【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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18話 芸能人アンチポンチ

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 俺は芸能人のアンチポンチ、その【アンチ】のほう。

「悪いな、僕のせいで巻き込んでしもて」

 確かに腕に大怪我したが芸能人が世界的に有名な社長さんから招待状を貰い、しかも内容は大好きな人が死にたがっているかもしれないから手をかしてくれ。前金までもらったらこんなの断るほうがおかしいやろ?人助けついでにデカいコネが作れるねんな。

「きにせんでええと言いたいところやけど犯人は?」
「今から一緒にDVDを流す」
「隠しカメラでもあったん!?」
「最初にゆーておくけどドッキリやないで」

 再生されたのはシングさんの探偵劇、生で見て来たのにまるでドラマのように感じる。

「そりゃそーやろ、ドッキリで人死にはNGやし」
「僕フォロワーズの一人やねん」
「たしかウィザードの社長が好きなファンクラブやんな?」
「……あの殺人鬼のファンクラブなんか入りとうなかった」
「社長さんは犯人とちゃうやろ?」
「確かに今回はちがうやろな、でも僕がフォロワーズになった時にお前も知った顔の人殺しを見させられたねん」

 人殺しを見させられた。
 僕も知った顔。
 誰かが、殺されている。

「だ、誰を殺したの見た……いうねん?」
「社長さんが殺した相手の名前は小槌舌雀(こづちしたすずめ)や」

 相方のポンチには妹がいた。
 本当に愛していて、彼女の病気を治す為に相方は無理に仕事をしていた。
 ポンチが笑わなくなってから妹さんの笑顔が消えた。
 なんとかしてやりたくて、俺はあいつと妹の前で笑いをとろうとして盛大にしっぱいした。病室でふざけるなとキレるポンチと俺は大喧嘩して。

 その様子が面白かった妹さんは一度だけ笑ってくれた。
 だから俺たちの名前はアンチポンチ。
 たった一人の女の子に笑ってもらうために結成したお笑い芸人。

 妹さんの手術には莫大な治療費がかかるが治せると聞いた時心の底から嬉しかった。


「だからお前のアンチやねん!!」
「「ありがとうございました!!」」

 僕らは必死に笑われることで金を稼いだ。
 生活の中でポンチの兄が会いに来た。
 幼い頃に離れ離れになってしまったのだが俺たちが出演している番組を見て連絡をとってきたのだ。
 ポンチの兄は母親からおどろくほどの遺産を受け継いでいた。
 そのすべてでも足りないが、問題なかった。

「それでも2千万も足りない」
「なら僕らが出せるで!!」
「相方さんは……」
「今まで誰の為にがんばったと思っとんねん!!!」

 兄に預けるのは心配だって人は言うだろう。
 彼は本当に払うつもりだったのだ。
 誤算だったのは彼の嫁が手術費用をすべて持って逃げたこと。
 ポンチの兄は責任を感じて首を吊ってしまった。

 この金を持って逃げた女こそ小槌舌雀である。

 妹さんも死んでいるし、最悪な女。

「俺は魔法使いオウルと契約した。妹を生かしてほしいと」
「急に魔法とか出してきおってからに、ネタやな?だからお前のアンチやねんでしめる―――」
「オウルの出した条件の一つ目は僕がフォロワーズになること。二つ目は妹が記憶を消され名前も顔も変えられた状態になること。三つ目に兄を名乗るのを禁止されたねん。」

 魔法なんてありえへんと思っとった。
 ポンチの妹、愛眼(まなめ)ちゃんが生きとるなら信じてええ。
 よーやっと秘密を言ってくれたな。

「だからお前のアンチやねん、さっさと言わんかい」
「僕はあの子の記憶を奪ってしもた」
「元気で楽しく暮らしてそうなんか?」
「フォロワーズとしてオウルが人を殺す手伝いを楽しそうにしていたねん」
「僕もその罪、一緒に背負ったるわ」

 
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