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Q2・差異の要因を説明せよ
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「……と、いうことがあったんですよ」
三日後。俺は蜂須と花房、蝶野と共にデスクを囲んでいた。いつものオープンな会議スペースではなく、廊下の奥にある個室だ。話している内容が内容なので、他のスタッフに聞かせるわけにはいかない。
俺が盗み聞きをした日からというもの、ふたりは絶縁状態になってしまった。幹部全員で集まる機会があっても、片方が出席すればもう片方が辞退をする。ただ彼らが律儀なのは、その事情をきちんと蜂須に説明しているところだ。意見の対立が起きたのでどうしても顔を合わせることができません、事情は鳥辺野くんが知っているはずです――そうして俺は呼び出された。本人たちの許可を得て、あの夜の出来事を話している。
「困ったわね」
全ての話を聞いた後、蜂須は素直な感想を述べた。俺もそう思う。なまじ彼らは頭がいい。ただ子供じみた喧嘩をしているわけではなく、やるべきことはこなした上で互いの接触を断っているのだ。ミーティングを欠席する場合は、あらかじめ書面で意見を伝える。出社時間をずらし、顔を合わせることもなくなったが、最低限の連絡事項はチャットでやり取りする。だからこそ、業務のためにも和解してくれとは言い出しづらい。
「そもそも、皆さんはご存知だったんですか?」
マリアの学歴について、だ。彼女が俺に「一部始終を話していい」と言ったことからも察しがつくが、念のため尋ねてみた。三人は顔を見合わせると、順番に自身の立場を説明する。
「私は、彼女を採用する際に聞いたわ」
蜂須は当然、知っていた。学習塾にいたマリアを引き抜いてきたのだから、履歴書くらいは見ているはず。大学へは進学できず、専門的な知識を得る機会が無かったと知りつつも、あの頃の彼女に何かを見出したのだ。
「自分は、マリアさんと初めて会ったとき。自己紹介で聞いた」
花房は本人から聞いたらしい。マリア加入時のアラクネ幹部には、蜂須と花房しかいなかった。同じ組織に属する以上、伝えておくべきだと思ったのだろう。ケイト大に所属する彼を前にして、本当は明かしたくなかったかもしれないが……。
「僕は……いつだっけ。本人に言われた覚えがないや。でも、話を聞いていれば分かることじゃない? こっちから言及はしないけどさ」
案の定というか、蝶野はわけの分からないことを言った。しかし嘘ではないだろうし、マリアの方も彼に知られていることには気付いているはずだ。三人ともが事情を知っているからこそ、彼女は喧嘩の経緯を隠そうとしない。自分の方に分があると信じている。
「じゃあ、知らなかったのは風見さんだけなんだ」
ひとり言のように呟くと、蜂須の眉根がさらに寄った。頭が痛い、という慣用句を絵に描いたような顔だ。五人しかいない幹部のうち、ふたりが対立している状況はさぞや悩ましいだろう。しかも今に始まったことではないと思われる。花房や蝶野には既に知られていることを、風見だけには意地でも隠し通してきたのだから。
何事もないように接していても、マリアは風見に心を許せていなかったのだ。
「どうすればいいのかしらね。風見さんの言い分も一理あるのよ」
頬に手をあて、蜂須は俯く。俺も昨日のやり取りを振り返りながら考えてみた。確かに、大卒が当然であるかのような態度は褒められたものではない。しかし事実を知らされた彼はすぐに謝った。ここまでなら喧嘩に発展することはなかったはずだが、問題はマリアの返答だ。彼女は自身のトラウマを抉られた結果、強すぎる反撃に出てしまったのだ。
どれほど努力しても、何を成し遂げても。それは永遠に「当たり前」のこと。
その枷の重さは着けている当人にしか分からない。懐かしい旧友に会えたと思ったら、学生証を要求された彼のように。自分に向けられた視線が、自分の外側を撫でるだけで過ぎ去っていくという恐怖。あの子は実家が太いから。小学校は私学だって。家庭教師までつけてもらったら、そりゃあね。誰も自分を見ていない。何を与えられて育ったか、しか見られていない。
「風見さんみたいな立場の人は、悩みを相談することすら自慢だと思われることが多いの。アラクネは学歴重視で採用を決めているわけではないのだけど、そういった人たちが自然と集まるのもこのせいかしら。誰しも、安心して過ごせる場所を求めているのよ」
高学歴ばかりが集まっているのはなぜか、という疑問の答えだ。せめて、同僚とのお喋りくらいは気軽に楽しみたい。幼少期の思い出を語る度に、自身の背景へ視線が向けられるのを感じたくない。そんな人たちの拠り所がアラクネで、しかしマリアだけはそこから外れてしまっていて……。
