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Ⅳ、着実に進む決戦への準備
42★偽聖女はサムエレの欲望を操る
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無言で立ち尽くすサムエレに、女は言葉を重ねた。
「愛する者の名を、我に言うてみよ」
精神操作系ギフトに対抗するすべを持たないサムエレは、抑揚のない声で答えた。
「アルバ公爵家レモネッラ嬢の侍女兼護衛で、名をジュリアさんと言う」
「ほう、公爵令嬢の侍女とな。では釣り合うように、まずは貴族に仕えるがよい」
女は愉快そうに笑った。
「クロリンダ様が雇って下さるのですか?」
話している相手がクロリンダかどうか疑いながらも尋ねるサムエレ。
「私が雇い、第一皇子に紹介しよう」
「なぜ第一皇子ほどの方に……?」
「おぬしには連絡係として働いてもらう。クロリンダ嬢とはいえ頻繁にオレリアンと会うのは難しいだろうからな」
女が自分でクロリンダ嬢と言ったことで、サムエレは確信した。今、話しているのはクロリンダ嬢ではない、と。
「若者よ、お前には魔石救世アカデミーの幹部となってもらう。第一皇子はアカデミーの外部理事だ」
帝都に行ったことがないサムエレは、魔石救世アカデミーを知らなかったが、その名から貴族や学者が作る学術団体であろうと想像した。
「今は故あってアカデミー代表が皇子とコンタクトを取れぬ状態だ。お前の仕事は代表の伝言をあずかった一般会員から情報を受け取り、皇子に伝えることじゃ」
団体の代表と外部理事が接触できないなんて、何か陰謀のにおいがする。単なる学術団体ではないのだろうか?
(だが混乱に乗じてこそ、僕のような辺境の亜人族にも中央に上り詰めるチャンスがめぐってくるというもんだ)
素直にうなずくサムエレに、女は満足そうに言葉を続けた。
「そうして皇子の信頼を勝ち得、皇子が皇帝になったあかつきにはお前も侍従に昇格させてもらうのじゃ」
皇帝の侍従となった自分を想像して、サムエレは喜びに奮い立った。だが現皇帝はまだ働き盛りの壮年期で、病のうわさなど聞いたことはない。
「皇子殿下が皇帝に即位するのはずっと先でしょう」
女はククク、と忍び笑いをもらして声を低くした。
「この国ではクーデターが起こる。近いうちに現皇帝も皇后も第二皇子も全員いなくなるのさ」
「なっ」
とんでもない予言にサムエレの鼓動は早くなる。だが続きを聞く前に、教会のほうから先輩聖職者がやってきた。
「おいサムエレ、いつまで立ち話をしているんだ。怪しい魔法医など追い払って、さっさと仕事に戻れよ」
青年の服装から、彼が聖魔法教会の正式な聖職者だと分かったのだろう、年老いた魔法医が懇願した。
「わしは聖ラピースラ王国アルバ公爵家に仕える侍医、こちらは公爵家の令嬢クロリンダ様だ。第二皇子殿下に呼ばれて帝都を目指しているのじゃが、路銀が底をついてしまった」
「本当か?」
聖職者の青年は、貧しい旅人にしか見えない二人に、疑わしげな目を向けた。
クロリンダの姿をした女が、
「本当じゃ。ほれ、印章指輪を見よ」
白い指で胸の谷間からつまみ出したのは、細いチェーンを通した大きな指輪。
「うむ? 本物のようだが僕には分からん。司祭様のところへ案内しよう」
それから半刻近く経って――
サムエレは帝都に向かう旅支度を整えて、教会内に与えられていた自室から戻ってきた。
事務室で待っていた魔法医は、
「借用書を書いて路銀をお貸しいただくことになったのだよ」
と胸をなで下ろした。
「借用書の写しはアルバ公爵家に送っておきます」
聖職衣に身を包んだ会計係が、事務的な口調で告げる。公爵家が支払いを肩代わりするのだ。
「クロリンダ様がどこにいらっしゃるか分かって、ロジーナ夫人も安心するでしょう」
魔法医は人のよさそうな笑顔でうなずいている。
偽クロリンダにくっついて帝都に向かうことにしたサムエレは、
