1 / 65
glass:1
しおりを挟む
春の風が吹いている。
桜が散りかけている木々を抜けて、校舎に向かう。
校舎の入り口にはクラスわけをするために沢山の名前が掲示板に貼りだされている。
「あ!一緒のクラスだよ!ねえ!」
「うわ・・・お前とクラス遠いなー・・・」
新入生達が掲示板を見て一喜一憂している。
俺はそんな感情にはなったりはしない。
わざわざ家から1時間以上もかかる高校に進学したため中学の同級生なんていやしないからだ。
別に中学時代浮いていたとかぼっちだったとかそういう理由ではない。
この高校に大きな図書室があると聞いたからだ。
ふと掲示板から目を外し左を見る。
校舎から少し離れた場所に大きな建物が見える。
「あれが図書室・・・」
独り言をつぶやき、掲示板に視線を戻す。
掲示板の1-B、上から6番目に〈車道 行介(くるまみち こうすけ)〉という名前を見つける。
自分の名前だ。
階段を上がり、1-Bと書いた教室に入る。
黒板には教室を簡易的に書いたものがあり、おそらく座席であろう四角い枠に各生徒の名前が書かれている。
廊下側、前から6番目、1番後ろの席に座る。
「お!君がコースケ君か!」
前に座っていた男子生徒が振り向き喋りだす。
「ん?そうだけど・・・君は?」
「俺は神沢 康介(かみさわ こうすけ)!いやさぁ・・・漢字は違うけど同じこうすけじゃん?しかも同じクラスで出席番号も前後なんてあっちゃ仲良くなるっきゃないじゃん?運命的なもの感じるじゃん?」
ショートヘアの爽やかな少年風の男子生徒はそう言うとニカッと笑う。
「男相手に運命なんて感じてたまるかよ。でもまあ、よろしくな。」
なんとなく第一印象だけど、悪い奴では無さそうだ。
のちにこの男がとんでもない事件を巻き起こすことになるのだが、それはまだ先の話になるので置いておこう。
入学式も終わって数日が経ち、クラスごとに委員を決めることになった。
様々な委員がある中、俺は図書委員を選んだ。
図書委員になれば放課後になるたび必ず図書室に入れるからだ。
俺が何故そんなにあの大きな図書室にこだわっているかというと、
俺はメガネが好きだ。
・・・この言い方だと語弊があるな。
俺はメガネをかけた女子が好きだ。
これはフェチを越えてもはや性癖と言ってもいいぐらいにメガネ女子が好きだ。
メガネ!メガネメガネ!メガネメガネメガネ!メガネメガネメガネメガネ!メガネメガネメガネメガネメガネ!
メガネ女子!!
女子という生き物は何故メガネをかけるだけであんなにも美しくなるのだろうか・・・というのを真剣に考えるあまり徹夜をしてしまった経験があるくらいメガネ女子が好きだ。
そして、あの大きな図書室・・・
あんなに大きな図書室ならきっと素敵なメガネ図書委員女子がいるに違いない!
と思ってこの高校への進学を決めたのだ。
図書委員はメガネをかけているものだ。
・・・この言い方も語弊があるな。
メガネをかけていなければ図書委員ではない!
そう!図書委員は絶対にメガネ女子なのだ!
