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35話 再会と再会
しおりを挟む進勇気が宇宙船のホテルみたいな場所に監禁され4か月。
「んー流石に退屈だな部屋」
「え」
「……ボヤいてるだけだ、安心しな」
食事はくれるし人質も生きてるまま。
でも部屋の一室に閉じ込められるとストレスは溜まる。
たまには出かけたくもある。
「……プールならいいよ」
「マジ!?」
「うん、カナちゃんには幸せになってほしいんだ」
俺のことクロノまでカナちゃんって呼び出した。
まぁ呼び名ぐらいどうでもいいっちゃいい。
どうにも俺は元からカナちゃんと呼ばれていたようだ。
人質(?)も俺のことカナちゃんって呼ぶし。
こうしてタコ足に縛られつつ移動。
本当に屋内プールにつれてきてもらった。
脱ごうとしたらとめられた。
「ほら水着あるから!!」
「これだけのこと(誘拐監禁)しておいて裸は見ない配慮がすごい」
可愛い女子用の水着に着替えた。
部屋にこもりきりだったので軽く準備運動してゆっくりと入る。
このプール深い、水深が4メートルぐらいないか?
「……浮き輪ある?」
「え?ヒコ、浮き輪って何?」
「☆地球人は水中で息ができないから浮くための道具だな☆」
「なら作るか」
作るんだ、いや俺の世界にも3Dプリンターとかあった。
浮き輪なら楽に作れそうだよね。
そして渡されたのが酸素ボンベ。
「いやまぁ分かるけども」
「浮き輪だと溺れるかもしれないじゃん?」
「いや、いいわ――もらう」
酸素ボンベつけてプールに潜った。
重みとか不安だったけど、水中ではあまり感じない。
そしてしばらく泳いでいたらクラゲがいた。
顔と熊のような耳を持った愛嬌のあるナニか。
「カナ殿、久しぶりでござるよ」
俺は慌てて地上に出てきてクロノのタコ足を握りしめた。
もし何かあれば掴めとというSOS時のとりきめ。
プールからタコ足で引き揚げられた。
「……どうしたの?」
「クラゲぇ!!いるならいるって言っておけよクラゲぇ!!」
「くらげ?」
「ほんと驚いたっていうかサムライ語?なにあの喋るクラゲ」
「☆クラスメイトだな☆」
プールから上がってきたクラスメイトのクラゲ(?)。
さっきより大きい、水を吸って膨らんだらしい。
動きづらそう。
「水は苦手でござるぅ……」
「どうして君、ここに」
「クロノ殿こそどこに行ってたでござるか、というかここは何処でござるか?」
「君も分かってないのにきただけってことか」
「学校の【プリント】をカナ殿の家におしこもうとしたらここにいたでござる」
「テンシの野郎……」
「え?」
ミコ・テンシさんのこと?
「☆多分家になにかした瞬間にこの船にテレポーテーションするな☆」
「人間のバチスケやギョロメ星人なソウジならともかく、こいつ――か」
「動けないでござるよー!!助けてほしいでござるよ!!」
水吸い過ぎて大きくなりすぎて頭が天井につっかかってる。
可愛そうだけど、涙目の見た目がちょっと可愛い。
どうするんだクロノと横目でみる。
監禁うんぬんいぜんに彼、このままじゃ――
「このままでいいか?」
「なんででござるか!?助けて……ママぁ!!」
「え?」
「ママァママっ!!」
巨大なクラゲがママママと泣いてる、なんだろう、状況わかんないけど――
「泣かせたら駄目だろ」
「ああそうだお前もまだ500歳未満だった……ご、ごめん」
「えーん!!えーん!!」
「☆落ち着け、今助けてやるから、な?☆」
「頭いたいぃッ!!」
「カナちゃ……勇気さんは廊下に出てて」
「え、いいのか?」
「この部屋にいたら溺死する、急いで」
プールの部屋から出る、宇宙が見える廊下。
こんな自由にさせていいのかよ今まで閉じ込めていたのに。
いや、でもなんていうかクロノの奴もヒコの奴も邪悪さは感じないんだよな。
「こんにちは」
その声は【外】からだった。
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