「司祭様、短い間でしたがお世話になりました」
丁寧に礼をした。
「サムエレよ、お前ならどこででもやっていけるはずじゃ。おごりたかぶらず、真摯に励めよ」
老司祭は、やるべき仕事を的確にこなすサムエレが教会から去ることを惜しんでいた。
(ふん、何がおごりたかぶらず、だ。安い賃金でこき使いやがって)
サムエレは内心、舌打ちしていた。こうして彼はまた欲に駆られて、真人間になるチャンスを逃したのだ。
カフェの店員に教えられた通り、帝都のメインストリートを進むと噴水のある広場に出た。
噴水を取り囲むように花壇が配置され、色とりどりの花が咲き乱れている。走り回って歓声を上げる子供たちを避けるように、荷車を引く商人が広場を横切り、修道服を着た男とすれ違う。
「月桂樹通りと言っていたか」
標識を確かめてから右の通りに入る。メインストリートと比べれば道幅は狭いものの多くの人が行き交い、にぎやかだ。
「二番目の通りを越えた先にある三階建ての屋敷――あれか」
目当ての建物の前に立っていた女がサムエレに気付くと、大股で歩いてきた。
「遅かったではないか」
話しかけられたものの、額に魔石を埋めたその中年の女には、まったく見覚えがない。
お前は誰だと問おうとしたサムエレは、ある可能性に気が付いた。
「お前は―― クロリンダ様の中にいた存在か?」
「そうだ。分かっているなら話が早い。今はこの者の口を借りて話しておる」
面妖な、とサムエレは胸の内でつぶやいた。
(他者を操る魔術など存在しないはずだ。)
ギフト<記憶>を持つサムエレは、頭の中で魔術書をめくる。
(催眠術か魔法薬なら可能かも知れないが、術師の姿が見当たらない。大体僕はクロリンダ嬢より先に第二皇子宮を出た。風纏颯迅で逃げた僕より早く、ここアカデミーに到着するのは不可能だ)
思考を巡らせたサムエレは、ひたと女を見据えた。
「一体お前は何者だ? 詮索するつもりはないが協力する以上、最低限は知っておきたい」
「高名な巫女、とでも言っておこう」
「人を操るのも予言も巫覡の力というわけか。それで僕はこれからどうしたらよいのでしょう?」
背の高いサムエレに見下ろされて、魔石を額に埋めた女は一瞬、鼻白んだ。
「計画がな、狂ったのじゃ」
面白くもなさそうに低くつぶやくのを見てサムエレは、
「あなたはクロリンダ嬢として第二皇子に会い、第一皇子への面会を取りつけてもらい、僕を護衛として伴い第一皇子と話すつもりだった。それが失敗したと」
滔々と並べ立てた。
(護衛として竜人族を連れていくなら、確かに怪しまれることはない。亜人族は人族より体力・魔力ともに優れていて護衛に最適だからな)
しかしその計画も、第二皇子がジュキエーレとレモネッラ嬢を呼んだことで、ぶち壊しの憂き目に遭ったのだが。
(なんでジュキエーレのやつはいつも僕の人生を邪魔するんだ! 抜けてるチビのくせに!)
サムエレはまた嫉妬にかられて、ギリッと歯噛みした。子供の頃から確実に自分のほうが勝っていると思ってきた相手に負けるのは、悔しくてたまらない。
「計画変更じゃ」
中年女は視点が定まらないまま、ぽつりと言った。
「もはやあの男が断罪されるのは止められぬ。それならおぬしには先回りして、あの男が入れられる修道院へ潜入してもらおう」
翌日、魔石救世アカデミーの一般会員である武器屋の倅が、今月の売上金をまとめて商人ギルドに預けようと道を歩いているとき、ふと意識を失った。
彼はそのままふらふらと、サムエレが泊まる宿屋へ向かった。
「この金貨を寄付して、サンロシェ修道院へすべり込むのだ」
あろうことか、ずっしりと重い革袋をまるまる手渡してしまった。
サムエレは宿屋を出て、帝都北西の海岸へ向かった。大きな湾の中に岩でできた小島が浮かんでいる。その岩肌にへばりつくように建つのが聖魔法教会サンロシェ男子修道院だった。
満潮時は陸地から隔絶されるその岩山を訪れるため、サムエレは船頭に銅貨を手渡した。
─ * ─
次回はジュキくんの一人称に戻ります!