「マリアのことも、風見さんのことも、もっとしっかり見ておくべきだったわね」
後悔と共に、深いため息をつく。そんな蜂須の姿を見て、花房がおずおずと声を掛けた。
「瑠璃子さんが反省するのは、違うと思う。過去は変わらないし、これからもずっと自分についてくる。誰かに気に掛けてもらうんじゃなくて、自分で衝突を避けることが大事」
彼は、どちらかといえばマリアの味方なのだろうか。難関大学出身という点では風見に近い立場だが、あえて突き放すような言葉を続けた。
「自分も、瑠璃子さんのおかげで日本の高校に通えたし、ケイト大に進学できた。それは事実。だから、誰に何を言われても受け止める」
つまり風見は言い返すべきではなかった、と。厳しいようにも思えるが、そうしていればマリアとの衝突も起きなかった。自分の過去は自分の一部。誰かに言及されたとしても、それは事実を述べているだけ。
とはいえ、この意見には即座に異議が唱えられた。もうひとりの当事者である蜂須が黙っているはずがない。花房の顔を覗き込み、その自戒を否定する。
「それは違うわ。あなたは私の力を借りずに、ひとりで頑張っていたじゃない。あの頃の私は、仕事にかまけてばかりで……。だから負い目を感じる必要なんてないの。何度も話したはずよ」
蜂須はそう話すが、花房の視点では優しい嘘に見えるだろう。何度説明されても、考えは簡単に変えられない。この関係が良い方向へ進めば「恩」となるし、悪い方向へ転がれば「枷」となる。
なかなか難しいものなんだな。声には出さずに、胸の内だけで呟いた。この流れについて、蝶野は何を考えているのだろう。気になったので視線を向けてみると、俯瞰するような目つきで俺たちを眺めていた。
「でもさ、これってどっちも悪くないじゃん」
机に頬杖をつき、身体を傾けたまま言い放つ。興味がない、とまではいかずとも、場違いなほどに雑な態度だ。ふたりのことが心配ではないのだろうか。
「あるいは、どっちも悪い。完全にイーブンでしょ」
考えてみれば、蝶野は半端な立場にいる。風見と同じくトウキ大の出身だが、受験勉強にはさほど打ち込んでいない。小論文形式の後期試験でしれっと合格してしまった。何の努力もしていない、ということは他ならぬ本人が認めている。塾も家庭教師も無縁だったはずだ。正攻法でトウキ大合格を目指した者たちと比べ、かなりの低コストで結果を掴んでいる。
そんな蝶野はどちらに肩入れすることもできない。だから早々にジャッジを諦め、ふたりを平等に扱ったままどう解決するかを考えてくれている……のか?
「こういうときって、恨みっこなしで何かの勝負をするのが一番じゃない?」
いや、前言撤回。この人は考えているようで何も考えていない。
「まりちゃんとカッちゃんで勝負してもらってさ、負けた方が勝った方に謝る。それでおしまい、もうギスギスしないこと! いっそじゃんけんでもいいけど、さすがにそれはアレだから……」
呆気にとられる俺たちの前で、蝶野は周囲を見渡した。大っぴらにできない話をするための会議室。ここは資料室も兼ねており、ぎっしりと中身の詰まった本棚が並んでいる。その片隅で視線を留めると、立ち上がって一冊の本を引き抜いてきた。
トウキ大の過去問をまとめた参考書。いわゆる赤本だ。
「どうせなら勉強の勝負がいいよね。理科だとカッちゃんが有利すぎるし、文系科目だと不利だし、数学が妥当かな。難しい数学のテストを用意して、ふたりに解いてもらう。その点数で決着をつけよう」
「あの、蝶野……? 何を言っているの?」
蜂須が当然の困惑を告げるが、彼はにっこりと笑顔を返すだけだ。本を手にしたまま、ふらりと部屋を出て行ってしまった。さすがにすぐ戻ってくるとは思うが、あまりの自由さに溜め息が出る。
間をもたせる雑談すら浮かばず、数分後。
「ちょっと、何なんですか……」
女性の声と共に蝶野が戻ってきた。後ろに連れている人物の顔を見て、俺は仰天してしまう。マリアだ。部屋を出た蝶野は、事務所にいたマリアを連れてきたのだ。
「だから、まりちゃんとカッちゃんが仲直りできる方法を提案しようと思って」
馬鹿! この状況で当人を連れてくる奴がいるか! そう叫んでしまいそうになったが、口に出せるはずもなく。それに、蝶野は変人だが馬鹿ではない。あらゆる奇行を繰り返してきたが、それで取引先を怒らせたり、会社に損害を与えたりしたことはないのだ。きっと今回も、マリアなら呆れながらも聞き入れてくれると踏んだが故の行動だろう。
「テストで勝負、ですか? まあ、私が勝ちますから断る理由もありませんが」
