイザック? 殿下はどうやってこの御璽の押された紙を手に入れたのかしら? そもそもこの御璽をお持ちであるはずの陛下は今、お父様達と隣国の新国王の即位式へ出向いていらっしゃるのに、よ?」
「……御璽を偽造した、という事ですか?」
その答えには、首を振る。
「いいえ。 この御璽は本物よ。 王子妃教育、王太子妃教育の時に教えられた項目ですもの。」
そうすると、アイザックはあんぐりと口を開けて、そんな馬鹿な、と首を振る。
「ではつまり、国王陛下の側近などに殿下の協力者がいるという事ですか? そんなこと、ありえますか!?」
「可能性としてはあるわね。 現在の陛下よりも、足りない殿下が王になった方がいいと言っている派閥があるくらいですもの。 もしくは、あの聖女様の力か……。」
「あぁ、聖女マミですか? 異世界からやって来たという不思議な力を持った女ですね。」
「……もともと殿下は足りない方ではあったけれど、彼女がこちらに来て以降、ますます足らなくなったから、少しは考えられるわね……。」
そう言いながら、私は前世の記憶をたどってみる。
(そういえばこんな転生もののお話では、人を虜にして離さない魅了魔法があったけれど、この世界にはそれらしきものはないはず……よね? 王太子妃教育でもそんなものがあるとは習わなかったわ。 じゃあなにかしら……。)
色々と考えながらも、私はひとつため息をつき、目の前で難しい顔をするアイザックににっこりと笑った。
「どちらにせよ、今回の事ですでに陛下やお父様達には使いが出ているでしょう。 きっとすぐに帰って来られるわ。 だからアイザック。」
「はい、どうされましたか? 姉上。」
「私、明日にでもアリア修道院に入りますね。」
「あ、姉上!?」
素っ頓狂な声を上げたアイザックに、私は何か?と首をかしげる。
「まってください、姉上。 正気ですか?」
「もちろん正気よ。 殿下があの夜会の中で王命として私に修道院行を告げた。 しかも御璽まで用意して……その事実がある以上、私はそれに従わなくてはいけないわ。」
それに、いやいや駄目です、と、アイザックは首を振る。
「だめです、姉上! 先ほど姉上が仰っていたではないですか、これは偽造された無効の書面だと。 陛下がお帰りになるのを待たずとも、貴族院へ問い合わせればすぐに無効になります。 それなのに、わざわざ相手のいう事を聞かなくても。」
その言葉に、私はにっこりと笑った。
「そうね。 でも私、それが無効になって、殿下との婚約を維持されるのは本当に嫌なの、えぇ、絶対に嫌。 婚約破棄を言い渡された時、そこだけは感謝したくらいよ。 でも、このまま陛下のお帰りを待っていれば、確実に、今度は王命によって、再婚約させられてしまうでしょう。」
「確かに……それはそうですね。 いやしかし修道院に行くことは僕は賛成できません。 姉上だってご存じでしょう? 一度修道院に入ったら、見習いから正式な修道女として認められるまでの最低3年の間は、家族と言えど面会すら許されません。 状況が落ち着いたらすぐに出るというわけにはいかないんですよ?。」
「だからよ。」
私はにっこり笑った。
「先ほども言ったとおり、王子妃、王太子妃教育を終えた私を、王家も貴族院も簡単には手放そうとしないでしょう。 けれど、その王太子の失態で修道院に王命で入れてしまったのならきっと話は別だわ。 教会所属の施設は他所からの干渉を受け付けない場所。 王家や貴族院の干渉も受け付けない守られた場所よ。 身を守るのに最適ね。 その3年の間に、修道院を出た時に、王家に捕まらないためにどうするかを、考えられるもの。」
思考と準備のための守られた3年間を得たのだ。 これは好機だと思う。
「しかし、公爵令嬢の姉上が3年も……無茶ですよ、姉上。」
心配そうにそう言ったアイザックに、私は首を振った。
「3年も、ではないわ。 たったの3年、なのよ? 私は王太子妃教育という名の子守役を6歳から12年間もやって来たのよ。 それに比べたら短いものだわ。 そのたった3年を我慢すれば、あの足りない王太子殿下と結婚しなくて済むのよ? 有難くて涙が出ちゃうわ。」
「姉上……。」
戸惑うように視線を揺らす弟に、私はにっこりと笑う。
「あの王家から解放されるため、ここは王太子殿下の王命に従ったと言う体で、修道院に入ってしまった方がよっぽど自由になれるの。 婚約という正式な契約を独断で破棄したこと、御璽の無断使用、さらに、公爵令嬢を私情で修道院へ入所させたこと……これだけ揃えば貴族院会議で満場一致で廃太子になるわ。 そして新しい王太子殿下が立たれ、婚約者が決まる頃に、私は婚約破棄はされた傷物とはいえ、公爵令嬢に戻る事が出来る……。 いい? お父様とお母様がおかえりになった時、ここまでの経緯と計画をしっかりと話して、私が出るまでの間の事、準備しておいて頂戴ね。」
前世で親子関係は悪かったけれど、今世ではお父様もお母様も私の事を愛してくれているし、それを自覚している。
今世の私は自己肯定感もモリモリだ! 悲惨な前世を思い出したけれど、あれは前世、と正直割り切れている。
(もし今だったら、やり返す気満々だけどね!)
