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5話 ドドロの姫

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「ちょっと、これはどういうことよ!?」

 私はドドロの姫であるルリーナ・ドドロ。
 軍事惑星の国王との婚約でついに世界を手中に納められるところだった。
 なのに、ドドロに帰ってきたら兵士たちに光線銃を向けられたのだ。

『裏切者め!!』
『何てことを!!』
『撃ち殺せ!!』

「たかが兵士の分際で――」

 病気がちでパーティーには参加しなかった国王、父上が出てきた。
 これで無礼な者たちが静まると思った。
 頬を打たれた、ビンタ、一度もそんなことされたことはない。

「今まで積み上げたものすべて水の泡だ!! 何てことをしてくれたのだ!!」
「何てことって、あの軍事惑星ジョーラシアの王と婚約しただけですわよ!?」
「それはどうでも良い、お前がポセイロンに喧嘩を売るとは――!!」

 何を言ってますの? あんな三百年も戦争すらしていない弱小惑星。
 ちょっとひねってやればいいだけですのに。
 戦争に勝ち過ぎて相手もろくに見れてないのかしら。

「あんなところ何故気にしてますの?」
「この宇宙で最強の惑星ポセイロンを気にしない王などいてたまるか!!」
「……最強?」
「俺はパーティーに行くまでに必ず見ろと手引きを見せたハズだ!!」
「あのつまらない映像でしたらもう捨てていますわよ!!」
「ッこのバカ娘をひっ捕らえろ!!」

 急に兵士たちが襲ってきて天空の牢に、たかが映像を捨てただけで。
 見える景色は宇宙船の大群、Pのマークはうちの軍ではない。
 あんな宇宙船は見たことがない。


『惑星ポセイロンより告ぐ、投降せよ!!!』

 すぐに撃ち落とせばいいじゃないあんなの。
 ここまで潜り込ませるなんて協定している惑星はなにをしているのかしら。
 ……おかしい、協定している惑星からの援護が何も無い。

 腕につけてる通信機で協定している惑星を確認した。

 するとジョーラシアに味方しているのはドドロだけ。
 全宇宙ニュースが緊急で放送を開始した。
 緊急で強制的に映像が映し出される。

『三百年間の静寂を保っていたポセイロンがついに動き出した模様です……ジョーラシア、またはドドロ近辺の惑星にいる方々は最後の反撃に巻き込まれないように避難して下さい』

 最後の反撃、何を言っているのか理解できない、あんな惑星とっとと支配すればいいのに。

『いやーまさか、またポセイロンが戦争をするとは――』
『支配した惑星が多くなりすぎて戦争をやめたという噂でしたが』
『それは本当ですよ、強すぎて支配されたがる惑星があとをたたず――』
『なんでもジョーラシアのほうから喧嘩をふっかけたそうですね』
『そんなアホがこの宇宙にいるんですか!?』
『正直な話、耳を疑いますよね……』


「え……?」

 ポセイロンが、最強国家――そんな、これから支配者になれると思ったのに。
 ……あんな男とくっついたせいよ!! ジョーラシアに行って保護してもらいましょう。
 可愛そうな私をジョーラシアの兵士たちが迎えいれてくれるわよ。

 檻から逃げ出して逃げる民間宇宙船を脅して乗っ取りジョーラシアへ。

「さぁ、ドドロの姫であるワタクシを――」

 ジョーラシアの砲撃が1台の民間船を撃ち落とした。
 ドドロの姫が乗っているという通信は聞こえていた。
 聞こえていたからこそ撃ち落としたのだ。

「貴様さえいなければ――!!」


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