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【第18話】魔女クレシェンド
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波打つ草花、どこまでも続く草原。
遠くで誰かが呼んでいる。
おばあちゃんだ。
懐かしい声。
姿を見つけフィルは駆け寄り抱きしめると、おばあちゃんは泣いた。
『まだ、こっちに来るには早いよ、フィル。私も空へのお迎えがまだ来ないから、偉そうなことはいえないけどね。ここは『狭間』だよ。早くお帰り』
おばあちゃんはフィルを抱きしめる強さをつよめ、
『お前がおじいさんになったら空においで。幸せを掴んでからおいで』
おばあちゃんは、腕をほどきフィルの手を握る。おばあちゃんの手はいつもみたいに温かい。
『帰り道は朱い花。あの方はお前を愛しているよ。深く深く。お前が思っているよりもずっと』
そう言いおばあちゃんは煙のように消えてしまった。
『おばあちゃん!』
消えてしまった煙を抱きしめると、いつものミルクティーの匂いがした。 どうしてだろう。草原にいる。
何故ここにいるんだろう?
フィルは辺りを見渡した。
綺麗だけど知らない場所。
何でここに来たんだろう。
取り敢えずここにいちゃだめだと肌で感じる。朱い花を目印に草原から森へ。
森にも朱い花が咲いている。森は薄暗く、朱い花を見つけるのに苦労した。
森を出たら光が差した。
月明かりなのに眩しい。
『フィル!フィル!気がついたか!』
「レガ、ト?ごめ…んなさい……ごめんなさい」
『いいんだ、そんなこと。フィル、フィル?』
一筋涙を流し、途切れ途切れの言葉を残し、フィルは眠りについた。流石に、三日続いたフィルの眠りに流石におかしいとレガートは魔法学者の重鎮シンフォニアを訪ねた。
シンフォニアはレガートの幼少時代の養育係だった。父のように慕っていた人だ。のんびりシンフォニアはラズベリージャムの入ったお茶をだした。
『落ち着きなされい、将軍。気の乱れがひどい。お茶を飲んで気を鎮められよ』
こんな時に落ち着いていられる者を見てみたい思いつつ茶を飲みながらつぶさに今までのことと、フィルの状態をレガートは話す。
『私のせいです。全部私せいだ……』
シンフォニアはパチパチと瞬きをしレガートに聞いた。
『和解はしましたか?将軍』
『先に空で待ってる。と。好きだったよ。と言ってくれました』
ふむぅ。自分で壊してはいないと……と小さくシンフォニアは言った。
『どうやってフィル様をお探しに?』
『ドラゴンの子供に探してもらいました。 出産に立ち会い、フィルに懐いていたので匂いを追わせました』
ふむぅ。ドラゴン……そう言いシンフォニアは黙り込んだ。
『森の魔女に生命の珠を盗られた可能性が』
『どうしてクレシェンドが関係あるのですか?』
『ドラゴンは生態系の頂点です。他の獣はその気配すら恐れ近づくことすらしない。ドラゴンの火は聖なる炎。
力自慢の獣も焼かれ死にたくはないですからな。子供のドラゴンでも然り。
魔女はドラゴンの聖なる火をあびても酷い火傷はしますが、
自分の魔力で治してしまいます。
それに生命の珠は落としても少なくとも五日で再生するものです。
五日待ってフィル様の記憶が戻らなければ、生命の珠は魔女クレシェンドが持っていると』
レガートはため息と共に部屋に入る。フィルはベッドの隅で丸まって寝ていた。テーブルを見るとフィルのドーナツ。
フィルはどんな気持ちでこれを作ったのか。一つ手に取る。食べるとほどけるような懐かしい口あたり。
優しい、
切ない味がした。
『フィル……』
願い続けて五日目。フィルはずっと眠っている。
シンフォニアに最後に言われた言葉を思い出す。
『眠りについて、十日以内に生命の珠を持ち主に返さない限り、珠の主は空へ旅立たれます』
─────────【続】
遠くで誰かが呼んでいる。
おばあちゃんだ。
懐かしい声。
姿を見つけフィルは駆け寄り抱きしめると、おばあちゃんは泣いた。
『まだ、こっちに来るには早いよ、フィル。私も空へのお迎えがまだ来ないから、偉そうなことはいえないけどね。ここは『狭間』だよ。早くお帰り』
おばあちゃんはフィルを抱きしめる強さをつよめ、
『お前がおじいさんになったら空においで。幸せを掴んでからおいで』
おばあちゃんは、腕をほどきフィルの手を握る。おばあちゃんの手はいつもみたいに温かい。
『帰り道は朱い花。あの方はお前を愛しているよ。深く深く。お前が思っているよりもずっと』
そう言いおばあちゃんは煙のように消えてしまった。
『おばあちゃん!』
消えてしまった煙を抱きしめると、いつものミルクティーの匂いがした。 どうしてだろう。草原にいる。
何故ここにいるんだろう?