「お覚悟は固いのですね。」
「えぇ。」
「わかりました。 では明日、姉上はアリア修道院へ。 私も公爵家当主代理として姉上と共に参ります。」
「ありがとう、アイザック。」
話がまとまった私たちは明日に備え、休むことにした。
そう言って。幼い頃からこの公爵家に仕えてくれているおじいちゃん先生が出ていった後、部屋に残ったのはベッドの隣にソファを動かして座った弟・アイザックと、お茶を淹れてくれる私付きの侍女レナだけだ。
「姉上。 会場であったことを聞きました。 僕が夜会の出席に間に合っていればそんなことをさせなかったのに……本当に申し訳ありません。 今からでも、王宮に行ってアイツを殴って……」
私と同じ、淡い金色の髪に柔らかな緑色の瞳の弟・アイザックに私は首を振った。
「駄目よ。 あんなのでも不敬になるわ。」
自室なのだから関係ない、と、私も正直に答えると、アイザックはソファから立ち上がった。
「しかし! アイツは今までもさんざん愚かな行動の尻拭いを姉上させていた愚か者です! しかも、夜会の場であのように婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を言い渡すなど非礼にもほどがある。 そもそも王家から申し入れてきた婚約ですよ!? もう、いい加減に一度痛い目にあった方がいいのです!」
だん! と、地団駄を踏むように足を鳴らしたアイザックを、私は宥め座らせる。
なぜならば。
「殿下は間違いなく、すぐにでも痛い目にはあいます。 貴方が手を下さなくても平気よ。」
「どういう意味ですか? 姉上。」
私はアイザックに、向かってにっこりと笑った。
「昨日の証文……取ってあるのでしょう?」
「あぁ、はい。」
ごそごそとジャケットの内ポケットから出したのは、昨夜私が夜会の席で王太子殿下から受け取った書簡を折りたたんだものだ。
ぱらり、とひらいてそれをアイザックに渡す。
「ほら、陛下の御璽が押してあるわ。 でもね、陛下のサインは入っていないの。 御璽とサインは本来セットであるべきものよ。 簡易の書類であれば御璽ではなく、サインだけで、決裁されるわ。 だからこんな風に、御璽だけで発行されるものではないの。」
「……でもこれには、サインはない……。」
「そうなの。 その時点でこの書類は無効なのだけれど、問題はそこではないわ。 ……アイザック? 殿下はどうやってこの御璽の押された紙を手に入れたのかしら? そもそもこの御璽をお持ちであるはずの陛下は今、お父様達と隣国の新国王の即位式へ出向いていらっしゃるのに、よ?」
「……御璽を偽造した、という事ですか?」
その答えには、首を振る。
「いいえ。 この御璽は本物よ。 王子妃教育、王太子妃教育の時に教えられた項目ですもの。」
そうすると、アイザックはあんぐりと口を開けて、そんな馬鹿な、と首を振る。
「ではつまり、国王陛下の側近などに殿下の協力者がいるという事ですか? そんなこと、ありえますか!?」
「可能性としてはあるわね。 現在の陛下よりも、足りない殿下が王になった方がいいと言っている派閥があるくらいですもの。 もしくは、あの聖女様の力か……。」
「あぁ、聖女マミですか? 異世界からやって来たという不思議な力を持った女ですね。」
「……もともと殿下は足りない方ではあったけれど、彼女がこちらに来て以降、ますます足らなくなったから、少しは考えられるわね……。」
そう言いながら、私は前世の記憶をたどってみる。
(そういえばこんな転生もののお話では、人を虜にして離さない魅了魔法があったけれど、この世界にはそれらしきものはないはず……よね? 王太子妃教育でもそんなものがあるとは習わなかったわ。 じゃあなにかしら……。)
色々と考えながらも、私はひとつため息をつき、目の前で難しい顔をするアイザックににっこりと笑った。
「どちらにせよ、今回の事ですでに陛下やお父様達には使いが出ているでしょう。 きっとすぐに帰って来られるわ。 だからアイザック。」
