悪の総統に愛されて夜も眠れないDK

ベポ田

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光と春近

★VSスケスケ怪人

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「…………っ、んん、…………は、」

 臀部には違和感。否、異物感。
 指のようなものに絶えず肉筒の中を押し広げられる度に、押し出されるように勝手に声が漏れる。

 見えない怪人に襲われた春近は、すぐに商品棚に押し付けられ、下履きを奪われた。
 小ぶりな尻を割り広げられ、今の今まで、指のようなもので延々と尻の穴をいじられ続けていた。

 初めこそ異物を拒否していたアナルは、今となっては受容れるどころか媚びるように指に吸い付いている。
 自分の身体が徐々に造り変えられていく感覚に、春近は困惑していた。
 それもこれも、内側の突起……今やぷっくりと膨れてしまった前立腺を弄られ始めてからである。

「は、……も、やめ、………、離せぇ゛っ、」

 ぬるい熱が下腹にじわじわと溜まっていくような感覚に、悩ましげに眉を寄せ、必死に声を堪える。
 尻から内腿にどろりと生温い液体の感触が伝う。
 ぞわり、ぞわりと背筋が粟立つ感覚に打ち震えながら、春近は「おかしい」と痺れた思考の端で考える。

 ここは公共の場で、客足も少なくない雑貨屋である。
 自分はそこで下半身を露出して、アンアン喘いでいる。
 本来ならばとっくに誰かに見つかっていてもおかしくないはずだった。
 息も絶え絶え相貌をもたげて、必死に辺りへと視線を巡らせて。

「──────ぁ、」

 春近が目を見開くのと、後孔から指が引き抜かれるのは同時だった。

 べしょべしょのはにわが、棚の上にいた。
 底の見えない穴から、こちらを見下ろしている。

 直感する。『これ』も怪人である。
 どういった力かはわからないが、このはにわこそが、自分の存在を人々の目から隠している。

 二体だ。
 少なくともこの場には二体怪人がいる。
 今自分を犯している姿の見えない怪人と、人の認識か空間に干渉するはにわ型怪人。

「無理────!」

 裏返った叫び声をあげて、身を捩る。
 後孔が解放されたのを良いことに、姿の見えない怪人を振り払った。

「っ、ふ、ふざけるなよ……!」

 転がるように、よろめく足で店の外へと向かう。
 とにかくあのはにわの観測外に逃れれば、この果てのない空間から逃れることができるのではないか。
 どうにか人の多いところに出れば、攻撃の手が緩むのではないか
 そんな、希望的観測からだった。
 店内からフロア側へと近付いても、人の声ひとつ聞こえない。
 歩くごとに、どろりと生温い液体が内腿を伝う不快感に、眉根を寄せて。

「ぁ、な、んでぇ~~~~…………っ、!」

 気付けば、また目の前にはにわがいた。
 あれだけ歩いたはずなのに、春近はまたあの商品棚の前にいた。入り組んだ迷路の中に、ひとり取り残されたような。そんな絶望感に、目の前が暗くなる。
 そして、また自分で触れたことすらない部分の開く感覚に、立ってすらいられなくなる。
 膝を付き、尻を突き上げる犬のような格好に倒れ伏した。
 異物感の消えた後孔は、何かを求めるようにひくひく空気を食んでいる。
 そしてその縁には、先刻とは明らかに質量の違う剛直が押し付けられて。

「ぁ、うう、っ、なに、ぃ」

 内側を押し広げながら、それがずぷずぷと入り込んでくる。
 ぐにぐに、ぐにぐにとナカを解されて、散々指先で弄られ、ぷっくり♡と膨れた前立腺を、高いカリ首が執拗にこそぐ。
 波のように押し寄せる法悦に反応するように、投げ出された指先がぴくぴく跳ねて。

「ぁっ、う、うう、……んっ、♡」

 そして、身体はそれを明確に快感として拾い始めた。
 自分を犯す何かから逃げるように這いずるも、まばたきのたびに元の位置に戻っている。

「だから何……っ、あっ、♡あんッ♡♡なんでぇ!♡♡」

 突き上げられた尻のあわい。
 つい先ほどまでは慎ましく閉じ切っていた窄まりが、ぷっくりと充血していた。
 そして、ぐぽぐぽ♡♡とほじくられる度に、媚びるような声が口から洩れてくる。
 
