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8.美しい男爵夫人
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孤児院に着くと、扉の前で院長がソワソワと私を出迎えた。
「待ってましたよ!」
「あ、遅くなりまして……?」
私は首を捻りながら謝罪を口にする。
遅い時間でもないし、約束でもしてたかしら?
「ええ、ええ。男爵夫人がいらっしゃってるんですよ。あなたとお話されたいそうです」
院長のせわしなく落ち着かない様子はそのせいだったかと腑に落ちる。
「院長室にいらっしゃいますから行きましょう」
背中を押されそうなくらい急かされて廊下を進む。
窓から入り込む日差しが薄暗く感じる。窓ガラスが曇っているのだろう。珍しく行き届いていない掃除に私は不思議な気持ちになった。
「午前中からいらしてますから」
「急いで」と院長に言われて私は少し嫌な気持ちになった。
だって約束なんてしていないし、私はいつも午前中はカーラの見舞いに行ってから来ているのだ。つまりほとんどいつも通りなのに何故か遅刻した扱いになっている。
院長室には、優雅に長椅子に腰を下ろす30代くらいの貴婦人が居た。
まるでこの小さな部屋の女王様のように圧倒的な存在感がある。
白い肌は滑らかで、黒目がちな大きな瞳は濡れているように輝き美しい。男爵夫人のしっとりとした黒髪は緩やかに結い上げられ、銀細工で飾られている。
ドレスの柄は、流行りの大きな花とザクロがモチーフの織物だった。
男爵夫人と目が合うと、なぜだか怖くなり私は少しうろたえた。
多分、恐ろしいくらい美しい人だからだと思う。
「はじめまして」
絡みつくような色気のある声だった。
私は院長にどつかれて慌てて瞳を伏せ礼を取る。
「顔を上げてくださる?」
口調は優しいのに有無を言わせぬ力のある声だった。
許可を得て顔を上げると、院長がすばやく私を紹介する。
「修道女アリーチェです。この者は聖地巡礼の途中なのです」
「そうですのね。よければこちらへ来て旅のお話を聞かせていただける?」
「あ、はい」
ぼやっとした返事が気に食わなかったらしい院長が、こっそりと私のお尻をつねる。
思わず背筋を伸ばすと、男爵夫人がうっとりとした表情のまま首を傾げた。
「どうかなさって?」
「なんでもございませんわ、グレンマルディーア夫人」
とうとう、私の返事の前に院長が答えてしまった。
って、今気が付いたけど私聖女よね? 聖女ってこの国の王様と同じくらい敬われてしかるべき存在って習ったんですけど?
聖女って知られてないとこんな扱いか……。私は諦めてつねられたお尻をさすりながら、長椅子の前の一人掛けの椅子に腰を下ろした。
隣には院長も座る。
その時に、私は夫人の後ろにひっそりと控えている女性がいることに気が付いた。侍女なのだろうけれど、夫人の存在感で気が付かなかった。顔の青白い陰気さを纏ったような女性だった。
「あなたはどこから来たの? 私夫の元に嫁いできてから、ずっとこの街で暮らしていて他の街を知らないの」
そういう女性は多い。一生を産まれた村で過ごす女性だっているくらいだ。
私は夫人に促されるまま、旅の話をかいつまんで話すことにしたのだった。
聖女の予言とかの話はしていない。だって、院長の目が「夫人にご無礼を働いたらどうなるかわかってますね?」と言ってるから。
怖くて余計な話なんてできなかった。
しばらく請われるまま話をしていたが、夫人がふと気が付いたように窓の外を見て言った。
つられて私も外を見ると、陽が少し陰ってきているように見えた。
もうすぐジュストが迎えに来てくれる時間だ。
「そういえば、旅はひとりで?」
「いいえ、修道女はふたりです。それと護衛も」
「道中危険ですものね」
夫人は想像したのか、ほぅっと溜息を吐いた。
ただの溜息なのになんだか悩まし気に見えるのが不思議だ。
これが色気というものなの?
