異世界転生した女勇者と山を登る話

宝者来価

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4話 夜を明かして

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腕時計は持っていないがテントの中はもう真っ暗に等しい。
そのため懐中電灯をつけたのだが


「そいつ『デンチ』ってのがいるんだろ?」
「たしかに電池が二つ必要です」
「なら節約した方がいいかもしれねぇ」
「寝袋だけ取り出します」

あまりに暗かったこともあり二人で早めに布団を被って休むことになった。
とはいえ世界はまだ気になる事だらけである
真っ暗闇だが眠くもなく質問していくことに

「今まで水は持って移動しなかったんですか?」
「この世界で手に入れた『カン』ってのに入れて持ち運んだ」
「カン……缶?ジュースか何かが入ってました?」
「珈琲が入っていたが俺は苦すぎて飲めなくてな」
「シゲトは好きでしたね」
「奴はよろこんで飲んだが俺は微妙で空になった器で水をくんでいた」



――――――――――――――

それは高校2年生になったばかりの春だった


「もう自由なんだから部活とか楽しんだらいいじゃん!」
「でも文化部だって途中からなの気まずいし」
「何か好きな事とか無い?」
「漫画とか」
「漫画研究部でいいじゃん!」
「んーでもやっぱり途中で入るのはちょっと」
「今一番面白い漫画って何かな」
「部活でキャンプする奴」
「それでいいじゃん!!」

クラスメイトが沢山賛同してくれて
部員が集まり部活として活動を許された
皆の優しさが本当にありがたかった


だって僕は今まで出来なかったから

―――――――――――――――――――――



朝になってとんでもない事に気が付いた
記憶がずいぶんとうろ覚えなのだ
保育園や小学生など何年も前ではまだ友達と遊んだこととか曖昧でも納得する
でも高校になってからの記憶すらやけに抜け落ちている

異世界転生をした時に曖昧になった?

「やっぱり朝の方が寒さがきついなこりゃ」
「スープがあるので作りましょうか」

コンロに火を付けてかなり小型の鍋(クッカーという主にはキャンプに使う携帯調理器具)で昨日の川でくんできた水を温めて市販の粉スープを入れた。

「火が使えるなんて魔法みたいだな本当」
「呪文で火が出る方が僕から言わせれば不思議ですけど」
「そうか?」

コップもあるので二人分にして飲み暖を取るが
起きても変わらない現実と妙に抜け落ちた記憶
それは怖い事ではあるが人は気温で思考が止まるらしい

色んな過去の事とか世界の事より『寒い』で全て上塗りされた

「ヒロさんは寒さ大丈夫ですか?」
「昨日よりは温かいからな」
「テントとか」
「無くて地面に寝てた、葉っぱで隠してさ」
「あー……」

確かに彼女の服は随分と汚れていた気がする
3週間もろくに着替えも無い生活を女子高生(?)が強いられるのは酷だと自分でも分かる
でも妙な事に臭いがやけにしない、くんくんとテント内を嗅いでも

「へんな香りでもするのか?」
「あっいやちがくて!!」
「これが夏なら汗とかで臭いすごかったろーな」
「確かにそれだけは良かったかも」
「『がす』の火ってどれくらいもつか分かるか?」
「テントから一度も出ない想定で他のテントに行けないなら長くて6時間ぐらいですね」

根拠のない予測などではなく6本ガスボンベがあり
『一本につき強火で1時間程度の使用が可能です』
説明書があるので基本的には信じて良いだろう

「ちかくにあった他のはお前の?」
「仲間が使っていたのですが全員荷物をおいて行方不明です」
「旅をしていた仲間?」
「ここは近所―――だった場所なので旅とは言いづらいですけど」
「ならいなくなって心配だよな」
「それが、思い出せなくて」
「え?」
「傍にあった5つのテント全て持ち主の事を覚えて無くて」

思ったより恐ろしい状況だとだんだん自覚してきた
しかし調べるにしろ寒いし何より外にはタンガンウルフ群れがいるかもしれない
朝になり思い出したのであれば時間経過で何かありそうであはる

「覚えている事は?」
「同じ学校に通っていた人たちですね」
「この世界にもあるんだな」
「想像しているもので合ってると思いますが男女いますよ」

モンスタークエスト5にはお嬢様がかよう学園がある

「ふーん、クラスメイトか」
「多分ちがうクラスだった子もいますが仲は良かったのではないかと」

嫌な記憶が無いしイジメなどをうけていたなら
最初に自分がイジメだと思われるドッキリと皆に言った意味が分からない
考えている最中に腹の虫がぎゅうううと鳴る

「パン焼いてたべねぇか?」
「温まりたいですし少し焼きましょうか」

コンロをつけて火で本当に温かくなる
二人でパンを食べ他の事を聞こうとした矢先に下半身に違和感
女性と二人きりで―――とか一切かんけいが無いソレ


「トイレに行きたいんですが」
「テントの中で適当にすませてもいいぞ?」
「よくないよ!?」
「なら奴らも朝は動きが少し鈍い……分かった」
「それと他のテントも調べたい」
「安全そうならな、俺も便所には行きたいし」

急いで外に出て葉っぱが多くて目立たない場所へ『全部』をすぐに済ませて
近くのテントを片っ端から覗けば持ち主の物らしきものが全部あるように思え
一応何かあるかもと非常事態につきちょっと『お借り』させてもらった

お互いにテントへ戻ってきてまずは無事を確認しあった。

「……まだ生きてるな」
「うん、それで少し借りて来た」
「随分と大きなカバンだな」
「キャンプに来てたから色々とあるかも」

スマホが入っていたので電源を入れたが圏外
幸いにもパスコードがかかってない防犯セキュリティガバガバの代物
アプリを確認してみれば男で『明日のキャンプだけど熱で行けない』という一斉送信されたメッセージを受け取った事が確認できた。


「何か温かそうなものが有るといいな」
「あっ」

着替えや上着が入っている
少し抵抗があっても寒さ>>>抵抗ですべて打ち消した
パンツなどは本当にいざとなったら使うかもしれない


「おーパンツあんじゃん!!」
「着替えるなら向こう向いてますからね」
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