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カモック・ヒトリー編

94話 カモック・ヒトリー『COMMONEP』体育祭D

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「……」

パレットは部屋のベッドに寝かされていた
起きていても寝てるフリをして貰おう
机の上に小さな袋があり手に取る

「渡したものってコレですか?」
「……呪物には、うっ」
「どうされましたかね」
「何も入っていない」

知っていた

「もしかしてパレット様は裏切られたと思って具合を悪くされたのでは……?」
「中を確認したと?」
「フタギロの習慣で大切な物ほど中を確認するのが礼儀となっているんです」

頭を抱えるカモック
中身を確認するのは国によっては失礼な場合もあるのだが
フタギロの文化だと言ってしまえば納得もする

「……俺はどうすべきか」
「素直に言えば許して貰えますよ、きっと」
「勝手に部屋へ入ってしまったし髪袋だって黙って開けたのにか?」
「メモ用紙でもあれば書いて体育祭に行くんですけどね」
「何をだ?」
「『ゴメンね中身入って無かったから入れといたカモックより』」

最早カモックとは思えない手紙である
我ならコレは無いと思った

「それを書けばいいのか?」
「今から入れてしまえば誠意も伝わりますよきっと」
「分かった」
「魔力を込めれば消えないのなら私がぐっと込めますから!!」
「……必要ない」


彼は小さな紙を取り出すと『すまない中身を入れ忘れていた』とだけ書いて魔力を込めた
光る紙はとても美しく明らかにカモックの解像度が違いスチル確定だった
これが本来のルートだと確信できる代物である

ユメカの心の中はガッツポーズだった

「よっ(しゃあ」

全て声に出しそうだったが一文字で済んだ

「え?」
「自分は妖精さんだと仰ってましたよね!?」
「あぁ……一応」
「もしかしてカモック様も妖精さんが見えるのですか!?」
「それ、は」
「見えないのですか?」
「一応少しだけなら気配が分からなくはない」
「妖精さーん」

【フェアリータッチ】

乙女ゲームでよくあるハートマークなどを触って恋愛ゲージを貯めるミニゲーム
パレットにしかやった事が無いので不安だったが出てきて頭やら肩やらを指さした


「なんだ!?急に気配が!?」
「ここがいいのですよねー!?」

肩を揉むとビクビク震えた

「こ、れはぁっ!?」
「妖精さんがこうしろって言ったので!!」
「止め……ッ……くすぐった……い!!」

愛レベルが上がった演出

「元気でましたか?」
「はーはー……騒がしくしているとパレットが起きる」
「確かに言えてます」
「そろそろ行こう」
「ですね!!」

パレットはとっくに起きていたし部屋でイチャつかれたのを聞いていた。

「……私の部屋で何してるんだ(小声」


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