「護衛も雇っているならお金がかかるわねぇ。それでなくても旅って何かと物入りだと聞くわ?」
「そうですね」
路銀の管理はカーラだから詳しくはわからないけれど、多分大聖堂から十分に貰ってきているはずだから路銀には困っていないはずだ。
護衛も私からは特別支払っていない。
でもここは夫人に合わせて相槌を打つ。
「宿代もかかるでしょう?」
「ええ、まぁ……」
「ねぇ、旅の出発までよければ城に滞在なさるといいわ」
目線が絡み合うととろりと微笑まれる。
その視線が落ち着かず、私はなるべく視線が合わないよう耳や頬のあたりで視線をさまよわせた。
「お話も全然聞き足りないわ」
「滅相もございません」
「遠慮なさらないで。城にはね、女神様方を描いたフレスコ画もあるのよ。あなたに是非見てもらいたいわ」
ゆるりと微笑む夫人。私はどう断れば良いのか頭を悩ませていた。
最初に院長から聞いた時は「ワインが飲める!」って喜んでいたけれど、このたった数時間の会話だけでも気遣いですっかり疲れてしまった。
こんなんじゃ、せっかくの高いワインだってきっと味もしないだろう。
「礼儀もわきまえておりませんので」
遠まわしに断ると、夫人の美しい眉が寄せられた。
それを見た院長が焦って私に言う。
「アリーチェさん、男爵夫人のお誘いですよ。夫人はよく旅の方を泊めていらっしゃるの。アリーチェさんもたまには安全な場所でゆっくり休みたいでしょう?」
「ほら、教会も宿屋も何かと物騒だもの」と続ける院長に私は曖昧に笑みを浮かべる。
院長は、この孤児院最大の支援者である夫人の機嫌を損ねたくないのだ。
「きっとあなたも気に入るわ。とても美しいフレスコ画ですもの。ねぇ、ピエラ?」
夫人は自分の後ろに影のように控えていた侍女に話しかける。
「はい、奥様」
「馬車を回してちょうだい」
「かしこまりました」
そう言って、侍女は部屋を出て行ってしまった。
夫人も立ち上がると私を見下ろして言う。
「では行きましょうか」
行くのが当然。そんな態度に私も困惑してしまう。だってずっと断っているのに。
院長は私を急かして立ち上がらせた。
「あの、私同行者がいまして迎えに来るのです」
「ええ、さっき聞いたわ。その方も一緒に行きましょう」
そうすることが当然という、自信と傲慢さを感じさせるような声だった。
後ろから院長にせっつかれて仕方なく夫人の後ろをついて歩く。
正門前につけられた馬車に乗り込む夫人。
私はモタモタとあたりを見回してジュストが来るのを待っていた。
「疲れたから先に城に行きましょう。同行者の方は後から迎えをやるわ」
「かしこまりました」
院長が私の代わりに返事をしてしまう。
ちょっと待ってよ。それじゃ困るの。
「いえ、もう来る頃ですから……」
夫人が目を細めた。
その時、建物の陰からジュストがやって来るのが見えた。
私はほっとして手を振ると、走って来てくれた。
「どうしたんだ?」
馬車と私を見比べて戸惑いを見せる。
「修道女じゃなかったの?」
待たされ疲れた夫人の声は少しばかり不機嫌そうだ。
馬車の中に貴族の奥方様がいることに気付いたジュストが礼を取る。
「一緒に旅をしている者です」
私はすかさずジュストを紹介する。
「街の中でも護衛を雇っているの? 何も危ない事なんてないわよ」
「ええ、ですが大事なお役目を果たすためですので」
夫人は不機嫌なままジュストを見つめると顎で座席を示した。
「……お乗りなさいな」
私はジュストに頷くと馬車に乗り込んだ。
ジュストも院長に何かを言付けてから乗り込んだ。
座席は赤いビロードのような手触りの生地で、ふかふかと柔らかい。
御者が扉を閉まる直前に、院長が「あの」と呼び止めるように夫人に声をかける。
「そういえばシモーナは元気にやってますでしょうか?」
夫人は、ふと宙に視線を巡らせる。少しの時間の後、ゆるりと微笑む。
「ええ。よくやってくれてます」
そして馬車は走り出した。
私は、夫人に出会ってからずっとある消えない不安に、押しつぶされないように手をぎゅっと握りしめた。
「待ってましたよ!」
「あ、遅くなりまして……?」
私は首を捻りながら謝罪を口にする。
遅い時間でもないし、約束でもしてたかしら?
