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・・・。
・・・・・どうしよう。
今日は帰りのホームルームが思いのほか早く終わったのでどうやら桜山より先に図書室に入ったらしい。
図書室の扉を開けると桜山ではなく、黒髪で前髪が長くて鼻より上がほとんど見えない謎の女が椅子に座っていたのであった。
薄暗い図書室の中、不気味な女が本を読みながらそこに座っている。
あぁ・・・そうか・・・俺ってそういうの見えるタイプの人間だったんだな・・・
困ったなー・・・塩とか投げつけたら成仏してくれるのかなー・・・
「何やってんのあんた?」
「ギャーーーーー!!!」
「うわっ!!なに!?急に大きな声出さないでよ!!」
「あぁ!桜山!いや、だってほら!」
俺は女を指差す。
目線をやると女がこちらを向いていた。
「ギャーーーーー!!!」
「うわっ!!なに!?なんなの!?・・・あ!楓ちゃん!」
「・・・楓・・・ちゃん?」
「私と同じ1-Aの鶴里 楓(つるさと かえで)ちゃん。なに?楓ちゃんがどうかしたの?」
「あ、そうなのか・・・いや、1人ポツンとそこにいたからてっきり見えてはいけないものかと・・・」
「は?本当失礼ねあんた!楓ちゃんは私の可愛い友達なんだから!」
桜山が鶴里の横に立つと鶴里は顔をあげる。
長い前髪のせいでほぼ顔が隠れてしまっているが、よく見ると目はパッチリとして可愛らしい。
そしてメガネをかけている。なんだメガネ美少女か。そうとわかれば怖くない。むしろ素敵だ。
「あんた今、楓ちゃんがメガネかけてるのを見て変なこと考えたでしょ!?」
「は?変なことってなんだよ!俺はメガネ女子に対しては素敵だな・・・としか思わねーよ。そしてお前に対しては厄介なやつだな・・・としか思わねーよ。」
「最後のひと言余計なんですけど、このメガネマニア!」
「ひと言余計なのはお互い様だろ。」
「は?なんか言った?」
こういう言い合いもなんか恒例行事みたいになってきたな・・・
「あ、あの・・・ケンカはやめて・・・」
鶴里が声を出した。
『声を出した。』と表現したのはあまりにも声が小さくて『喋った。』というよりは『声を出した。』という表現の方が適切だからだ。
「楓ちゃん、これはケンカじゃなくて恒例行事みたいなもんだから大丈夫よ!」
うわぁ・・・シンパシー・・・
「・・・でも・・・図書室で・・・大きな声を出すのは・・・良くないよ・・・」
いや、お前はもっと声を出せ。あと、前髪を切れ。
恒例行事もひと段落し、俺と桜山は受付の椅子に座る。
「・・・それにしてもお前友達いたんだな。」
「あんたって本当失礼ね。いるに決まってるでしょ。」
「いや、なんつーかいつも1人で本読んでるイメージだったからさ・・・嫌味とかじゃなくて、お前のいいところをわかってくれてる奴がいて安心したよ。」
「なっ・・・べ、別にあんたに心配なんかされたくないし・・・」
鶴里は先ほどから小説を読んで上を向いたと思ったらノートになにかを書く・・・ということを繰り返していた。
「・・・あの子はなんか読書感想文とか書いてるわけ?」
「そんなわけないでしょ。彼女、文芸部なのよ。」
「じゃあ、小説を書いてんのか。」
「そうよ。」
「どんなの書くんだろうな。」
「さあ・・・私も読んだことないから。」
ふと、席を立ち鶴里に近づく。
「あ、ちょっ・・・!なにする気なのあんた!?」
桜山も立ち上がりこっちへ来る。
「鶴里さん、文芸部なんだって?今は小説書いてるの?」
「・・・え?あ・・・はい・・・」
「もし良かったらどんな作品か読ませてくれないかな?」
「ちょっと!あんたいきなり何言ってんのよ!デリカシー無さ過ぎ!」
「でもお前も鶴里さんの小説読みたいだろ?」
「それは・・・読みたいけど・・・」
ふと視線を鶴里に戻すと下を向いて恥ずかしそうにノートをこちらに差し出していた。
「あの・・・咲音ちゃんが・・・読みたいなら・・・2人に・・・だけなら・・・図書室の使用料として・・・なんつって・・・」
あ、なんだ・・・こういう冗談言える子なのか。
「ありがとう。」
俺は鶴里からノートを受けとる。
そして、桜山と隣同士で椅子に座り2人で読みはじめた。
・・・・・・・な、なんだこれは・・・!!
