流れ星が落ちた

貴美月カムイ

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流れ星が落ちた7

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「やめろ! 何をする!」
「え? ジュンイチ……くん……」
 ランプがまぶしくて二人の顔が見えなく、僕は手で目の前を覆った。
「ジュンイチか……お前もユウコとやったんだろう?」
「なんだって?」
 どこかで聞いたことのあるような男の声がして、運転手は僕へと近づいてきた。目を細めながら運転手の顔を見ると、ユウコの彼氏のカズマだった。
「カズマ! お前……どうしてこんなところに」
 カズマは不敵な笑みを浮かべながら僕へと言い放った。きつい酒の匂いがカズマの体から漂っていた。
「ジュンイチ……お前だったのか……」
「なに?」
 話の筋が掴めずに僕は当惑していた。何の話をしているんだ。
 カズマはユウコに振り向き、問いただした。
「こいつだな? お前の本当に好きなやつは」
「なっ……どういうことだ!」
 何がどうなっているのかわからなかったが、カズマの言葉にユウコはしっかりと頷いた。
 カズマは僕を見下したような目つきをしながら僕へと言った。
「こいつはな。俺と付き合っていたころから、俺以外の誰かのことが好きだった。俺はそれが誰だかわからなかった。わかるだろ? な? 側にいるんだから、俺じゃな いやつが好きなんだって。誰も傷つけたくないというこいつの甘さが、この俺を傷つけたのさ。断りきれずに付き合ったのも、傷つけたくないからだなんて、ひどい話だよな。マキトとやっていたみたいによ、ずっと演技だったんだよ。幸せなふりをしていただけだったんだよ。こいつ、とんだアマだぜ」
 カズマの話に余計謎が深まるばかりだった。酔っ払った勢いで当り散らしているのかもしれないとも思ったが、質問したいことが山ほどあって逆に質問がかき消されるようだった。
「お前なんでマキトとのこと知っているんだよ」
「お前が茂みから覗いていたのも知ってるぜ。お前とやっていたのも。どうしてこんなことになったのか教えてやるよ。お前が悪いんだよ。お前がこいつの気持ちにいつまでも応えようとしなかったのが、気づこうとしなかったのがすべての歯車を狂わせたんだ」
「そんな……でも、だからって……」
「言ってやったよ。このアマによ。お前が汚れた淫乱女に成り下がったらさっさと捨ててやるよってな。そうしたら、この女、本当にやりやがった。そこまでしてもこの俺が嫌なら――」
 カズマは言いかけて、ポケットの中の携帯用のウィスキー瓶を取り出して一気に飲み干した。
「もういいや……もうわかったから行けよ……二人ともよ……」
 カズマは足取りおぼつかない様子でワンボックスカーの中へと消えた。僕はそれ以上どうすることもできなくて、地面のユウコへと手を伸ばして引っ張りあげた。
「行こう」
 僕はそう言って手を引っ張りながら歩いた。ユウコの手を引っ張りながら、錘を引っ張っているように感じた。歩きながらユウコはうつむいたまましばらく無言だった。
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