異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価

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19話 他の異世界転生者

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朝起きたら目の前に女性がいた。それだけ聞くとやっちまった系を想像する。

「目が覚めたかしら」
「どちら様でしょうか」
「アタシはティラノ」
「サウルス」

怒ったのかデコピンされた。
威力がとても強い気がする痛さ。
首からグキッと音が鳴ったのが聞こえた。

「アンタ名前は?」
「俺はカドマツです」
「ふーん、スキルは?」

服が裸になるのとかき氷とIHの熱が分かるのと。
正直に列挙していくが、ティラノはずっと怒っているような表情で変わらない。
嘘をついてからかっているわけではないと証明する為にやってみせた。

「【スキル:かき氷】」
「ちょっと服が濡れたじゃないの!」
「すみません」

やけに怒りっぽい女性が唐突に部屋に現れた現状にそろそろ頭が追いついてきた。
ドアを開けて入って来たレイニーが驚いて彼女につめよるが知り合いらしく何やら揉めている。
人の部屋に勝手に入るなというレイニーの言葉はごもっともではある。
おまえはいつも勝手に入ってくるけどな。

「アタシ忙しいから本題に行くわ、今年シャックが離脱するの」
「シャックさんが!?」
「穴埋めができそうな転生者かと思ったら、何このザコ」

すごい。初めて面と向かってザコって呼ばれた。
しかし超美人な大人の女性に言われると何だか喜びすら感じる。
そして俺は初めてこの世界で同意見の人が現れてほっとした。

「強いお人ですよ」
「アンタ、コイツのスキルの中身ちゃんと聞いたワケ?」
「もちろん」
「ともかく、アタシの部隊にコイツはお荷物!」
「俺も思うけどその前にいいですか?」
「何よ?」
「ティラノさんはどのようなスキルを使いますか!?」

 まともな異世界転生のスキルは憧れだ。
これだけ俺をこき下ろしておいて実は使えない地味なスキル、みたいなパターンだろうか。
炎のスキルを極めているような強キャラで、超えるべき目標ポジションもありうる。

「【テレポーター】で分かるかしら?」

ゲームなどでは瞬間移動を意味する言葉。
名称ははテレポート、テレポーテーションなどゲームによりけり。
でも〈どんな距離でも一瞬で移動できる〉ことには変わりがない。

「すごく便利で使いやすそう」
「アンタ、この世界で生活してしばらく経つのにスキルのスの字も分かってないのね」

棘のある言い方だが、彼女からすれば俺は転生してきたばかりのド素人。スキルの扱いだって半人前だ。
それはつまり学ぶチャンスがあるということ。
早めに聞けばこの先で絶対に役に立つ。

「俺に分かっていないことを教えてくれませんか?」
「便利、までは分かるわ。でも、この【テレポーター】のせいで過去に何人も死んでいるの」

死んだ。そう聞けばさすがの俺も失言に気付く。
彼女の話を聞いてすぐ納得したのだが壁や土の中に埋まれば即死してしまうらしい。
そのくせ上手く扱えないうちは30メートルも座標がずれ即死はなくとも落下死の事故も数名。

「なんで皆さん危険なのにテレポートするのでしょうか?」
「道路で車に轢かれそうになっている子供がいたから咄嗟に飛び込んじゃうようなものよ」
「俺の死亡原因なんで分かる気はします」

武勇伝自慢くさくなってしまったが別に含むところはない。
怒られるかなと思っていたのだが、レイニーのほうが様子をおかしくしている。
煙が立ち込めて目がぐるぐるして……まるで漫画のよう。

「……その話が嘘じゃないなら、アンタが〈待っていた人〉ってことなのね」
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