『女装筋肉に張り合うクロリンダ嬢』
あれ? タイトルおかしくない? クロリンダ嬢、大活躍だな。
「愛する者の名を、我に言うてみよ」
精神操作系ギフトに対抗するすべを持たないサムエレは、抑揚のない声で答えた。
「アルバ公爵家レモネッラ嬢の侍女兼護衛で、名をジュリアさんと言う」
「ほう、公爵令嬢の侍女とな。では釣り合うように、まずは貴族に仕えるがよい」
女は愉快そうに笑った。
「クロリンダ様が雇って下さるのですか?」
話している相手がクロリンダかどうか疑いながらも尋ねるサムエレ。
「私が雇い、第一皇子に紹介しよう」
「なぜ第一皇子ほどの方に……?」
「おぬしには連絡係として働いてもらう。クロリンダ嬢とはいえ頻繁にオレリアンと会うのは難しいだろうからな」
女が自分でクロリンダ嬢と言ったことで、サムエレは確信した。今、話しているのはクロリンダ嬢ではない、と。
「若者よ、お前には魔石救世アカデミーの幹部となってもらう。第一皇子はアカデミーの外部理事だ」
帝都に行ったことがないサムエレは、魔石救世アカデミーを知らなかったが、その名から貴族や学者が作る学術団体であろうと想像した。
「今は故あってアカデミー代表が皇子とコンタクトを取れぬ状態だ。お前の仕事は代表の伝言をあずかった一般会員から情報を受け取り、皇子に伝えることじゃ」
団体の代表と外部理事が接触できないなんて、何か陰謀のにおいがする。単なる学術団体ではないのだろうか?
(だが混乱に乗じてこそ、僕のような辺境の亜人族にも中央に上り詰めるチャンスがめぐってくるというもんだ)
素直にうなずくサムエレに、女は満足そうに言葉を続けた。
「そうして皇子の信頼を勝ち得、皇子が皇帝になったあかつきにはお前も侍従に昇格させてもらうのじゃ」
皇帝の侍従となった自分を想像して、サムエレは喜びに奮い立った。だが現皇帝はまだ働き盛りの壮年期で、病のうわさなど聞いたことはない。
「皇子殿下が皇帝に即位するのはずっと先でしょう」
女はククク、と忍び笑いをもらして声を低くした。
「この国ではクーデターが起こる。近いうちに現皇帝も皇后も第二皇子も全員いなくなるのさ」
「なっ」
とんでもない予言にサムエレの鼓動は早くなる。だが続きを聞く前に、教会のほうから先輩聖職者がやってきた。
「おいサムエレ、いつまで立ち話をしているんだ。怪しい魔法医など追い払って、さっさと仕事に戻れよ」
青年の服装から、彼が聖魔法教会の正式な聖職者だと分かったのだろう、年老いた魔法医が懇願した。
「わしは聖ラピースラ王国アルバ公爵家に仕える侍医、こちらは公爵家の令嬢クロリンダ様だ。第二皇子殿下に呼ばれて帝都を目指しているのじゃが、路銀が底をついてしまった」
「本当か?」
聖職者の青年は、貧しい旅人にしか見えない二人に、疑わしげな目を向けた。
クロリンダの姿をした女が、
「本当じゃ。ほれ、印章指輪を見よ」
白い指で胸の谷間からつまみ出したのは、細いチェーンを通した大きな指輪。
「うむ? 本物のようだが僕には分からん。司祭様のところへ案内しよう」
それから半刻近く経って――
サムエレは帝都に向かう旅支度を整えて、教会内に与えられていた自室から戻ってきた。
事務室で待っていた魔法医は、
「借用書を書いて路銀をお貸しいただくことになったのだよ」
と胸をなで下ろした。
「借用書の写しはアルバ公爵家に送っておきます」
聖職衣に身を包んだ会計係が、事務的な口調で告げる。公爵家が支払いを肩代わりするのだ。
「クロリンダ様がどこにいらっしゃるか分かって、ロジーナ夫人も安心するでしょう」
魔法医は人のよさそうな笑顔でうなずいている。
偽クロリンダにくっついて帝都に向かうことにしたサムエレは、
「司祭様、短い間でしたがお世話になりました」
丁寧に礼をした。
「サムエレよ、お前ならどこででもやっていけるはずじゃ。おごりたかぶらず、真摯に励めよ」
