この学園には図書委員がいない!

空飛ぶ桂川

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日本には晴耕雨読という言葉がある。
晴れの日は外で活動し、雨の日は室内で読書をしろ・・・みたいな意味の言葉だ。

梅雨の時期も終わりに近づいているというのに、ここ数日間は雨が続いている。
今日は図書委員の担当で放課後に桜山と図書室にいるわけだが、人がほとんど来ない。
雨の日は室内で読書しろ・・・なんてものはもはや古い言葉なのかもしれない。

ほとんど来ない・・・という言葉を使ったのは今現在、1人だけ図書室にいる俺たち以外の人間がいるからだ。
とはいっても晴れてる日でも読書をしているような文芸部の女子生徒が1人いるだけである。

「・・・なあ、鶴里。お前、そういえば追試の結果は大丈夫だったのか?」
「・・・あ、あの・・・おかげ様で・・・。」
「そうか。なら良かったよ。」
「わ、私は楓ちゃんなら大丈夫だと思ってたけど。」
嘘つけ。心配してたじゃねーかよ。

「・・・お、お二人には・・・お世話に・・・なったので・・・お礼といっては・・・なんですが・・・こ、これ・・・。」
そう言って鶴里は一冊のノートを俺に渡した。
表紙には『お礼の小説』と書いてある。
お礼に自分の書いた小説を渡すとかいかにも鶴里らしい。
俺と桜山は隣同士に座り、小説に目を通す。

・・・・・・・・・・。
内容は俺と桜山をモチーフにしたであろうキャラクターの恋愛小説だった。

「・・・いや、なんだこれは!!どういうお礼の気持ちでこうなるんだよ!!」
「か、楓ちゃん!お礼の気持ちは嬉しいけど、なんでこんなの書いちゃったの!?」
「・・・あ・・・いや・・・2人・・・すごい仲がいいので・・・両想いだと・・・思って・・・。」
「そんなわけねーだろ!俺は初めて付き合う女の子はメガネの美少女って決めてんだよ!」
「そ、そうよ!だ、誰がこんな奴と!・・・確かに悪い奴では・・・無いけど・・・。」
「ん?最後なんて言った?」
「な、なんも言ってないわよ!!」
「じゃあ、なんでそんな動揺してんだよ。どうせ悪口だろ?」
「べ、別に悪口なんて言ってないわよ!失礼ね!」
みたいなやりとりをしていると鶴里がクスクスと笑いだす。

「ちょっと!楓ちゃんも何笑ってんの!?楓ちゃんが変な小説書くからこんな感じになっちゃったのよ!」
「・・・い、いや・・・2人は・・・本当に・・・仲良しだなと・・・思って・・・。」
「いや、まあ確かに仲が悪いってわけでは無いけど、鶴里・・・さすがにこの小説は勘違いが過ぎるぞ?」
「そ、そうよ!変な勘違いしちゃダメだよ!・・・も、もう!」
そう言うと桜山はため息をつき椅子に座り本を読みはじめる。

鶴里には俺と桜山がそういう関係に見えるんだな・・・。
まあ確かに可愛いし、口は悪いが本当は友達思いの良い奴だし、多分こいつと仲良くなって色々な部分を知れば惹かれる男も沢山いるんだろうな・・・でも俺はこいつに恋愛感情は芽生えないだろうし、こいつも俺に対してそういう感情にはならないだろうな・・・。

なんてことを思いながら本を読んでいる桜山を見る。
桜山は視線に気づいたのか本から目を離し俺を見る。
そして、俺と桜山の目が合う。
・・・っ!?
・・・思わず目を背けてしまった。なんでこいつなんかにこんなにドキドキしなきゃいけないんだよ。

これはもう完全に鶴里の小説のせいだ・・・。
今日はあいつを呪ってやろう・・・。
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