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第1章 反乱軍討伐戦
反乱軍鎮圧 06
しおりを挟むフランは父親に今回の反乱の真相を語りだす。
「父上。どのようにしても、今回我が国で反乱が起きていたでしょう」
「それはどういうことだ?」
彼女は父親の質問に答える。
「今回の反乱軍を裏で糸を引いていたのが、【サルデニア王国】だったからです」
「それはまことか?!」
【サルデニア王国】は【ガリアルム王国】の南に位置し、【ロマリア王国】の北の一部と【ガリアルム王国】の南の一部を領有している国である。
約百年前に、【サルデニア王国】は【ガリアルム王国】の内乱に乗じて、当時の南の国境付近の領地に侵攻して一部を占拠した。
内乱の集結した【ガリアルム王国】は、もちろん奪われた領土を取り戻そうとするが、彼の国の同盟国である西の列強国【ドナウリア帝国】が、同盟を理由に参戦し連合軍対ガリアルム王国軍となり、領土奪回戦は【ガリアルム王国】の敗北となってしまう。
この敗北により、南の領土の一部を奪われた【ガリアルム王国】は、この百年間領土奪還の機会を窺ってきたのであったが、【ドナウリア帝国】の驚異のために果たせずにいた。
フランは父親との問答を続ける。
「はい、今は諜報部からの情報だけですが、今回捕らえた反乱軍の捕虜への尋問で裏が取れると思います」
「だが、どうして【サルデニア王国】が、我が国で反乱を起こさせるのだ?」
国王の問いにフランは、次に何故【サルデニア王国】が、関与してきたのかを説明する。
「我が国が【サルデニア王国】に攻め込めなかったのも、【ドナウリア帝国】が彼の国の同盟国として、背後に控えていたからです」
そのため先代の王フィリップ(フランの祖父)は、【ドナウリア帝国】に対抗するために北の列強国【エゲレスティア連合王国】と、現国王シャルル(父親)とアン(母親)の婚姻関係による同盟を締結させる。
だが親子二代で領土奪還戦は行われなかった。
「父上も、【ドナウリア帝国】が今年の4月頃から、南の【ロマリア王国】に侵攻を開始したのはご存知ですね?」
「ああ、報告は受けている」
国王はそう答えた後に、娘の言わんとする事を察する。
「そうか! ドナウリアがロマリアと交戦状態になれば、我が国がその機に領土奪還戦争を仕掛けても、サルデニアはドナウリアから充分な援軍を得ることができない。だから、彼の国は我が国が攻められないように内乱を誘発したのか!」
父親の推察を聞いたフランは、頷いてからこう答えた。
「その通りです」
国王シャルルは、娘の返事を聞いた後に、ため息交じりでこの様に呟いた。
「愚かなことを…。私は責める気など無かったのに…」
フランはその父親の呟きを黙って聞いていた。
反乱の内部工作がおこなわれ始めた三年前で、国王に攻める意思が無いことを知らない【サルデニア王国】は、逼迫した財政を立て直すために財政改革を行おうとしている情報を手に入れ、財務省関係者に接触して増税案を提出させる。
そうなれば、国民は政府に反感を覚え、そこを煽れば【ガリアルム王国】国内の各星系で国民による暴動が起きて、内乱にまで発展するだろうと考えた。
フランは領土を奪われた時の内乱も、【サルデニア王国】もしくは【ドナウリア帝国】が仕掛けたものだと推察していた為、【ドナウリア帝国】が【ロマリア王国】に侵攻準備をしていると聞いた時から、何か仕掛けてくると考えていた。
彼女は、予てより諜報部の予算増額要求の上申書を出していたフランツ・フジュロル大佐と面会し、彼にサルデニアの諜報を依頼する。
半月後、彼はその卓越した諜報能力で、サルデニアと財務省関係者が接触していることを突き止め彼女に報告する。
彼女はすぐさま財務省から上がってきた増税案を、国民が困窮する悪手だと理路整然と説得し、代案として例の二つの財政改革案を進言して父親に実行させる。
そして、フジュロル大佐の才能を評価して、父親にこれからは情報の時代だと言葉巧みに説いて、大佐を諜報部のトップに据えさせ予算も増額させた。
フランは諜報部からもたらされる情報で、相手の動きを予測して計画を進めていく。
彼女の二つの財政改革案は、貴族達と官僚達、公務員の特権を奪いその浮いた予算を国民に回すモノであり、これによって多くの国民の政権に対しての不満は下がり、民による暴動と反乱の芽は潰れることになる。
そうなれば、サルデニアの次の目標は軍部になるが、フランは改革で浮いた財政費を少しだが軍にも回していた為に、軍にも不満はなく更にその軍の兵士達の多くが上記で恩恵を受けた民であるために、こちらの煽動も無駄に終わる。
そして、サルデニアが最後に目をつけたのが改革によって、現政権に恨みを持つ貴族達や官僚達であった。
つまりフランの二つの財政改革案は、財政再建と反乱を起こす者達を鎮圧しやすい貴族達や官僚達に実行させ、それにより残しておいても政権の邪魔になるその者達を、大逆罪で合法的に排除するという策略が隠されていたのであった。
この事を事前に教えられていたのはクレールだけだが、ヨハンセン、ロイクはその卓越した読みから看破しており、フジュロルも薄々ではあるが気付いていた。
クレールもその明敏な頭脳で教えられなくても気付いたであろう。
そして、彼女達のような優れた頭脳がある他の者達も気付いているかもしれない。
もちろん、ルイも……
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