この学園には図書委員がいない!

空飛ぶ桂川

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皆さん、こんにちは。
鶴里 楓〈つるさと かえで〉です。
とある高校の文芸部に所属する華の女子高生です。
華の・・・とはいっても普段はメガネで地味な学級委員。
でもその正体は・・・宇宙からの使者・・・エリクトン・カエ・・・
「楓~!そろそろ準備できた~?もう出るわよ~!」
「あ・・・わ・・・お母さん・・・今・・・行く・・・。」

私の家では毎年1月1日に家族で初詣に行くのが恒例になっている。
今年も例年通り、学校の近くの神社に初詣に向かう。

せっかく小説に書けそうな設定を思いついたのに残念だ・・・。
まあ、私には宇宙からの使者なんて到底なれっこないんだけど・・・ラノベのヒロインですらなれないくらい地味で特徴ないんだもん。
そもそも恋愛なんてしたことがない私にはどんな作品だろうとヒロインは向いてないか・・・。

そんなことを考えていると神社に着く。
「すごい人・・・。」
と思わず口に出してしまうほど混雑している。
家族で初詣の列に並び、神様に「今年も平和でありますように・・・」みたいな平凡なお願いをして毎年恒例のおみくじを引こうと人ごみをかき分ける。
・・・末吉・・・なんて読むんだこれ・・・初めて見るやつだ・・・国語苦手なんだから漢字にふりがなくらいつけてくれたっていいと思う。
でも吉って書いてあるということは良い結果なんだろうと振り向くと家族がいない・・・。
「は・・・はぐれた・・・。」

高校生にもなって迷子なんて恥ずかしすぎる・・・とりあえず引いたおみくじを結ぼうとしていると誰かに声をかけられる。
「あれ?鶴里さん?」
声の方向に顔を向けると別のクラスで学級委員をやっている神沢君がそこにいた。

「あ・・・どうも・・・。」
「鶴里さん1人?」
「いや・・・家族と・・・はぐれてしまった・・・みたいで・・・。」
「あ、そうなんだ!じゃあ俺と一緒だね!」
神沢君が苦笑いをしながら話す。恥ずかしい人・・・私だけじゃなくて良かった。
「あ、おみくじ引いたんだ!俺もなんだよ!俺、中吉だったんだけど鶴里さんは?」
私はさっき引いたおみくじを見せる。
「これ・・・なんて読むのかわかんないけど・・・多分良いやつだと・・・思う。」
「末吉・・・えーっと・・・言いにくいんだけど・・・それ、凶に近い吉だと思うよ?」
「・・・!?」
吉って書いてあるのに!?驚愕の事実!
「いや、なんかごめん・・・とりあえずお互い家族を探さないとね!」
「・・・そうだね・・・。」
それから少しの間、神沢君と2人で神社の中をお互いの家族を探しながら歩く。

「今日・・・咲音ちゃんと・・・車道君も・・・来てるんだって・・・咲音ちゃんから・・・聞いた・・・。」
「そうなんだ!あの2人は青春してるねー! 」
「・・・もし、私が咲音ちゃんなら・・・車道君ははぐれた私を探しまくってたんだろうね・・・。」
「そうだねー・・・でもまあ、コーちゃんは誰が相手でも探しまくると思うよ?」
「・・・それは確かにそうかも・・・。」
「なに?ヤキモチ?」
「・・・ヤキモチやくぐらいの恋とか・・・してみたいぐらい・・・なんとも思ってないよ・・・。」
「まあ、鶴里さんを恋に落とすのは難しそうだもんねー。」
「それはなんか・・・失礼・・・。」
「いや、冗談だよ!ごめんごめん!でも、もし鶴里さんがはぐれちゃってコーちゃんが探しにいかなくても俺は鶴里さんを探しまくると思うよ?」
「・・・えっ・・・?」
「俺にとっては鶴里さんも大切な友達だからね!」
神沢君はそう言いながらニコッと笑う。

「楓~!あ、いた!」
お母さんが私を呼ぶ声が聞こえる。
「お!無事になんとかなりそうだね!」
「あ・・・でも神沢君が・・・まだ・・・」
「僕は最悪はぐれた時の待ち合わせ場所みたいなのを決めてあるからそこに行くよ!じゃあ、また学校で!」

そう言って神沢君は去っていった。
・・・なんだ。じゃあ私のために一緒に居てくれたんだ・・・。
私は去っていく神沢君に心の中で「ありがとう。」と告げた。
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