「ええ、ええ。男爵夫人がいらっしゃってるんですよ。あなたとお話されたいそうです」
院長のせわしなく落ち着かない様子はそのせいだったかと腑に落ちる。
「院長室にいらっしゃいますから行きましょう」
背中を押されそうなくらい急かされて廊下を進む。
窓から入り込む日差しが薄暗く感じる。窓ガラスが曇っているのだろう。珍しく行き届いていない掃除に私は不思議な気持ちになった。
「午前中からいらしてますから」
「急いで」と院長に言われて私は少し嫌な気持ちになった。
だって約束なんてしていないし、私はいつも午前中はカーラの見舞いに行ってから来ているのだ。つまりほとんどいつも通りなのに何故か遅刻した扱いになっている。
院長室には、優雅に長椅子に腰を下ろす30代くらいの貴婦人が居た。
まるでこの小さな部屋の女王様のように圧倒的な存在感がある。
白い肌は滑らかで、黒目がちな大きな瞳は濡れているように輝き美しい。男爵夫人のしっとりとした黒髪は緩やかに結い上げられ、銀細工で飾られている。
ドレスの柄は、流行りの大きな花とザクロがモチーフの織物だった。
男爵夫人と目が合うと、なぜだか怖くなり私は少しうろたえた。
多分、恐ろしいくらい美しい人だからだと思う。
「はじめまして」
絡みつくような色気のある声だった。
私は院長にどつかれて慌てて瞳を伏せ礼を取る。
「顔を上げてくださる?」
口調は優しいのに有無を言わせぬ力のある声だった。
許可を得て顔を上げると、院長がすばやく私を紹介する。
「修道女アリーチェです。この者は聖地巡礼の途中なのです」
「そうですのね。よければこちらへ来て旅のお話を聞かせていただける?」
「あ、はい」
ぼやっとした返事が気に食わなかったらしい院長が、こっそりと私のお尻をつねる。
思わず背筋を伸ばすと、男爵夫人がうっとりとした表情のまま首を傾げた。
「どうかなさって?」
「なんでもございませんわ、グレンマルディーア夫人」
とうとう、私の返事の前に院長が答えてしまった。
って、今気が付いたけど私聖女よね? 聖女ってこの国の王様と同じくらい敬われてしかるべき存在って習ったんですけど?
聖女って知られてないとこんな扱いか……。私は諦めてつねられたお尻をさすりながら、長椅子の前の一人掛けの椅子に腰を下ろした。
隣には院長も座る。
その時に、私は夫人の後ろにひっそりと控えている女性がいることに気が付いた。侍女なのだろうけれど、夫人の存在感で気が付かなかった。顔の青白い陰気さを纏ったような女性だった。
「あなたはどこから来たの? 私夫の元に嫁いできてから、ずっとこの街で暮らしていて他の街を知らないの」
そういう女性は多い。一生を産まれた村で過ごす女性だっているくらいだ。
私は夫人に促されるまま、旅の話をかいつまんで話すことにしたのだった。
聖女の予言とかの話はしていない。だって、院長の目が「夫人にご無礼を働いたらどうなるかわかってますね?」と言ってるから。
怖くて余計な話なんてできなかった。
しばらく請われるまま話をしていたが、夫人がふと気が付いたように窓の外を見て言った。
つられて私も外を見ると、陽が少し陰ってきているように見えた。
もうすぐジュストが迎えに来てくれる時間だ。
「そういえば、旅はひとりで?」
「いいえ、修道女はふたりです。それと護衛も」
「道中危険ですものね」
夫人は想像したのか、ほぅっと溜息を吐いた。
ただの溜息なのになんだか悩まし気に見えるのが不思議だ。
これが色気というものなの?
