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第1章 反乱軍討伐戦
反乱軍鎮圧 05
しおりを挟むフランは主星に戻ってきた次の日から、王宮の一室に新たに造らせた自分用の執務室で、父親である国王が帰国するまで代理で国政を執りおこなっていた。
当初大臣や官僚達は、フランの事を内心では17歳の小娘と侮っており、国王気取りで政務をおこなっているが、どうせそのうち処理できなくなって音を上げると考えていた。
だが、フランは滞りなく次々と見事に案件を処理していき、更に不備や無駄、必要のない案件は差し戻したり却下したりした。
国王が返ってくる一週間の間に、フランは政治においてもその非凡な才能を見せつけ、大臣や官僚達はその若い王女の才能を認めざるを得なかった。
ゴスロリ姫様が無双している内に、一週間が過ぎて遂に国王夫妻がヨハンセン艦隊に護衛されて、主星のパリスに帰還を果たす。
再開を果たした親子は、その夜久しぶりに夕食を共にして、楽しい家族の時を過ごした。
そして、翌日の昼下がりフランは、国王の執務室に呼び出され出向くと、国王は愛娘をソファーに座るように促し、自分は机を挟んだ対面のソファーに座り、用意させた紅茶を一口飲んで、乾いた喉を潤すと話を切り出す。
「フラン…。私は幼い頃からオマエを神童だと思って、その才能を高く評価してきた。三年前の財政改革案も急進的ではあるが流石だと思って従った…。そして、あの時オマエ自身も急進的すぎるからきっと反発する者達が現れ、下手すれば内乱が起きるかもしれないと言った。そして、今回オマエの予測通り反乱が起きてしまった…」
国王が少し言い難そうに愛娘に話をしている間、その娘は冷静な表情のまま父親を見ながら紅茶を一口ずつ飲んでいる。
国王はその全く動じない娘に対して話を続ける。
「今年の6月半ばになってオマエは超光速通信で、反乱が起こる情報を掴んだと報告してきて、もしもの時の為に自分に大元帥の杖を送ってくれと言ってきた。そして、その後の我々の見事な脱出計画と討伐計画……」
国王はそこまで言うと一度話を区切り、意を決すると今回の対話の本題を切り出す。
「フラン…、今回の反乱は実はオマエによって、全て仕組まれたものではないのか?」
国王は目の前で自分の話を、紅茶を飲みながら冷静な態度を一切崩さずに聞いていた娘の返事を待つ。
彼女は、ゆっくりと手に持っていた紅茶のカップを皿に戻すと、父親の質問に答え始める。
「父上…。確かに今回貴族達や官僚達によって、反乱が起きるように仕向けたのは私です。ですが、勘違しないでいただきたい。最後に反乱を起こすことを決断したのは、自分達の特権を取り戻すそうと考えた、欲に駆られた彼ら自身であるということを」
「そうかもしれないが……」
フランの返事を聞いた国王は、そう呟いたが納得はしていないという感じであった。
「いいですか父上? 今回の反乱の原因となった三年前の財政改革は、この国の未来の為にもやらねばならない事でした」
三年前の財政改革とは、フランが父親に進言した【領地返還令】と【公務員法改定】で、【領地返還令】は貴族達から一部の土地を除き国に返還させるもので、もちろん一部貴族からは反発がおきる。
【公務員法改定】は天下りの廃止と贈収賄罪などの不正に対する厳罰化、手厚い手当とボーナス削除、上の者達の退職金や年金、給与を大幅削減して、その分下の者に振り分けて上に薄く下に厚い給与体系にした。
その事で、上の官僚や上役からは非難が殺到したが、多くの一般公務員達の不満を抑えることができた。
貴族達から返還させた土地の税収と、公務員の手当や高官達に掛かっていた経費、その他無駄だと思われる経費を減らしたことによって、浮いた予算を経済対策や社会福祉、軍事費に当てることで弱った国力は少しずつではあるが、回復しつつあった。
もちろん、フラン達国王家族も経費削減を率先しておこない、王宮の人件費の削減、宴の無期限休止、衣食にかかる経費もできるだけ削減し、彼女自身も汚れの目立ちにくい黒色のゴスロリ服数着だけで過ごし、貴金属も一切身につけていない。
「この国の財政は既に逼迫していました。その原因は一部の特権階級の者達が、私服を肥やすため長年おこなってきた国家財政の壟断であります」
数百年掛けて作られたそのシステムを潰すのは難しく、反発者が出て国政が滞ることは目に見えており、下手すれば内乱が起こってしまう。
そのために、過去の王達も下手に改革に手を付けることができず、そのため国力は少しずつ衰退することになってしまった。
「そして、それが解っていながら改革しなかった過去の王達の怠慢です。故に無責任に先送りしてきた先祖のツケを、この国の未来の為に私達が犠牲を払ってでも、断固として改革をおこなったのです」
「大幅な財政改革をした理由は納得している。私が言いたいのは、あのような急進的な方法ではなく、理解を求めながらおこなえば反乱が起きなかったのではないか?」
フランの説明を聞いた国王は、そのように反論するがすぐさま冷静な娘に逆に反論されてしまう。
「それは、難しかったと思います。もし、理解するような者達であれば、今の財政状況を知った時点で、無駄をなくし少しは特権を手放したはずです。ですが、彼らが出してきた財政案は、【増税案】ばかりでした」
「確かにこれ以上の増税は国民が困る…」
国王が最終的にフランの財政改革案を受け入れたのもこれが理由であったが、反乱が起こった今となっては、税金をもう少しだけ上げるのも良かったのではないかと思っていた。
そうすれば、もう少し時間的余裕ができて、反乱した者達を説得できたのではないかと…
そうすれば、今回の反乱軍との戦いで犠牲者を出さずに済んだのではないかと…
国王がその様に為政者としては、優しすぎる、フラン曰く甘すぎる事を考えていると、その娘に驚きの話を聞かされる事になる。
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