なんだこの明らかに何かの作品にインスパイアをうけました・・・みたいな小説は・・・
なにかリアクションをとらなければ・・・桜山はどんな顔してるのだろう。
俺は桜山を見た。
桜山は信じられないくらいわかりやすい顔をしていた。
さて・・・どうしたもんかな・・・。
・・・・・どうしよう。
今日は帰りのホームルームが思いのほか早く終わったのでどうやら桜山より先に図書室に入ったらしい。
図書室の扉を開けると桜山ではなく、黒髪で前髪が長くて鼻より上がほとんど見えない謎の女が椅子に座っていたのであった。
薄暗い図書室の中、不気味な女が本を読みながらそこに座っている。
あぁ・・・そうか・・・俺ってそういうの見えるタイプの人間だったんだな・・・
困ったなー・・・塩とか投げつけたら成仏してくれるのかなー・・・
「何やってんのあんた?」
「ギャーーーーー!!!」
「うわっ!!なに!?急に大きな声出さないでよ!!」
「あぁ!桜山!いや、だってほら!」
俺は女を指差す。
目線をやると女がこちらを向いていた。
「ギャーーーーー!!!」
「うわっ!!なに!?なんなの!?・・・あ!楓ちゃん!」
「・・・楓・・・ちゃん?」
「私と同じ1-Aの鶴里 楓(つるさと かえで)ちゃん。なに?楓ちゃんがどうかしたの?」
「あ、そうなのか・・・いや、1人ポツンとそこにいたからてっきり見えてはいけないものかと・・・」
「は?本当失礼ねあんた!楓ちゃんは私の可愛い友達なんだから!」
桜山が鶴里の横に立つと鶴里は顔をあげる。
長い前髪のせいでほぼ顔が隠れてしまっているが、よく見ると目はパッチリとして可愛らしい。
そしてメガネをかけている。なんだメガネ美少女か。そうとわかれば怖くない。むしろ素敵だ。
「あんた今、楓ちゃんがメガネかけてるのを見て変なこと考えたでしょ!?」
「は?変なことってなんだよ!俺はメガネ女子に対しては素敵だな・・・としか思わねーよ。そしてお前に対しては厄介なやつだな・・・としか思わねーよ。」
「最後のひと言余計なんですけど、このメガネマニア!」
「ひと言余計なのはお互い様だろ。」
「は?なんか言った?」
こういう言い合いもなんか恒例行事みたいになってきたな・・・
「あ、あの・・・ケンカはやめて・・・」
鶴里が声を出した。
『声を出した。』と表現したのはあまりにも声が小さくて『喋った。』というよりは『声を出した。』という表現の方が適切だからだ。
「楓ちゃん、これはケンカじゃなくて恒例行事みたいなもんだから大丈夫よ!」
うわぁ・・・シンパシー・・・
「・・・でも・・・図書室で・・・大きな声を出すのは・・・良くないよ・・・」
いや、お前はもっと声を出せ。あと、前髪を切れ。
恒例行事もひと段落し、俺と桜山は受付の椅子に座る。
「・・・それにしてもお前友達いたんだな。」
「あんたって本当失礼ね。いるに決まってるでしょ。」
「いや、なんつーかいつも1人で本読んでるイメージだったからさ・・・嫌味とかじゃなくて、お前のいいところをわかってくれてる奴がいて安心したよ。」
「なっ・・・べ、別にあんたに心配なんかされたくないし・・・」
鶴里は先ほどから小説を読んで上を向いたと思ったらノートになにかを書く・・・ということを繰り返していた。
「・・・あの子はなんか読書感想文とか書いてるわけ?」
「そんなわけないでしょ。彼女、文芸部なのよ。」
「じゃあ、小説を書いてんのか。」
「そうよ。」
「どんなの書くんだろうな。」
「さあ・・・私も読んだことないから。」
ふと、席を立ち鶴里に近づく。
「あ、ちょっ・・・!なにする気なのあんた!?」
桜山も立ち上がりこっちへ来る。
「鶴里さん、文芸部なんだって?今は小説書いてるの?」
「・・・え?あ・・・はい・・・」
「もし良かったらどんな作品か読ませてくれないかな?」
「ちょっと!あんたいきなり何言ってんのよ!デリカシー無さ過ぎ!」
「でもお前も鶴里さんの小説読みたいだろ?」
「それは・・・読みたいけど・・・」
ふと視線を鶴里に戻すと下を向いて恥ずかしそうにノートをこちらに差し出していた。
「あの・・・咲音ちゃんが・・・読みたいなら・・・2人に・・・だけなら・・・図書室の使用料として・・・なんつって・・・」
あ、なんだ・・・こういう冗談言える子なのか。
「ありがとう。」
俺は鶴里からノートを受けとる。
そして、桜山と隣同士で椅子に座り2人で読みはじめた。
・・・・・・・な、なんだこれは・・・!!
なんだこの明らかに何かの作品にインスパイアをうけました・・・みたいな小説は・・・
なにかリアクションをとらなければ・・・桜山はどんな顔してるのだろう。
俺は桜山を見た。
桜山は信じられないくらいわかりやすい顔をしていた。
さて・・・どうしたもんかな・・・。
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