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問四・このときの感情を答えよ
疑惑発生
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スクロールバーを引き上げ、チャットルームのやり取りをさかのぼる。
最初の課題である鉛筆デッサンを受け取った後、次の課題について説明している文面が現れた。第二問は着彩デッサン。五色以上が使われているモチーフを描いてきてほしい、という内容。こちらから送ったのは、本・マフラー・リンゴなどを寄せ集めた雑多な光景だが、これはあくまで参考画像だ。鉛筆デッサンのときと同じように、モチーフはそちらで用意すること。今回はカラーなので画材は何を使おう――などというやり取りが、記憶の通りに連なっている。
〈そうだ、アクリルガッシュなら持っているよね?〉
俺がこのメッセージを送ったときは、名案だと思ったのだ。美術の講義といえばアクリルガッシュ。入学時に全員が購入していて、絵に対する興味のあるなしにかかわらず、ロッカーの片隅に置かれているものだと信じ込んでいた。ミズキに余計な出費はさせたくないし、これを使わない手はない。
だが、返ってきた言葉は胸に突き刺さるものだった。
〈うーん、もう捨てられちゃいましたね〉
今なら理解できる内容なのだが、このときは混乱していた。質問攻めにする様子が記録されている。イジメ、という単語が脳裏を過ったのだ。
〈えっ、それはどうしてかな。まだ講義で使うんじゃないの? 困らない? 誰に捨てられちゃったの?〉
〈講義は音楽選択ですよ。何も用意せずに参加できて便利だし、放課後に作業を進める必要もないから音楽を選べ、って言われたので〉
〈……誰に?〉
〈両親です。まあ、友達も音楽を選んだ奴ばっかりなので、つい流された形でもありますけれど〉
そうか、選択講義か。既に知っていることなのに、読み返す度に新鮮な気持ちで肩を落としてしまう。ミズキの手元にはもう、ほとんど画材道具がない。スケッチブックと鉛筆くらいしか残っていないのだろう。
学校の名前は知らないが、進学校だと書かれていたもんな。美術の講義が無くなっている可能性に思い至るべきだった。中学校では学習指導要領に沿って習っていた美術も、高校では選択式になることがある。美術・音楽・書道の中からひとつ、という形が多いだろうか。主要科目の講義が増える代わりに、受験に必要のない学びの機会はどんどん減らされていくのだ。
〈それで、音楽を選択したんだね。ちなみに講義の頻度はどのくらい?〉
そんな質問を送った後、即座に俺自身が「今のなし」と追記している。ルールを破ってしまったことに気付いたからだ。回答によってはミズキの通う高校が特定できてしまう。投稿を消そうかと思ったのだが、咄嗟に方法が分からず、あたふたと言葉を続けて取り繕っていた。
〈ごめん、今のには答えなくていいよ。俺のところは二週間に一回しか選択科目の講義が無かったな、と思い出したものだから……〉
俺は美術を選択した。絵を描くことは楽しかったし、陶芸や彫刻も体験できるのだから価値があると思ったのだ。しかし同学年のほとんどは音楽を選び、教室がぎゅうぎゅう詰めになっていたと聞く。先生の目も届かず、実質的には自習や内職の時間だったとか。選択講義は二クラス合同なので、倍近くの人数になってしまうのだ。一方の俺たちは充実した指導を受けられたわけだが、肝心の講義が少ないので物足りない思いをした。
〈もっと、学びたかったですよね〉
画面の中央にミズキからの返信が佇んでいる。その文字が一斉に滲むのを感じた。俺は袖口で両目を拭う。いけない、こんな場所で不穏な行動をしては。ここは事務所の片隅で、周囲では優しいスタッフたちが仕事をしているのだから。
そうだ。俺はもっと学びたかった。仮にも学校で教えることである以上、これも勉強であるはずなのに。真剣に取り組めば「ほどほどに」と叱られ、音楽室の講義崩壊は誰にも咎められず、建前程度の頻度でしか指導は受けられなくて。二週間に一回って何だよ。数学の講義は週に十回くらいあったぞ。どうしてこうもやりたいことを奪われなければならないのか。
でも、今のミズキの方が苦しいはずだ。
〈音楽の講義も悪くないと思うよ〉
三日前に送ったメッセージを他人事のように眺めた。心にもない言葉だな、と苦笑する。ミズキの学校でも、音楽の講義は自習扱いになっているのではなかろうか。道具や作業時間を要しないから、という理由で選んだ生徒が多いはずだ。そんな講義で学べることなんてないし、誰も期待すらしていない。
〈絵具、お友達に譲ってもらえないかな?〉
〈どうですかね……。選択講義になった瞬間、処分した人が多いかも〉
