2 / 9
卵を孵化させよう
しおりを挟む目を覚ますと見知らぬ天井。
家の中…?
見渡すと10畳ほどの広さがある木造の家、色々壊れているものの使える物も多そうだ。
何年も使った形跡はないので空き家であろう。
んー、どうしよう。
異世界だし何があるかわからないから、此処を拠点にして周囲の安全確認かな。
窓から外を見ると森だった。
街や村の中じゃないのは確かだなぁ。
人の気配ないし…
よし、アレを使ってみよう。
神様から魔法に関する知識を貰った時に空間魔法に関する情報もあった。この世界では基本『火』『水』『風』『土』『雷』の5属性に分かれていて、それ以外の特殊な魔法は『無』属性に総じて分類されるらしい。
それで、僕は空間魔法しか使えない訳だが、コレがなかなかできるやつなのですよ。
まず『空間収納』
コレはお察しの通りアイテムボックスみたいなものだ。だがアイテムボックスは容量が決まっているみたいだが空間収納はいくらでも入るらしい。嬉しいね。
次に『結界』だ。
イメージ的には対象を箱で囲う感じかな。
これで対象を守れたり、敵を閉じ込めたりできる。
因みに魔素登録すれば出たり入ったりは可能なのさ!
そういう訳で結界で家を囲もう。
外は怖いので今回は中から…べべべつにビビってないよ?
えーっとだいたいでいいかな、、あっ外に井戸があったからそれは入れよう。
7m×10m位で届くかな。
高さは…外に階段がなければ平屋だろうなぁ。
まぁ一応10m位で!
よし、発動っと。
キィィーーーーーン
「オッケーぽいね。」
安全確保は出来ただろう。大丈夫だよね?
という事で、忘れてないよ。卵。
空間収納に入れてあった卵を取り出す。
神様が魔力を込めたらすぐに産まれるって言ってたよね、それではやってみよう。
卵に魔力を流し込むと徐々に大きくなる。
40センチ位の所で止まり中で動いている感覚がある。
パキッ
すると中から
全体は黒く額の十字と尻尾の先だけ白いイタチのような魔獣が産まれた。
「ごしゅじんさま、おはよー?」
「喋れるんだ!?あっおはよ。僕はコウだよ。」
「コウさまー?」
「コウでいいよ。君は名前あるのかな?」
「コウわかった!んーとね、名前はないけどライトニングラーテルって種族なんだぁ!」
「じゃあ…名前を付けないとね。ライトニングラーテルだから“テル”でどうだろう?」
「テル、テルうれしー!コウありがと!」
そう言ってテルは仰向けになってスリスリしてくる。
はァはァ。何この子可愛すぎるでしょ。
「ねぇ、テル。ナデナデして顔を埋めてもいい?」
「うんいいよー!」
一礼して、お腹に顔を埋めながら前足の付け根あたりをもふもふ。すぅーーーーはぁーーーーー。もふもふ。
お腹の毛はふわふわだ。
背中側の毛は固めだが艶々していて触り心地いい。最高です!!
その行為は10分続いた。
「ふぅ、ありがとう。」
「コウはナデナデ上手だねー!」
天使なのかっ!?うちの子は天使だったらしい。
もっともふもふしたい所ではあるけど、日が落ちる前に食料を確保しときたい。近くに村や街があればいいけど。
「テル、食料を集めたいから森に入るんだけど一緒に来てくれるかな?」
「いいともー!テルねー遠くまで匂いわかるの。美味しいのいっぱい探すね!」
「頼りにしてるよ。」
「うん!任せてー♪」
「コウ行かないのー?」
「ちょっと待ってね。」
どのくらい時間かかるかわからないし、準備はしとかないとね。
棚を漁る。
壊れている物が多いけど、鍋とか食器類、麻袋など使えそうな物は全部空間収納にしまっておこう。
よし、こんなもんかな。
「ごめん、お待たせ。」
テルは早く外に出たかったのか扉の前で待っていた。
「右の方から水の音が聴こえるの、川があるみたい!お魚いるかも♪」
僕には全然聴こえないから、テルは鼻だけじゃなく耳も相当いいみたいだ。
「テル、村とか街、人がいっぱいいそうな所わかるかな?」
「んー…こっからだとわからないや」
「じゃあとりあえず川まで行こうか。」
「うん!」
サバイバルナイフを装備してと
扉を開けて外に出る。
ぷはぁー、空気が美味しい。魔力の質がいいのか濃いのか体に馴染む感じがする。
「あっそうだ、テル。美味しい物もそうだけど魔物とかもいたら教えてくれる?」
「わかったー!あのねー左奥50m先の木の根元にホーンラビッt…あっ逃げちゃった。捕まえる?」
「いいよ、襲われない限りはあんまり殺したくないかな。」
「コウ優しいんだね♪お魚はいたら食べていい?」
もふもふ以外は割り切れます。肉も処理済みのは食べれるんだけど生きてるの見るとどうしてもね…。
「食べていいよ。いっぱい捕れるといいね。」
「うん♪こっちだよー!」
テルが先行して進む。
森といっても木は多いが草の背が低いので歩きやすい。テルは早く川に行きたいみたいだけど、僕を気にしてゆっくり歩いてくれている。超絶いい子。後ろ姿も愛くるしい。
クンクン
「コウ、このキノコ食べられるよー!」
と言って見つけたのは笠の広い赤いキノコだ。
「え?コレ大丈夫なの?赤いけど…」
「大丈夫!食べられるのは美味しい匂いがするんだよー!」
テルを信じて赤いキノコを摘んでいき、空間収納へ。
そうしてコウが食べれる!と言った葉っぱや木の実を摘みながら進んで行くと、水の流れる音が聴こえてきた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛
タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。
しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。
前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。
魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる