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食べることは生きること

第一話

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大瀬おおせ、ここ間違ってるよ?2年目なんだからもうちょっとしっかりしないとね!」

「はは…すみましぇん…気をつけます…」

「愛想笑い禁止って前に言ったよね?もっと周りともちゃんとやってかないとね!」

クスクス、と笑い声が聞こえる。

恥ずかしいなぁ。

2年目だからしっかりしないと。

後輩たちにも顔向けできない。

江珠えみさんに話しかけてみたいけど近寄りがたいよね。なんか顔色悪いし。」

「わかる~!てかちょっと丸くなってきてるよね、色々と」

そうだよね~。私もこんな奴いたら近寄りがたい。

いじめられてないだけ全然マシ。

ありがとう。ハブってくれるだけで許してくれて。いじめられてないだけありがたいよ。

「江珠、あんた彼氏は?まぁた太ったんじゃないの?」

お母さん、直球すぎ~!今は仕事が恋人だからいいの!お母さんは自分のこととか町内会のこととか心配して!






うるせぇぇぇぇ!!!!!

私は今日も食べる。今日は焼肉と白米。
野菜は無い。

明日の上司のパワハラに勝つために。

ぼっちの寂しさに勝つために。

戯言に耐えるために。

生きるために。

友達ができたら使おうと思っている家族用のでっかいホットプレートにカルビやハラミ、サーロインなんかも奮発してしまった。

いいんだ。食べてる間は忘れられる。

苦痛も、悲しみも、何もかも口の中に何かが入っていれば忘れられるんだ。

高級ハラミ美味しすぎんだろ!

やっぱり食べるって最高!こんなに脳内麻薬が出る行為やめらんない!

「若い時しかできないことをしなさい」ってよく言われるけど歳を取ったら食べられなくなっちゃうじゃん!

私は若い時を謳歌しているんだよ!

今日食べれればそれでいい!

もう今日生きていければそれでいい!

年金払って国民の義務してる!えらい!


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