僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】

カシューナッツ

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蒼の家へ〖第21話〗──①

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「僕に訊いてもいいよ。兄さんの趣味はこんな感じかぁ。三人目か五人目の許嫁候補の方が良かったんじゃない?こんな、やせっぽちな女子。こんな女子を義姉さんって呼ばなくちゃならないのか。うんざりするね」

    『偶然』通りすがった翠が嫌味たっぷりに空を見て、鼻で[[rb:嘲笑 > わら]]った。

「どなた、ですか?名前を訊いてもいい?」
    
 あからさまな弟扱いに、翠は苛々した。空を見下し鼻で空を嘲笑う。

「何にも知らないんだな。それでこの家に居座る気?」

「ごめんね」
   
 蒼が言葉を挟もうとした瞬間、ヒソッと爺に止められた。『空様には考えがあるはずですよ』と。

「ああ、名前だったっけ……翠だよ」
   
  翠は宙に指で名前を書いた。

「翡翠の、翠?それとも鳥のカワセミ?何か緑か青に関係があるの?」

「へぇ、学はあるんだ。僕の尻尾の先は薄い緑なんだ。……見たいか?」
   
  ピョコッと尻尾と耳を翠は出した。

「触っても、いいの?」

「す、好きにすればいい」
    
 尻尾を優しく空に触れられ、翠の顔はみるみる赤くなる。翠も女遊びはするが他人に尾を触らせたことなどないだろう。本当は『嫌だ』と言いたかったが、自分達がいる手前、後には退けなくなったなと、蒼は笑いをこらえた。普段憎まれ口ばかりの弟の年相応の反応を見た気がした。

「本当だ。若草色だね。優しい色。春に生まれたの?」

「あ、ああ。生まれは春だ。へ、変な女子だ。普通は耳と尾を見ると驚くか、怖がるものだ。名前は何て言うんだ?」

    空は首をかしげ微笑む。空の清廉な色香に翠は目を離せない。翠はじっと、空を見つめる。今まで名だたる美女や美男と遊んできたが、そんなもの、比べる対象ではない。空は、飾らなくても綺麗だ。
 
 長い髪が、寝台で乱れる様を見てみたい……邪が翠の頭をよぎった。そして、その邪な考えを振りほどくように翠は小さく頭を振った。

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