「護衛も雇っているならお金がかかるわねぇ。それでなくても旅って何かと物入りだと聞くわ?」
「そうですね」
路銀の管理はカーラだから詳しくはわからないけれど、多分大聖堂から十分に貰ってきているはずだから路銀には困っていないはずだ。
護衛も私からは特別支払っていない。
でもここは夫人に合わせて相槌を打つ。
「宿代もかかるでしょう?」
「ええ、まぁ……」
「ねぇ、旅の出発までよければ城に滞在なさるといいわ」
目線が絡み合うととろりと微笑まれる。
その視線が落ち着かず、私はなるべく視線が合わないよう耳や頬のあたりで視線をさまよわせた。
「お話も全然聞き足りないわ」
「滅相もございません」
「遠慮なさらないで。城にはね、女神様方を描いたフレスコ画もあるのよ。あなたに是非見てもらいたいわ」
ゆるりと微笑む夫人。私はどう断れば良いのか頭を悩ませていた。
最初に院長から聞いた時は「ワインが飲める!」って喜んでいたけれど、このたった数時間の会話だけでも気遣いですっかり疲れてしまった。
こんなんじゃ、せっかくの高いワインだってきっと味もしないだろう。
「礼儀もわきまえておりませんので」
遠まわしに断ると、夫人の美しい眉が寄せられた。
それを見た院長が焦って私に言う。
「アリーチェさん、男爵夫人のお誘いですよ。夫人はよく旅の方を泊めていらっしゃるの。アリーチェさんもたまには安全な場所でゆっくり休みたいでしょう?」
「ほら、教会も宿屋も何かと物騒だもの」と続ける院長に私は曖昧に笑みを浮かべる。
院長は、この孤児院最大の支援者である夫人の機嫌を損ねたくないのだ。
「きっとあなたも気に入るわ。とても美しいフレスコ画ですもの。ねぇ、ピエラ?」
夫人は自分の後ろに影のように控えていた侍女に話しかける。
「はい、奥様」
「馬車を回してちょうだい」
「かしこまりました」
そう言って、侍女は部屋を出て行ってしまった。
夫人も立ち上がると私を見下ろして言う。
「では行きましょうか」
行くのが当然。そんな態度に私も困惑してしまう。だってずっと断っているのに。
院長は私を急かして立ち上がらせた。
「あの、私同行者がいまして迎えに来るのです」
「ええ、さっき聞いたわ。その方も一緒に行きましょう」
そうすることが当然という、自信と傲慢さを感じさせるような声だった。
後ろから院長にせっつかれて仕方なく夫人の後ろをついて歩く。
正門前につけられた馬車に乗り込む夫人。
私はモタモタとあたりを見回してジュストが来るのを待っていた。
「疲れたから先に城に行きましょう。同行者の方は後から迎えをやるわ」
「かしこまりました」
院長が私の代わりに返事をしてしまう。
ちょっと待ってよ。それじゃ困るの。
「いえ、もう来る頃ですから……」
夫人が目を細めた。
その時、建物の陰からジュストがやって来るのが見えた。
私はほっとして手を振ると、走って来てくれた。
「どうしたんだ?」
馬車と私を見比べて戸惑いを見せる。
「修道女じゃなかったの?」
待たされ疲れた夫人の声は少しばかり不機嫌そうだ。
馬車の中に貴族の奥方様がいることに気付いたジュストが礼を取る。
「一緒に旅をしている者です」
私はすかさずジュストを紹介する。
「街の中でも護衛を雇っているの? 何も危ない事なんてないわよ」
「ええ、ですが大事なお役目を果たすためですので」
夫人は不機嫌なままジュストを見つめると顎で座席を示した。
「……お乗りなさいな」
私はジュストに頷くと馬車に乗り込んだ。
ジュストも院長に何かを言付けてから乗り込んだ。
座席は赤いビロードのような手触りの生地で、ふかふかと柔らかい。
御者が扉を閉まる直前に、院長が「あの」と呼び止めるように夫人に声をかける。
「そういえばシモーナは元気にやってますでしょうか?」
夫人は、ふと宙に視線を巡らせる。少しの時間の後、ゆるりと微笑む。
「ええ。よくやってくれてます」
そして馬車は走り出した。
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