老司祭は、やるべき仕事を的確にこなすサムエレが教会から去ることを惜しんでいた。
(ふん、何がおごりたかぶらず、だ。安い賃金でこき使いやがって)
サムエレは内心、舌打ちしていた。こうして彼はまた欲に駆られて、真人間になるチャンスを逃したのだ。
カフェの店員に教えられた通り、帝都のメインストリートを進むと噴水のある広場に出た。
噴水を取り囲むように花壇が配置され、色とりどりの花が咲き乱れている。走り回って歓声を上げる子供たちを避けるように、荷車を引く商人が広場を横切り、修道服を着た男とすれ違う。
「月桂樹通りと言っていたか」
標識を確かめてから右の通りに入る。メインストリートと比べれば道幅は狭いものの多くの人が行き交い、にぎやかだ。
「二番目の通りを越えた先にある三階建ての屋敷――あれか」
目当ての建物の前に立っていた女がサムエレに気付くと、大股で歩いてきた。
「遅かったではないか」
話しかけられたものの、額に魔石を埋めたその中年の女には、まったく見覚えがない。
お前は誰だと問おうとしたサムエレは、ある可能性に気が付いた。
「お前は―― クロリンダ様の中にいた存在か?」
「そうだ。分かっているなら話が早い。今はこの者の口を借りて話しておる」
面妖な、とサムエレは胸の内でつぶやいた。
(他者を操る魔術など存在しないはずだ。)
ギフト<記憶>を持つサムエレは、頭の中で魔術書をめくる。
(催眠術か魔法薬なら可能かも知れないが、術師の姿が見当たらない。大体僕はクロリンダ嬢より先に第二皇子宮を出た。風纏颯迅で逃げた僕より早く、ここアカデミーに到着するのは不可能だ)
思考を巡らせたサムエレは、ひたと女を見据えた。
「一体お前は何者だ? 詮索するつもりはないが協力する以上、最低限は知っておきたい」
「高名な巫女、とでも言っておこう」
「人を操るのも予言も巫覡の力というわけか。それで僕はこれからどうしたらよいのでしょう?」
背の高いサムエレに見下ろされて、魔石を額に埋めた女は一瞬、鼻白んだ。
「計画がな、狂ったのじゃ」
面白くもなさそうに低くつぶやくのを見てサムエレは、
「あなたはクロリンダ嬢として第二皇子に会い、第一皇子への面会を取りつけてもらい、僕を護衛として伴い第一皇子と話すつもりだった。それが失敗したと」
滔々と並べ立てた。
(護衛として竜人族を連れていくなら、確かに怪しまれることはない。亜人族は人族より体力・魔力ともに優れていて護衛に最適だからな)
しかしその計画も、第二皇子がジュキエーレとレモネッラ嬢を呼んだことで、ぶち壊しの憂き目に遭ったのだが。
(なんでジュキエーレのやつはいつも僕の人生を邪魔するんだ! 抜けてるチビのくせに!)
サムエレはまた嫉妬にかられて、ギリッと歯噛みした。子供の頃から確実に自分のほうが勝っていると思ってきた相手に負けるのは、悔しくてたまらない。
「計画変更じゃ」
中年女は視点が定まらないまま、ぽつりと言った。
「もはやあの男が断罪されるのは止められぬ。それならおぬしには先回りして、あの男が入れられる修道院へ潜入してもらおう」
翌日、魔石救世アカデミーの一般会員である武器屋の倅が、今月の売上金をまとめて商人ギルドに預けようと道を歩いているとき、ふと意識を失った。
彼はそのままふらふらと、サムエレが泊まる宿屋へ向かった。
「この金貨を寄付して、サンロシェ修道院へすべり込むのだ」
あろうことか、ずっしりと重い革袋をまるまる手渡してしまった。
サムエレは宿屋を出て、帝都北西の海岸へ向かった。大きな湾の中に岩でできた小島が浮かんでいる。その岩肌にへばりつくように建つのが聖魔法教会サンロシェ男子修道院だった。
満潮時は陸地から隔絶されるその岩山を訪れるため、サムエレは船頭に銅貨を手渡した。
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