〈無理だったら買うしかないか。申し訳ないけれど、安いものでいいから一セット入手してほしい。おすすめはこれで――〉
そこから先は会議で説明した通りだ。油絵具の代わりにアクリルガッシュを使い、二問目の課題に取り組んでもらっている。また三日ほどかかるだろうから、今日あたり提出されそうだ。先送りにしていた不安が形を持ち始める。ミズキの着彩デッサンを見て、俺はその才能を見極めなければならない。
俺はノートパソコンを閉じて立ち上がった。荷物を自身のデスクへ片付け、身ひとつで給湯室へ向かう。歩いている途中で、カップも何も手にしていないことに気付いた。のどが渇いているわけではない。ただの散歩のようなものだ。とはいえ、行動の建前すら用意していないことには呆れてしまった。
(ぼんやりしすぎているな、俺)
頭を軽く振り、両手で頬を叩く。ふと隣を見ると風見の部屋の前だった。〈使用中〉のプレートが掲示されている。そういえば、今日は実験の撮影をすると話していたっけ。防音性が高いため、中からは何の気配も伝わってこない。俺もたまに手伝いを頼まれることがある。ただカメラを持って手元を映すだけなのだが、あれはけっこう楽しい。また誘われないだろうか。
そんな俺の心情を読んだかのように扉が開いた。白衣を片腕にぶら下げた風見が顔を出す。
「お、撮影係確保」
人懐こい笑顔を浮かべながら手招きされた。俺が暇を持て余しているように見えたのか。実際に手は空いているので、ふらふらとその後をついていく。
「今は何をしているんですか?」
「紅茶からカフェインを抽出する実験だ。これまでも何度か挑戦したが、なかなか収率が高くならなくてな。今回は対策を練ったんで、上手くいくといいんだが」
収率というのは、目的の生成物が理論値に対してどれほど得られたか、という割合のことだ。風見の動画では頻出の単語で、俺にも意味や重要性が分かってきた。無駄なく生成できればこの数値が上がる。
作業台の上には氷水に漬けられたコニカルビーカーがあった。中の液体が紅茶であることは明らかだ。通常の何倍もの濃度で淹れているようで、喫茶店でも嗅がないような香りが充満している。ただ、ほとんど常温まで冷めているらしく、鼻につくほどでもなかった。
「そろそろ次の工程に移れるから」
風見は白衣を羽織り、手袋と安全ゴーグルを着用した。俺にもゴーグルを渡してくる。最後に小型のデジカメを託された。
「今回はサイト用の撮影だから、写真だけでいい。声も出していいからな。まあ、あまり近寄って喋るのは良くないが」
「承知しました。適当なタイミングでどんどん撮っていきますね。ここぞという場面があれば声を掛けてください」
火や熱を使う工程は済んでいるらしく、あとは薬品を混ぜて振って分離しての繰り返しだった。ここで振りすぎると収率が下がるんだ、などと解説してくれたが、俺にはさっぱり分からない。ひたすら自身の判断や彼の指示に従ってシャッターを切っていた。デジカメはフィルムの残数を気にしなくていいから便利だ。
最終的に白い針状の結晶が小瓶に集められ、実験は終了した。
「収率はどうでしたか?」
「理論値基準だと約30%だな」
数字としては低く感じるが、風見の表情は明るい。まずまずの結果なのだろう。カメラを返すと、しばらくチェックした後に頷いていた。問題はなさそうだ。素人が手伝えるのはここまでなので、彼が器具を片付ける様子を離れた場所で眺めていた。
「少し話をしてもいいか?」
試薬を棚に仕舞いながら風見は言った。仕事は残っているのだが、それほど急ぐものではない。俺は迷いなく了承した。彼は安心したように息をつき、こちらをちらりと見てから言葉を続ける。
「ミズキくんの件なんだが。どうにか、美大を目指す方向で支援できないだろうか」
驚いた。まさか彼の方から、そんな踏み入った話が出るとは。しかし俺が訊き返すよりも先に撤回されてしまった。
「すまない、聞かなかったことにしてくれ。決めるのは俺じゃないもんな……」
「どうして美大を勧めるんですか?」
「大した根拠じゃないんだ。ただ以前にも、同じような相談を受けたことがあって。そのときは結局、美大には反対してしまった」
「それで……何か問題が起きてしまったんですね?」
反対して〝しまった〟。その言葉を使うということは、彼は後悔しているのだ。少なくとも俺が採用されるより前、何かが起きた。アラクネの年表には載せられないことが。今なら聞き出せるかも、という欲望が動き出す。
「以前って、いつ頃のことです? 参考程度に教えてくださいよ」
もし「二周年を迎えた頃」だったなら、マリアの話と繋がってくるのだが。蝶野が変わってしまったという時期と合致するのだが。下心を込めてたたみかけたが、さすがに風見は引っ掛からなかった。何でもない、と繰り返して作業を再開する。
