僕の宿命の人は黒耳のもふもふ尻尾の狛犬でした!【完結】

カシューナッツ

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空という子供〖第4話〗──②

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揺らぐ気持ちは、何からくるのか。乱れる気持ちはどうしてなのか。口から出るのは冷たい言葉。もうあんな悲しい顔なんて、させたくないのに。    
******

「おーい、空。俺だよ、暁だ。開けてくれ。約束の林檎と蜜柑持ってきたぞ」

   ガチャリとドアが開く。外見とは違う綺麗な内装の家。そして初めて見た空と言う子供は、華奢な身体つきが到底十五歳には見えない、ドアを開け出で笑った顔が、まるで童女のようなあどけなさを感じさせる子供だった。大きな瞳。長い睫毛。病人のように青白い肌は陽の光を浴びていないせいか。

「えっ………」

「ああ、わりぃ。空。友達連れてきたんだ。上げてくれないか?」

「初めまして、空くん、だね?俺は狛井。狛井蒼」

    いつもの外向きの笑顔を作る。蒼は普段愛想笑いしかしない。まともに笑う蒼をみたことがあるのは極少数だ。背の高い蒼は腰をかがめ、優しく微笑み空に視線を合わせる。

『空くん』は蒼と視線を合わせると、みるみる瞳に涙がためて、零れそうなほど、つらそうな顔をし、パタパタと清潔に磨かれた廊下を走り、台所らしき部屋へと消えてしまった。
    
 奥から、

「今、お茶を持っていきます」

と潤んだ声が聞こえた。

「どうしたんだろ。引っ込み思案っぽかったけど昨日と違うなあ。あんな悲しそうな顔して。お前、もしかして昔、空に石とか泥団子とか投げた?」
    
暁は蒼に言った。

「俺、嫌われてる?……よな?」

「気持ち悪ぃ愛想笑い浮かべてっからだよ……ったく」

    ブツブツ暁と言い合っていたら、

「あ、あの」と躊躇いがちに、いつの間にか傍に居た空が蒼の白いシャツを引っ張った。

「知っている人に、似ていました。失礼しました。茶の間へ。散らかっていますが。今、お茶をお持ちしますので、帰らないで……。お願い、します。もう少しだけでも、居て下さい」

    潤んだ大きな瞳に逆らえるはずもなく、蒼と暁は通された茶の間で炬燵に入る。物凄い数の色々な本がある。本棚に収まりきれない本は整然と並んでいた。コトンと席に綺麗な湯飲みが置かれる。暁の後、空は蒼に渡そうとした湯呑みをハッとした顔になり空は台所に消え、器が違う器になった。

蒼は一瞬警戒したが、空の、顔を赤くし、耐えるような悲しげな表情で解った。そう言えばさっきの湯飲みは縁が欠け、ヒビが入っていた。
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