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1章帰還者

5話 クロムの力の片鱗

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「……ニュースか、一応見て見るか」

 パソコンを使いネットで色々と、調べていた時、一、二分のニュース動画が出てきた。
 そのままニュースを見る事にした。
 カーソルを合わせ、動画をクリックする。
 直後、動画は流れる。

「ニュース速報です。何者かに〇〇市が崩壊しました」

 〇〇市? 俺達が壊した場所か。
 ニュースはそのまま続く。

「崩壊した場所には十数人の警察官の死体が発見され、警察関係者は早急な対処をするのを発表しました」
「………」
「また分かり次第、速報させて頂きます」

 そこでニュースは終わる。

「さてさて面白い事になったな」

 これをセロスとクリスが知れば、絶対に面白がるな。
 そういえばセロスの奴、静かだ。
 と、思った時、扉が勢いよく開けられ、セロスが汗をかきながら来た。

「おいセロスどうした? そんなに汗をかいて」

 セロスにどうしたのか、聞くと、セロスは声を震わせながら言う。

「ク、クリスが捕まっています!」
「は……?」

 セロスの言葉に一瞬、声が出なくなった。
 俺は頭に手を置き、少し考える。
 どういう事だ? 今、一体何が起きてるんだ? クリスが現代人に負けるとは思えない。
 だとしたら何故捕まっている? 考えれば考える程、疑問しか湧いて来ない。

「……ああくそ!」
「ク、クロム様。落ち着いて下さい」

 俺はセロスの言葉で我に帰る。
 目の前に合ったパソコンは、粉々に壊れていた。
 どうやら──俺は感情任せに、壊した見たいだ。
 今は考えるだけでも無駄か。
 フゥと息を吐き、次のするべき行動を考える。

「セロス、今の現況説明をしろ」
「外におよそ百以上の武装集団。その中でクリスが拘束されています」
「分かった」

 部屋を移動して、窓から見るのも、めんどくさい。
 拳を構え、壁に向かって拳を振う。
 次の瞬間、壁はぶっ壊れ、外には武装集団がいた。
 その中一人だけ、騒いでる奴がいる。
 他の人間より背が高く。
 目立つ赤い髪をした男──クリスがいた。

「壁が壊れただと?」
「何か爆弾を持っているかもしれない。一斉射撃の準備!」

 男の号令で一斉に連中は、俺にライフルを構えてくる。
 もう一度、さっきの男が号令を掛けたら──その瞬間、俺には一斉鉛玉が飛んでくる。

「はぁ、流石の俺でもな、この人数の鉛玉だったらきついぞ?」
「そこにいる男に告げる。今すぐ武器を置き、抵抗をしずに自首しろ! さもないと撃つ」

 ドラマとかで見た事がある、警察の言葉。
 本当にこんな事言うんだな。
 と、感心をしていた。

「本当だりぃ、俺は魔法苦手なんだよな」

 セロスの様に攻撃魔法を、使う事はできる。
 だが、そうすると、クリスを巻き込んでしまう。
 セロスを頼るか? いや今の現状を考えると、俺一人でやった方がいい。

「仕方ねぇか。久しぶりに異能を使う」

 全身に力を入れ、思考を無にする。
 全身にある血液を、高速で循環させ、体に眠る力を呼び起こす。
 刹那、クリス以外の人間は息をしていなかった。
 クリスは唖然としていた。
 俺はクリスの元に近寄る。
 クリスは拘束袋で身動きが、とれない状態になっていた。

「あ、相変わらずの強さですね、クロム様」

 クリスは怯えながら、俺に言ってくる。
 あれ、こいつがされている拘束具、多少の魔素を感じ取れた。

「あ、あのーこの拘束解いて貰えないでしょうか?」

 クリスは申し訳なさそうに俺に言う。

「チッ」

 俺は軽く舌打ちをし、手を軽く曲げる。
 次の瞬間、クリスの拘束袋は消滅した。

「こいつら俺の事、拘束しやがってぶっ飛ば……す。もう息をしてない」
「お前は馬鹿か? 俺が異能を使ったんだよ。それよりクリスこれを見ろ」

 俺はクリスに指でジェスチャーをし、武装集団の死体に近付かせる。
 クリスは不思議そうにしながら、死体に近付くと、何かに気づいた様子。
 どうやら、俺が呼んだ理由に分かった様だな。

「なんでこの世界の人間なのに魔素が!?」
「それが分かれば苦労はしない」
「確かにそうですね」
「お前が拘束されたのも、この多少の魔素が関わっているかもしれない」

 それにこいつら、日本の警察が誇る、特殊部隊──SWATの連中。
 色々と不明な事が多い。
 こいつらはどうやって、俺達の居場所を特定した? 歩行以前に俺らは魔法でここに来た。
 普通はここの場所に居ると、分かる筈がない。

「クロム様どうしますか?」
「クリス、これを持ってセロスと、共に行動をしろ」

 魔素が一番付いてる装備を取り、クリスに渡す。

「御意」
「待って、セロスに伝号を頼む。この魔素を調べろ」

 クリスは頷き、足早に去っていく。
 俺もここに長居しても仕方ないと思い、魔法を使いまた移動する。
 高い建物の屋上で風景を眺めながら、俺は思った事を口に出す。

「この復讐。俺が想定していた以上に過酷になりそうだな」
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