フィルは辺りを見渡した。
綺麗だけど知らない場所。
何でここに来たんだろう。
取り敢えずここにいちゃだめだと肌で感じる。朱い花を目印に草原から森へ。
森にも朱い花が咲いている。森は薄暗く、朱い花を見つけるのに苦労した。
森を出たら光が差した。
月明かりなのに眩しい。
『フィル!フィル!気がついたか!』
「レガ、ト?ごめ…んなさい……ごめんなさい」
『いいんだ、そんなこと。フィル、フィル?』
一筋涙を流し、途切れ途切れの言葉を残し、フィルは眠りについた。流石に、三日続いたフィルの眠りに流石におかしいとレガートは魔法学者の重鎮シンフォニアを訪ねた。
シンフォニアはレガートの幼少時代の養育係だった。父のように慕っていた人だ。のんびりシンフォニアはラズベリージャムの入ったお茶をだした。
『落ち着きなされい、将軍。気の乱れがひどい。お茶を飲んで気を鎮められよ』
こんな時に落ち着いていられる者を見てみたい思いつつ茶を飲みながらつぶさに今までのことと、フィルの状態をレガートは話す。
『私のせいです。全部私せいだ……』
シンフォニアはパチパチと瞬きをしレガートに聞いた。
『和解はしましたか?将軍』
『先に空で待ってる。と。好きだったよ。と言ってくれました』
ふむぅ。自分で壊してはいないと……と小さくシンフォニアは言った。
『どうやってフィル様をお探しに?』
『ドラゴンの子供に探してもらいました。 出産に立ち会い、フィルに懐いていたので匂いを追わせました』
ふむぅ。ドラゴン……そう言いシンフォニアは黙り込んだ。
『森の魔女に生命の珠を盗られた可能性が』
『どうしてクレシェンドが関係あるのですか?』
『ドラゴンは生態系の頂点です。他の獣はその気配すら恐れ近づくことすらしない。ドラゴンの火は聖なる炎。
力自慢の獣も焼かれ死にたくはないですからな。子供のドラゴンでも然り。
魔女はドラゴンの聖なる火をあびても酷い火傷はしますが、
自分の魔力で治してしまいます。
それに生命の珠は落としても少なくとも五日で再生するものです。
五日待ってフィル様の記憶が戻らなければ、生命の珠は魔女クレシェンドが持っていると』
レガートはため息と共に部屋に入る。フィルはベッドの隅で丸まって寝ていた。テーブルを見るとフィルのドーナツ。
フィルはどんな気持ちでこれを作ったのか。一つ手に取る。食べるとほどけるような懐かしい口あたり。
優しい、
切ない味がした。
『フィル……』
願い続けて五日目。フィルはずっと眠っている。
シンフォニアに最後に言われた言葉を思い出す。
『眠りについて、十日以内に生命の珠を持ち主に返さない限り、珠の主は空へ旅立たれます』
─────────【続】
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