楽園遊記

紅創花優雷

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後編

悟陸

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 目を開けると、飛び込んできた光で一瞬目が痛くなる。
『あ、悟陸! 起きたぁ!』
 あと、この寝起きの大声で耳も痛くなった。
「うるさい……おれ、寝起きなんだからさ」
 悟陸はそう言って寝返りを打つ。まだ若干眠いのだ。この眠気を晴らすには、寝るしかない。しかし、超越者はそれを邪魔する。
『流石に寝すぎさ。ほら、起きた起きた!』
「はいはい、あと五分。五分だけ……」
 そんな適当な返しをして、目を瞑った。
『それ絶対起きない奴じゃんっ!』
 ねぇねぇと揺するが、起きない。いや、起きようとしない。
『むー……三人子どもを育てた僕だぞ! こうなったらぁ』
 ふっふっふと笑って、超越者は布団をはぐ。そして思いっきり、その体をくすぐった。
「ひゃっ、あ、やめっ、起きる、起きるから!」
 悟陸の緑っぽい瞳が涙目になった所で、超越者は手を離す。
 くすぐられて意識がはっきりと目覚めたからだろうか、体が訴える空腹に気が付き、直ぐに超越者に催促をする。
「超越者、お腹空いた」
『はいはい、ご飯にしよっか。何が良い?』
「すぐ食べられる物」
 今は何がと言うより、何でもいいから美味しい物を食べたい。そう答えると、超越者は微笑み、悟陸の手を引く。
『分かったよ、適当に美味しいの作ってあげる。じゃ、行こうか』
 今度こそ。いや、そんなに意気込まない方が良いか。あまり下手に力を入れては逆効果だ。今は出来る事をしてやろう。のびのびと、元気に育ってくれればそれでいい。まぁ、今までその心意気で育てた結果が、あの三人なのだが。
 しかし、そこまで大失敗と言う程でもない。三人共元気に日々を過ごしている。今が幸せに生きているならそれでいいじゃないか。
 だが、下二人はともかく、今は一番上に問題がある。これはどうにかしてやらなければならないだろう。それもそうだが、今は目の前にいるこの子の事を考えるべきだ。
「この饅頭食べていい?」
『ん、あぁ、いいよー』
 さて、ご飯は何を作ってあげようか。この子は牛肉も豚肉も食べさせて大丈夫だから、楽なモノだ。

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