「まあ、そのことだけが理由じゃないんだ。色々と思い出してしまって。俺が小学校受験をするとき、絵を教えてくれた美大生も親に反対されたらしくて……。学費も生活費も出してもらえず、ああやってバイトで食いつないでいたが、全く後悔はしていないと話していた。あの笑顔が忘れられない」
覚えている風見も風見だが、未就学児にそんな話をする家庭教師も変だ。とはいえ嘘ではないだろうし、それだけ大人びていたということか。既に堅牢なレールに乗っている教え子を見て、思うところがあったのかもしれない。
「難しい話だよな。同じ状況に置かれていても、同じ感情を抱くわけではないし」
「後悔の基準なんて、人それぞれですよね」
「そうだな。だからミズキくんのことも――」
彼が途中まで言葉を紡いだとき。突き上げるように部屋全体が揺れるのを感じた。いや、揺れているのは建物だ。このあたりの土地の全てだ。
「伏せろ!」
鋭い声が届くや否や、俺はデスクの下に潜り込む。震度4くらいか。普段ならここまで焦りはしないのだが、今は薬品が机上に出ている状態だ。自分で危険度を判断することはできないし、風見に従うべきだと思った。彼は全てをシンクに収めると、手早く棚にロックをかけた。揺れによって中身がぶつかり合っているが、飛び出してくることはなさそうだ。火は使っていないため、ひとまず安心してもいいだろう。
「大きかったですね」
揺れが収まった後、風見が合図するのを待ってから立ち上がった。事務所の方で人が騒いでいる気配を感じるが、厚い壁のせいではっきりとは分からない。様子を見に行こうかと考えたとき、慌ただしいノックの音が聞こえた。
「風見さん、大丈夫ですか?」
扉が開いてマリアが顔を覗かせる。俺たちが無事であることを確かめると、安堵の表情を浮かべた。
「事務所の方も大丈夫です。ちょっと物が乱れたりはしましたが」
それだけを言い残し、再び扉は閉められた。俺はポケットからスマホを取り出す。今の地震について情報を得ようと思ったのだ。
「……あれ」
ニュースサイトを開くより先に、画面に表示された通知が目に留まった。チャットルームの新着メッセージを示すバナーがある。俺が撮影を手伝っている間に、ミズキから何か送られていたらしい。
(課題、完成したのかな)
アイコンをタップして確認に向かう。地震の情報も気になるが、どうしても後回しにできなかった。数件の未読メッセージが連なっており、その最初のものが削除済みであることに気付いた。
―このメッセージは投稿者によって削除されました―
そんな無機質な文字列の後、いつもの文体でミズキ自身の言葉が続いた。
〈手元が狂って途中で送信してしまいました。気にしないでください〉
入力中の誤送信か。よくあることだ。残りのメッセージも俺の予想どおりで、特に変わったところはない。課題を描き上げたので確認してほしいという内容。画像ファイルが添付されているが、スマホでは綺麗に閲覧できないのでお預けだ。
地震については一切触れられていなかった。送信時刻はほんの数分前、まさに地震が起きた直後なのだが。ということは離れた場所にいるのか――いやいや、詮索するのは駄目だって。自分で自分を叱りつつ、今度こそ地震情報を確かめた。
震源地は都心、最大震度は4だ。このあたりが中心だったのか。大災害の余波ではなかったことに安堵した。それと同時に、強い違和感が胸にこみ上げてくる。
(そういえば、チャットルームのメッセージの消し方ってどうやるんだ?)
一度、挑戦したことはあった。美術の講義の頻度について尋ねたとき、高校を特定しかねないことに気付いて撤回を試みたのだ。しかし操作が分からず諦めた。実際にミズキが削除している以上、機能としては存在しているはずなのだが。
「風見さん、チャットルームに送ったメッセージの消し方って分かります?」
スマホの画面を見せて尋ねる。くそっ、身長差があるからちょっと伸びあがらなくちゃならないのが癪だな。彼は視線を合わせて覗き込み、記憶を辿るようにゆっくりと操作を始めた。
「前と同じシステムなら、こうしてこうすれば……」
やや複雑な動きを経て〈メッセージを削除する〉というボタンに行き着く。初見では非常に分かりづらい手順だ。誰が教えたわけでもないのに、ミズキはよく削除できたな。
そう、違和感の正体はこれだ。どうやってこのボタンを見つけたんだ? 今どきの高校生だから、とか。たまたま発見したとか。何ならソースコードを覗いた可能性もあるが、どうにも引っ掛かる。
この画面の向こうにいる人物は何者なんだ? 本当に進路に悩めるひとりの高校生なのか? ふと不穏な考えが胸を過ったものの、だとしても俺のやるべきことは変わらない、と一蹴した。
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