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祝言への道すじ〖第39話〗──①
しおりを挟む「旦那様がお呼びです。庭の東屋のほうでお待ちです。急ぐことはないと。ゆっくり空様と過ごしてから二人で来て欲しい、と。まあ、甘いものでも食べて、ゆっくりしましょう。空様、爺は寂しゅうございました。今度こそ、若様と祝言をあげてくだされ。一夜限りの花婿は、切ない夢のようでした」
「ごめんなさい、爺やさん。また、屋敷にお邪魔します。お家を壊してごめんなさい。今度こそ、祝言をあげます」
空は申し訳なさそうに言う。爺は微笑み、言った。
「もう、爺の中では『おかえりなさいませ』ですよ、空様」
「爺やさん……」
空は涙目になりながら『美味しい』と、大福を頬張った。
─────────────
「むさ苦しいところへようこそおいでになられて。空様」
蒼の父は空に頭を下げた。空も蒼の父に頭を下げた。
「玄関への落雷、今回のことは………本当に申し訳ございません。叔父上様にも大変失礼を。つい、頭に血が上って、のぼせてしまったと、お伝え下さい」
空がしっかり受け答えをしているので驚く。ことの次第は、伝書鳥で父には知らせておいた。『神降り』のことも。
「婚礼を今月中にと思っておりましが、いつが宜しいでしょう。婚礼後には私は隠居致したいと思っております。蒼が当主になります」
随分、婚礼を急ぐわけは空の身の安全を考えてのことだろう。そして、家督争いにも、早めに終止符を打つためだと思えた。伝書鳥に叔父が『父が居ないときは狛井家はわしのものだ』と言い、まだ家督にこだわっていることも書いた。何かしらは仕掛けてくる。
「二十二日は如何かと思うのですが」
いい?と言うように、空はいつもの顔で見上げる。蒼は頷き、父と空の話を見守る。
「良い夫婦の日と外では言うらしいですよ」
ニコリと空が首をかしげ笑うと父の頬がポッと赤くなった。視線を逸らし恥ずかしそうにする父に、蒼は一言声をかけた。
「………父上」
「わ、解っておるっ………ではそのように進めます、空様。獅子尾家の当主が病に臥せっているようです。早いうちに見舞いへ行ってあげてください。当主の代理の蒼と、婚約者として……」
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