この学園には図書委員がいない!

空飛ぶ桂川

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朝、目を開けると桜山が隣にいた。
「いや・・・ちょっと待て!お、お前・・・なんでこんなとこに居るん・・・」
桜山が人さし指で俺の口をおさえる。
「大きな声出さないでよ。・・・雰囲気が台無しになるでしょ?」
そう言いながら桜山が俺に尖らせた唇を近づける。
いや・・・待て・・・まだ心の準備が・・・
というところで目が覚めた。
「ゆ、夢か・・・。」

「・・・なんて下心丸出しの初夢なんだ・・・。」
いや・・・本来、初夢というものは1日から2日にかけて見る夢のことを指すのか・・・ということは、これは初夢ではない!
残念だったな俺の色欲!
・・・なんてことにはならず欲望全開の夢に自己嫌悪しながら出かける準備をはじめる。

今日は1月1日。
そんな日に出かけるといったらもちろん初詣である。
以前、夏祭りのときに訪れた神社の最寄りの駅に到着する。
「2分遅刻・・・まったく女の子を待たせるなんて男としてどうなの?」
駅を出ると桜山が待っていた。

話は数日前にさかのぼる・・・
「もしもし、私だけど・・・」
「桜山か・・・どうした?」
「あんたって1月1日何してるの?」
「1月1日?・・・特に用事もないし、家にいると思うけど・・・」
「じゃあさ・・・私と初詣行かない?・・・2人で。」
「えっ!?ふ、2人で!?いや、まあ・・・いいけど。」

ということがあって俺と桜山は2人で初詣に行くことになったのだ。
あんな夢を見たのも絶対これのせいだ!
あ!いかん!夢のことを思い出すな!しかもその夢の相手が今目の前に・・・!
「なに人のことジロジロ見てんのよ。」
「いや、見てないです!なんにも見てないです!」
「なに急に敬語になってんのよ。・・・あ、そのマフラーしてるんだ。」
「お前だってしてるじゃねーかよ。」
「だって琴子ちゃんにもらったやつだもん!」
「俺だってお前に・・・」
あ、しまった・・・つい口が滑って余計なことを・・・
「え?もしかして私にもらったやつだから・・・って言おうとした?」
「わ、悪いかよ。」
「・・・別に・・・悪くないわよ・・・。」
そう言うと桜山は頬を赤く染めうつむいた。
あの夢のせいかその横顔が愛らしく見えた。

神社について2人で参拝をすませる。
「お前、どんなお願いしたんだ?」
「えっ!?そ、そんなの言えるわけないでしょ!?」
なにをこいつはこんなに恥ずかしがってるんだ・・・?
「あ、あんたこそ・・・何をお願いしたのよ。」
「お、俺のお願いなんて別にいいだろ・・・」
「何よ。あんただってはぐらかすじゃない。」

・・・当たり前だろ。
「来年の初詣も2人でこれますように・・・」
なんてお願い言えるわけないだろ・・・。
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