「はい、どうされましたか? 姉上。」
「私、明日にでもアリア修道院に入りますね。」
「あ、姉上!?」
素っ頓狂な声を上げたアイザックに、私は何か?と首をかしげる。
「まってください、姉上。 正気ですか?」
「もちろん正気よ。 殿下があの夜会の中で王命として私に修道院行を告げた。 しかも御璽まで用意して……その事実がある以上、私はそれに従わなくてはいけないわ。」
それに、いやいや駄目です、と、アイザックは首を振る。
「だめです、姉上! 先ほど姉上が仰っていたではないですか、これは偽造された無効の書面だと。 陛下がお帰りになるのを待たずとも、貴族院へ問い合わせればすぐに無効になります。 それなのに、わざわざ相手のいう事を聞かなくても。」
その言葉に、私はにっこりと笑った。
「そうね。 でも私、それが無効になって、殿下との婚約を維持されるのは本当に嫌なの、えぇ、絶対に嫌。 婚約破棄を言い渡された時、そこだけは感謝したくらいよ。 でも、このまま陛下のお帰りを待っていれば、確実に、今度は王命によって、再婚約させられてしまうでしょう。」
「確かに……それはそうですね。 いやしかし修道院に行くことは僕は賛成できません。 姉上だってご存じでしょう? 一度修道院に入ったら、見習いから正式な修道女として認められるまでの最低3年の間は、家族と言えど面会すら許されません。 状況が落ち着いたらすぐに出るというわけにはいかないんですよ?。」
「だからよ。」
私はにっこり笑った。
「先ほども言ったとおり、王子妃、王太子妃教育を終えた私を、王家も貴族院も簡単には手放そうとしないでしょう。 けれど、その王太子の失態で修道院に王命で入れてしまったのならきっと話は別だわ。 教会所属の施設は他所からの干渉を受け付けない場所。 王家や貴族院の干渉も受け付けない守られた場所よ。 身を守るのに最適ね。 その3年の間に、修道院を出た時に、王家に捕まらないためにどうするかを、考えられるもの。」
思考と準備のための守られた3年間を得たのだ。 これは好機だと思う。
「しかし、公爵令嬢の姉上が3年も……無茶ですよ、姉上。」
心配そうにそう言ったアイザックに、私は首を振った。
「3年も、ではないわ。 たったの3年、なのよ? 私は王太子妃教育という名の子守役を6歳から12年間もやって来たのよ。 それに比べたら短いものだわ。 そのたった3年を我慢すれば、あの足りない王太子殿下と結婚しなくて済むのよ? 有難くて涙が出ちゃうわ。」
「姉上……。」
戸惑うように視線を揺らす弟に、私はにっこりと笑う。
「あの王家から解放されるため、ここは王太子殿下の王命に従ったと言う体で、修道院に入ってしまった方がよっぽど自由になれるの。 婚約という正式な契約を独断で破棄したこと、御璽の無断使用、さらに、公爵令嬢を私情で修道院へ入所させたこと……これだけ揃えば貴族院会議で満場一致で廃太子になるわ。 そして新しい王太子殿下が立たれ、婚約者が決まる頃に、私は婚約破棄はされた傷物とはいえ、公爵令嬢に戻る事が出来る……。 いい? お父様とお母様がおかえりになった時、ここまでの経緯と計画をしっかりと話して、私が出るまでの間の事、準備しておいて頂戴ね。」
前世で親子関係は悪かったけれど、今世ではお父様もお母様も私の事を愛してくれているし、それを自覚している。
今世の私は自己肯定感もモリモリだ! 悲惨な前世を思い出したけれど、あれは前世、と正直割り切れている。
(もし今だったら、やり返す気満々だけどね!)
「お覚悟は固いのですね。」
「えぇ。」
「わかりました。 では明日、姉上はアリア修道院へ。 私も公爵家当主代理として姉上と共に参ります。」
「ありがとう、アイザック。」
話がまとまった私たちは明日に備え、休むことにした。
60
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる