【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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25話 お笑いフェスティバルのアンチポンチ:2

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『NEXT! アンチポンチ!』

 司会の声が聞こえ、会場には歓喜の声。

「アンチです」
「ポンチです」
「二人合わせてアンチポンチです、ってお前も言わんかい!!」
「最近な、とんでもないことしてもーてん」
「二人合わせてって言えへんぐらいのことなん?」
「お前に黙って一人ですごい高級な飯屋に連れてってもらったねん」
「二人合わせてないな!?」
「あん時はお前、手を怪我して入院しとったし?」
「僕入院しとったのにええ飯食いに行ったん!?」

 爆笑する会場、憧礼神具さえも噴きだした。

「でな?とんでもないことって相方が入院してる中で高級な飯食いに行ったこととちゃうねん」
「わりととんでもないけどな?」
「えらーい企業の社長さんがどーしても僕に寿司を奢りたいゆーねん」
「何でや?」
「この前、僕ら館一個ぐらいしかない無人島行ったやろ?」

 五角島は、人が暮らしていたから有人島だった。
 だが無人島と言ったほうがイメージは沸く。
 それに今は誰も暮らしていないから嘘ではない。

「僕そこで入院するような大怪我したし当然、覚えとるよ」
「そこで殺人事件が起きたやんか?」
「その話してええんか!?」
「ほんで犯人は自殺してもーたけど、問題はそこやないねん」
「大問題が起きてるで?」

 笑っちゃいけないところほど、笑ってしまうものだ。
 事実、それなりに笑っている観客がいる。
 引いている客もいる。
 そもそもアンチポンチってポンチが黒いほどの、おおやらかしするのをアンチがツッコミ入れるスタイルだからなぁ。

「あの島へ来るように言った社長さんが巻き込んだからお寿司でも食べさせるって言うんや」
「確かにそれは断れへんな」
「寿司屋に入って社長さん何てゆーたと思う?」
「財布でも忘れた言い出したんやない?」
「『土産にするので卵巻き100巻ください』ゆーたで」
「……社長さん卵好きなん?」
「いや魚が嫌いらしい」
「何しに寿司屋来たん!?」

 爆笑する観客。憧礼神具も噴き出していた。
 少し前にオウルが突然、檻に現れたと思ったら寿司抱えていて、フォロワーズは皆困惑していた。

 たまご巻きは布里人が食べていた。
 猫の姿で食べようとしていて憧礼神具は慌てて止めた。
 ちゃんとした寿司屋の卵はワサビ入りなのだ。

「で、最初にやっちまったゆーたやろ?」
「ズボンのチャックが全開だったとか?」
「今のお前のチャックじゃあるまいし」
「……ステージ上がる前に言えやボケ!!」

 チャックをしめるアンチ、俺は知っている。
 皆が仕込みだと思っているこれ。
 実際はアンチの天然なのだ。

 せっかく頭はいいのに残念なイケメン感。

「そんで話の続きやねんけど、もっとやらかしたねん」
「何やらかしたん?」
「好きなもん食べなさいって言われてな?」
「寿司屋にないもんでも頼んでもーたんか?」
「いやマグロ頼んだねん」
「あー最初に頼んじゃいけないって聞いたことあるなぁ、え、マグロ頼むんそんなアカンの?」
「いやマグロは注文したねん、高級な味に慣れな過ぎて社長さんの膝にゲロ吐いてもーたねん」
「やっちまったなぁ!?」
「怒った社長さんが俺の頭を掴んで壁にたたきつけて、今その寿司屋に人型の穴が空いてるねん」
「二度とその寿司屋行けへんなぁ……穴?」
「でも社長さんに相方も連れてこいって言われたねん」
「何て返したん?」
「もっかいゲロ吐いた」
「だからお前のアンチやねん!!!!!!!!!!!」





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