 透明な肉棒を咥えこんだまま捲れ上がったアナルは、だらしなく口をひらいてナカの様子がまる見えだった。
 かき混ぜられた謎の粘液が、攪拌され、泡立った状態で真っ赤な粘膜に絡みついていて。
 早く陰茎で達したいのに、尻を弄るなにかを止めたいのに、触れることができない。
 確かに腕を持ち上げたはずなのに、気付けば床に縫い留められていた。

「あっ♡、あ、っ♡」

 ただただ揺さぶられ、どろりと蕩けた瞳で喘ぐことしかできない。
 終いには、絶頂への決め手を求めるように、一切触れられていない乳首を床に押し付け、擦り始める始末だった。

 ───もっと。もっと気持ちの良いところを。

 本能のまま、へこへこと腰を揺らし始めた春近に応えるように、肉棒は奥へ奥へと押し入ってくる。
 恥だとか矜持だとか、恐怖心だとか。
 そんな思考が、波のような快感に押し流される。
 霞がかった思考のまま、半開きの口からだらりと赤い舌を垂らす。
 涙と唾液でぐしゃぐしゃの相貌で、床を舐めて。

「お゛ッ、!♡♡」

 ずちゅんっ!♡♡♡
 一際強く穿たれた陰茎が、前立腺を押し潰しながら、ついに最奥を穿つ。
 厚い亀頭が結腸口に触れた瞬間、春近の視界は真っ白にスパークした。


「~~~っ、♡♡、ぁ♡♡ッ、くぅ♡♡」

 一際甘く、熱い痺れに、ぎくん、ぎくんと背が震える。四つん這いのまま。舌を突き出し、喉をむき出してのけぞる姿は、完全に獣のそれだった。
 びしゃびしゃと弾けた白濁が、床を濡らして。
 跳ね返ってきた飛沫が、ひくひく震える白い腹に飛散した。
 そしてその不快感と吐精後の虚脱感で、春近の思考に一抹の理性が戻ってくる。

「あ、ああ…………」

 そして次に込み上げてくるのは、あまりにも深い絶望感だった。
 乳首だけで達してしまった時、口内を開発されたとき。
 どれも屈辱的だったが、それらの比にならないほど、春近は打ちのめされていた。
 ナカの良いところを、擦られ、押しつぶされる快感だけで達してしまった。
 雄としての矜持も自覚も、何もかもが踏みにじられたみたいだった。
 がりがり、がりがりと床を指先で引っ掻くけれど、自分の身体から出た液体で虚しく上滑りするだけで。
 それでも、がくがくと震える手足で、春近は逃げようとした。
 これ以上、この先を知ってしまうと壊れてしまう。戻れなくなってしまうと直感的に理解してしまったから。
 死にかけの猫みたいに這いながら、滑る手足で何かからひたすらに逃げようと足掻く。
 けれど、這っても這っても引き戻されて。


 じわりと涙で歪んだ視界に、影が落ちる。
 はにわが、その痴態を嘲笑うように、春近を見下ろしていた。
 ずっぷりと胎内に埋め込まれたままの陰茎が、律動を再開する。薄くて白い腹がぽっこりと膨れるグロテスクな光景は、春近の心をより深く蝕んだ。
 最奥を小突く先端に、入口がゆっくりと解され、綻んで。

「っ、♡、あ゛っ♡お゛っ♡♡ぁ、たしゅけ、…………っ、」

 震える唇から、か細い悲鳴が漏れる。

「………………………………ひかるぅ…………」

 同時だった。
 咄嗟に口走った幼馴染の名をかき消すように、破砕音が響く。
 見開かれたブラウンの瞳。


「──────やっと見つけた」


 眼前に飛来した『破片』を、大きな手のひらが覆い隠して。

「また会えたな!…………と、きみ、大丈夫か⁈」

 快活な声に、重い頭を擡げる。
 店内を照らす蛍光灯が、目にまぶしい。自らを覗き込む男の顔も、逆光で見えない。
 それでも、陽光を閉じ込めたような金色の瞳だけが、きらきら輝いていた。
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