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98話 会議 前編
しおりを挟む「……なるほど」
日が沈んで城に帰ったレイニーに事情を説明した。
手紙を開封してもらったが俺には内容はまっしろに見える。
文字など書かれていないようだが、本当に真っ白なわけないよな。
「これって俺のスキルブックみたいに他人には読めない文字?」
「はい、どうやら彼は未来で消えた私を探しているようです」
「未来の世界でレイニーは失踪中なのか」
「この手紙の送り主ではない者は誰も探していないようですけどね」
何で? 死んでるってこと? ほぼ不死に近いレイニーが死ぬの?
弱点の光を浴びせられたって可能性はある。
「どんな最悪な状態っぽい?」
「……食事にしましょう」
結局レイニーは詳しい内容を教えてくれなかった。
でもパニック状態にはなっている様子でもない。
晩御飯もきちんと食べて会話もできた。
「―――――ティラノは何時も世話を焼いてくれました」
「確かに本人がレイニーの世話してたこと教えてくれたな」
「私にコアがなくて〈影〉であることには最初から気付いていたそうです」
「ふーん」
「……あなたがどう思ったとしても私はレイニーですと言ったらビンタ喰らいました」
「え」
「「アタシがあんたをレイニーじゃない誰かとして扱ったこと一度でもある!?」と」
「そっか」
「ウルフさん」
「ここで俺? なんだよ」
「寒いので湯たんぽになってください」
「いいけど、何か、その、死なないよな?」
やはりウルフも感じているのか。
レイニーが探されていないのは死んでいる可能性がある、ということ。
消滅と呼ぶのかもしれない。
「……ご馳走様でした」
「ウルフ、あと頼む」
「それは構わんがカドマツは?」
「俺は色々と調べる」
レイニーは最悪な気分の時は、必ず顔に出る。
全人類がヤバいなんて状態ならああいう穏やかな感じはしない。
なら俺がするべきは国のことかな。
「おやすみ」
翌朝にれいにーの部屋を訪ねた。知らん人が見たら事案、ウルフの腕をガッチリホールドして爆睡するレイニー。
「大丈夫か?」
「……ああうん」
そのまま普通に起き上がってウルフの腕に装着されたままのレイニー。
まだ寝ている。この状況でまだ、である。
夏祭りやプールで見る腕につけるこういう人形が昔あったなーなんて思いつつ。
「今日は朝から会議だけど参加できそう?」
「ハクアがサンタを連れ去ったことについてか、サカネ怒ってるよな?」
「サカネさんに土下座したら土下座している暇あったら対策せんかボケって言われた」
新しく作ったサーカステント型の会議室に異世界転生者を招き入れた。
ここに今はレイニーが入れないので注意しなければ。
次々に入ってくる異世界転生者たちは口々に―――
「眩しい!!」
「なにこれ目くらまし!?」
「うわ!?」
でも、慣れてしまえば床が光っているだけだと皆が気付く。
ハクアの分身、レイニーもだが強烈な光に弱い弱点をしっかりと共有する。
「あいつをぶっとばすためなのねぇ、これぐらい協力するっつーの」
「お久しぶりですね、キャットさん」
「えーと……俺です、バルーン、ジーンズではお世話になりました」
以前ジーンズで魔物討伐部隊に参加していた二人。
二人とも異世界転生者だと思っていたのだがキャットのみが異世界転生者。
バルーンの曽お爺さんがなんとハクアに殺害されているらしい。
「父の話では魔王討伐作戦中に優しかった祖父をハクアに殺されたそうです」
「かたき討ち?」
「いえ―――数百年前に起きた事件でどれほど恐ろしい奴かよく知ってます」
「え」
詳しい話はシャックがしてくれた。
ハクアは魔王討伐の為に力を貸してくれた普通の人を唐突に十数名虐殺。
荷物を運んでくれたもの、道案内、魔王の出現地点から家が近かっただけの人。
「嫌い度合いはハクア>>魔王>>ピーマン>好き勝手やってる国のえらいやつ>魔王討伐作戦に参加しない強者>ゴキ」
バルーンさんピーマンの嫌いランク高いな。
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