夕日の照らす図書室の中、物憂げに座るメガネ図書委員女子・・・
そんなメガネ図書委員女子と恋に落ちる・・・
そんな目的・・・いや、目標を持って俺は図書委員になったのだった。
図書委員は2人1組となって日替わりで各組が持ちまわりで担当していくらしい。
初めての図書委員としての仕事の日、俺は自分と2人1組になった相手の名前を図書委員の名簿で確認した。
〈桜山 咲音〉
さくらやま・・・名前のほうはなんて読むんだろう・・・でもきっと可愛いメガネ女子に違いない。
気持ちを高ぶらせながら図書室に入る。
広い空間に沢山の本棚。
その本棚に整頓され並べられた沢山の本。
そしてその空間の真ん中に受付のようなものがあり、その受付に座る1人の少女。
薄いピンクの髪に白い肌、物憂げな表情・・・そして目には・・・
「メガネ・・・かけてない・・・!?」
桜が散りかけている木々を抜けて、校舎に向かう。
校舎の入り口にはクラスわけをするために沢山の名前が掲示板に貼りだされている。
「あ!一緒のクラスだよ!ねえ!」
「うわ・・・お前とクラス遠いなー・・・」
新入生達が掲示板を見て一喜一憂している。
俺はそんな感情にはなったりはしない。
わざわざ家から1時間以上もかかる高校に進学したため中学の同級生なんていやしないからだ。
別に中学時代浮いていたとかぼっちだったとかそういう理由ではない。
この高校に大きな図書室があると聞いたからだ。
ふと掲示板から目を外し左を見る。
校舎から少し離れた場所に大きな建物が見える。
「あれが図書室・・・」
独り言をつぶやき、掲示板に視線を戻す。
掲示板の1-B、上から6番目に〈車道 行介(くるまみち こうすけ)〉という名前を見つける。
自分の名前だ。
階段を上がり、1-Bと書いた教室に入る。
黒板には教室を簡易的に書いたものがあり、おそらく座席であろう四角い枠に各生徒の名前が書かれている。
廊下側、前から6番目、1番後ろの席に座る。
「お!君がコースケ君か!」
前に座っていた男子生徒が振り向き喋りだす。
「ん?そうだけど・・・君は?」
「俺は神沢 康介(かみさわ こうすけ)!いやさぁ・・・漢字は違うけど同じこうすけじゃん?しかも同じクラスで出席番号も前後なんてあっちゃ仲良くなるっきゃないじゃん?運命的なもの感じるじゃん?」
ショートヘアの爽やかな少年風の男子生徒はそう言うとニカッと笑う。
「男相手に運命なんて感じてたまるかよ。でもまあ、よろしくな。」
なんとなく第一印象だけど、悪い奴では無さそうだ。
のちにこの男がとんでもない事件を巻き起こすことになるのだが、それはまだ先の話になるので置いておこう。
入学式も終わって数日が経ち、クラスごとに委員を決めることになった。
様々な委員がある中、俺は図書委員を選んだ。
図書委員になれば放課後になるたび必ず図書室に入れるからだ。
俺が何故そんなにあの大きな図書室にこだわっているかというと、
俺はメガネが好きだ。
・・・この言い方だと語弊があるな。
俺はメガネをかけた女子が好きだ。
これはフェチを越えてもはや性癖と言ってもいいぐらいにメガネ女子が好きだ。
メガネ!メガネメガネ!メガネメガネメガネ!メガネメガネメガネメガネ!メガネメガネメガネメガネメガネ!
メガネ女子!!
女子という生き物は何故メガネをかけるだけであんなにも美しくなるのだろうか・・・というのを真剣に考えるあまり徹夜をしてしまった経験があるくらいメガネ女子が好きだ。
そして、あの大きな図書室・・・
あんなに大きな図書室ならきっと素敵なメガネ図書委員女子がいるに違いない!
と思ってこの高校への進学を決めたのだ。
図書委員はメガネをかけているものだ。
・・・この言い方も語弊があるな。
メガネをかけていなければ図書委員ではない!
そう!図書委員は絶対にメガネ女子なのだ!
夕日の照らす図書室の中、物憂げに座るメガネ図書委員女子・・・
そんなメガネ図書委員女子と恋に落ちる・・・
そんな目的・・・いや、目標を持って俺は図書委員になったのだった。
図書委員は2人1組となって日替わりで各組が持ちまわりで担当していくらしい。
初めての図書委員としての仕事の日、俺は自分と2人1組になった相手の名前を図書委員の名簿で確認した。
〈桜山 咲音〉
さくらやま・・・名前のほうはなんて読むんだろう・・・でもきっと可愛いメガネ女子に違いない。
気持ちを高ぶらせながら図書室に入る。
広い空間に沢山の本棚。
その本棚に整頓され並べられた沢山の本。
そしてその空間の真ん中に受付のようなものがあり、その受付に座る1人の少女。
薄いピンクの髪に白い肌、物憂げな表情・・・そして目には・・・
「メガネ・・・かけてない・・・!?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる