【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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65話 芸人騒ぎ①:2

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 オジイさんの運転で温泉につれて来てもらった。
 財布とスマホは持たされた。
 財布の中身は現金5万。

 絶妙に悪さが出来なさそうだが、観光する分には問題は無い。

「オジイさんどうします?」
「私はここ(駐車場)におりますので」
「長湯するのでどこかに行っても」
「ぼっちゃんから逃げ出すことだけは見張って欲しいと頼まれておりますので」
「……水鬼さんにワガママ言われて大変ですね」
「本当の意味で一生に一度のお願いですし、むしろお願いが今まで何も無かったのがとても心配でしたので」
「とりあえず温泉に入ってきますね」

 温泉施設に入場する。
 ロケをしている芸能人と遭遇した。
 テレビで見かけたことがある、最近テレビに出始めた人だ。
 特に貸し切っている様子はない。
 ぶらり旅とかそういう類なのだろう。

「いやー!!いいですねえお土産屋の雰囲気!!まさしく温泉って感じでぇ!!まさにまさに温泉!!」

 叫び芸とかなのかもだが兎にも角にもうるせぇ。
 まさに温泉って土産屋でいうことある?
 せめて入ってから言ってほしい。

「OKでーす」
「ありがとうございましたーッ!!!!!!」
「次、駅ですね、移動しましょうか」
「いやいや温泉入るって」
「温泉の中は許可取れて無いので映せないですよ」
「今から許可取れよ!!」
「無理ですって」
「そこなんとかするのがマネージャーだろ!?」

 この映像SNSに垂れ流してぇ。
 炎上必須じゃん、炎上して名前売るつもりなのか?
 品物を運ぶ店員に声をかける。

「すいません」
「はい、なんでしょうか?」

 すると大声でかけよってきたお笑い芸人【ノマキ】。

「今ロケ中なんやから口ださんといてもらえます!?」
「……はい?」
「見りゃ分かるやろ!!」
「終わっているのは見れば分かりますが」
「ロケ中や!!」
「……何か関係ありますか?」

 俺が話しかけた彼女は商品の補充中だった。
 テレビカメラが向いてもいない、映ってしまいますとかならまだ分からなくもないが口を出した覚えなどない。

「人のロケ邪魔して!!」
「……警察、は面倒だな」
「はぁ?」

 何とか出来そうな知り合いのお笑い芸人、アンチに電話したら速攻で出てくれた。

『電話て、どないしたねん!?』
「急に悪い。お前、ノマキって芸人の先輩だよな?」
『ノマキ……あぁアイツな、僕らのほうが遥かに先輩やで』
「今俺の目の前でロケの邪魔だのなんだの言いがかりつけられて困ってる、助けてくれ」
『はぁ!?ちょい待て確認するわ!!』

 マネージャーが電話に出て、状況を説明している。
 向こうが悪いだの子供みたいなワガママを言う芸人ノマキ。
 俺が漫画の主人公ならコイツこのあと殺されるところだがそんなことはない。偶然の殺人事件に居合わせてたまるか。

「あの、お客様?何か質問があったのでは?」
「そうだ俺タオルとか持たずに来てしまって」
「有料レンタルのアメニティをご利用されますか?」
「お願いします」

 タオルをレンタルして風呂にゆっくり3時間も入っていた。
 何て穏やかな時間なのだろう。嫌な奴に会ったがその程度。

「ふぃー……ん?」

 何やら外が騒がしいなと思って出ていったら警察。
 どうやらさっきの芸人が通報されたらしい。
 温泉の中を撮影できないなんてありえないと店員を怒鳴り散らかしている。警察の前でやってる時点でヤベェ奴。


「あ、あいつロケの邪魔してきたんすよ!!」
「いつ頃?」
「撮影が終わったあたりで移動しようとしている時にスタッフに話しかけたんですよ!!たかがタオルをレンタルしたいとかで!!」
「え?は?」

 警察と目が合った、で、げぇって顔された。俺について何か知っていそうな雰囲気。

「俺、もう帰っていいですか?」
「……どうぞ!」

 よっしゃ面倒事減ったみたいな嬉しそうなお巡りさん。
 俺はスタッフに質問。

「すみません、このタオル返却ってどちらに?」
「私が戻しておきます、お騒がせして大変申し訳ございませんでした」
「いえいえ!!スタッフさんは何も悪くないじゃないですか」
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