説明を聞いたマリアは、怪訝な顔をしつつも頷いた。提案自体は突拍子もないが、勝つことが確定しているのだから自分に損はない――彼女がそう考えることは予測した上で、ストレートに伝えたのか。俺たちの困惑をよそに、話はとんとん拍子に進んでいく。
「科目は何ですか? 数学? 私は化学でも物理でも構いませんよ」
「仲直りするための勝負なんだから、あまり煽らないでよ。相手の得意分野で打ち負かしちゃったら余計にこじれるでしょ」
打ち負かす、という言葉にマリアの機嫌が良くなったのを感じる。だが蝶野はあくまでフラットな立場で、どちらかに肩入れしているわけではない。おそらく風見に話す際も同じくらい持ち上げるつもりだろう。
「作問は誰がするんですか?」
そう尋ねるマリアの視線が蜂須に向かったが、そこには困惑の表情があるだけだ。そもそも蝶野が勝手に話を進めているのだから、蜂須を巻き込むのは良くない。彼も分かっているはずで、赤本に視線を落としながらこう言った。
「トウキ大の過去問から出題するよ。僕は数学なんて分からないから、難しそうな問題をこの本からそのまま抜き出してくる。一字一句変えずにね」
「なんだ、出題範囲が決まっているんですね」
鼻で笑うような声。もう既に満点の自信がある、とでも言いたげだった。
「この勝負で私が勝ったら、私の言ったことは間違っていなかったと認めてもらえるんですね」
どこかしみじみとした調子の声を聞きながらも、俺は考えがまとまらずにいた。勝負事による和解。双方が了承の上ならば、確かにそれも手だ。しかし、本当にこれでいいのかという疑問も浮かぶ。マリアが風見に返した言葉は、マリアが勝てば正しかったことになるのだろうか。逆に風見が勝ったなら、マリアの悲痛な叫びは永遠に閉じ込められなければならないのか。
分からない。だが、俺の中に別の案があるわけでもない。蝶野の説明を聞き終えたマリアは、再び仕事へ戻っていった。今日から彼女の空き時間は勉強に費やされることになるだろう。いや、それは今までも同じか。大学に通った経験がなくとも、誰にも負けないほどの知識を保持する――日々の努力がなくては成し得ないことだ。
「そういえば、マリアさんの姿を見て思い出したんですけど……」
蝶野の行動にツッコミたい部分は山ほどあるが、一旦流すことにした。俺は話題を変えつつ蜂須に尋ねる。
「以前、マリアさんみたいな境遇の女子高生から相談があったじゃないですか。トウキ大に入りたいけど、女の子だから勉強をさせてもらえない、って。あの子、あれからどうなったんですかね……?」
隣で聞いていた会議では、その後の報告はなかった。アラクネが受け付けている相談は、一対一でやり取りを続ける形式ではない。だから「その後」なんて存在しないのだと知りつつも、どうしても気になってしまう。蜂須は少しだけ沈黙した後、首を傾げながら答えた。
「あの件の回答はマリアに任せたので……。でも、同一人物らしき子からの再度の相談は見かけないわね。心配だけど、こちらから接触することはできないのよ」
「そのことなんですけど」
俺は、以前から感じていたことを口にした。
「相談を個別に対応してはいけないっていう規則、少し厳しくないですか? 一回の返事で解決するようなものばかりじゃないと思いますし。メンバーのひとりと個人的にやり取りをして、時間をかけて話を聞いた方が……」
相談という行為には、どうしても主観的な要素が入る。最初のメッセージだけでは裏の事情まで読み取ることはできないだろう。何度も対話を重ねていくうちに、本当に解決すべきことが見えてくるケースもある。それはあくまで学校や家族、学習塾の役目だ、というアラクネの主張も理解できるものの。どこか違和感がぬぐえない。
「ごめんなさいね」
俺の疑問に対し、蜂須は脈絡のない返答をした。まるで、俺ではなく、今まで見捨ててきた相談者たちと話しているかのように。最後まで相談に乗ることができなくてごめんなさい。突き放すようなルールを決めてごめんなさい。学校や家族には相談できないからこそ、こちらに縋ってくれたのに――
「アラクネも初期の頃はね、そういう対応をしていたの。長期戦になりそうな相談には担当者をあてがって、チャットルームで詳しい話を聞いていたわ」
「やめちゃったんですか、それ」
「色々あったのよ」
蜂須の視線が、ちらりと部下たちの方を向く。花房の目がわずかに泳いだ。蝶野は射貫くような眼差しを返している。間違いない、彼らは知っているのだ。この場で俺だけが何も知らない。何があったんですかと尋ねても、答えてもらえないことは分かっている。
人差し指を口元にあて、彼女は力なく微笑んだ。
「――年表には、載せられないようなこと」
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