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第三章 王宮編
近衛隊員の妄想
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「おい、アトゥイーは?」
近衛兵の訓練場には、兵士が集まっていた。
「もう時間だぜ。奴は退院したんだろ?ったく、初日から弛んでやがるな」
「まあまあ、慣れない持ち場で色々あるんじゃないのか?少しくらい大目に見てやれよ」
「持ち場?」
「グイド、知らないのか?あいつ今週から後宮付きになったんだぜ」
「後宮?アトゥイーが?」
グイドと呼ばれた兵士の他に、そのことを知らなかったらしい数人が振り返った。
「じゃ、まさかあいつ、宦官に……?」
「入院している間に手術を……?」
兵たちが声を潜めた時。
「なわけないだろうっ!」
大きな声を上げたのはエディだ。エディは17ポイントでの一件の後、スカイのいつもの気紛れで近衛兵に引き抜かれていた。
「いやいやエディ、後宮には宦官しか入れないしきたりなんだぜ」
エディがアトゥイーと仲のいいことを知っている兵士が、宥めるようにエディの肩にポンと手を置いて言った。その顔には同情とも共感とも取れる表情が浮かんでいる。
「アトゥイーも例外なわけ、ないじゃないか」
「まあまあ、ショックな気持ちもわかるがな」
「もうついてないと思うと、やりきれんよなぁ、親友としては」
「もしくはアトゥイーがそもそも女だったか、だがな」
誰かが言った言葉に、辺りには一瞬、沈黙が下りた。
「――いやいや、まさか!」
どっと笑いが起きる。
「あれが女だって?確かにナリは華奢だが、あの鬼の訓練についてこれる女兵士がいるか?」
「第一、色気の欠片もないじゃないか!」
「そんなことないっ!」
再び叫んだエディに、思わず皆が注目した。
「……あ、えっと……だから、その――」
はっと我に返ったエディが言い澱んだ時、兵の一人が声を上げた。
「アトゥイー!」
そこには、本人不在で盛り上がる兵士たちに声をかけるタイミングを逸していたアトゥイーが、半ば困ったような、半ば呆れたような顔で立ち尽くしていた。
「え……っと、アトゥイー、いつからそこに?」
「……割と最初から」
その日の訓練中、アトゥイーが終始不機嫌だったのは言うまでもない。
「ま……参り……まし……た……」
アトゥイーがキン、と剣を鞘に収めると、累々たる屍の山が築かれていた。後から来て事情を知らないスカイだけが、無邪気に感心している。
「さすがアトゥイー、君がいれば後宮の姫君たちも安全だね!聞けば女官たちにも大人気だって言うじゃないか」
アトゥイーは肩で息をしながら、地面に向かって独りごちた。
「まったく、どいつもこいつも……っ」
近衛兵の訓練場には、兵士が集まっていた。
「もう時間だぜ。奴は退院したんだろ?ったく、初日から弛んでやがるな」
「まあまあ、慣れない持ち場で色々あるんじゃないのか?少しくらい大目に見てやれよ」
「持ち場?」
「グイド、知らないのか?あいつ今週から後宮付きになったんだぜ」
「後宮?アトゥイーが?」
グイドと呼ばれた兵士の他に、そのことを知らなかったらしい数人が振り返った。
「じゃ、まさかあいつ、宦官に……?」
「入院している間に手術を……?」
兵たちが声を潜めた時。
「なわけないだろうっ!」
大きな声を上げたのはエディだ。エディは17ポイントでの一件の後、スカイのいつもの気紛れで近衛兵に引き抜かれていた。
「いやいやエディ、後宮には宦官しか入れないしきたりなんだぜ」
エディがアトゥイーと仲のいいことを知っている兵士が、宥めるようにエディの肩にポンと手を置いて言った。その顔には同情とも共感とも取れる表情が浮かんでいる。
「アトゥイーも例外なわけ、ないじゃないか」
「まあまあ、ショックな気持ちもわかるがな」
「もうついてないと思うと、やりきれんよなぁ、親友としては」
「もしくはアトゥイーがそもそも女だったか、だがな」
誰かが言った言葉に、辺りには一瞬、沈黙が下りた。
「――いやいや、まさか!」
どっと笑いが起きる。
「あれが女だって?確かにナリは華奢だが、あの鬼の訓練についてこれる女兵士がいるか?」
「第一、色気の欠片もないじゃないか!」
「そんなことないっ!」
再び叫んだエディに、思わず皆が注目した。
「……あ、えっと……だから、その――」
はっと我に返ったエディが言い澱んだ時、兵の一人が声を上げた。
「アトゥイー!」
そこには、本人不在で盛り上がる兵士たちに声をかけるタイミングを逸していたアトゥイーが、半ば困ったような、半ば呆れたような顔で立ち尽くしていた。
「え……っと、アトゥイー、いつからそこに?」
「……割と最初から」
その日の訓練中、アトゥイーが終始不機嫌だったのは言うまでもない。
「ま……参り……まし……た……」
アトゥイーがキン、と剣を鞘に収めると、累々たる屍の山が築かれていた。後から来て事情を知らないスカイだけが、無邪気に感心している。
「さすがアトゥイー、君がいれば後宮の姫君たちも安全だね!聞けば女官たちにも大人気だって言うじゃないか」
アトゥイーは肩で息をしながら、地面に向かって独りごちた。
「まったく、どいつもこいつも……っ」
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