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第24話、放課後は生徒会活動だ!

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 田園の中に建つ魔道学院まで、遠く時の鐘のが届く。

「もう七つか……」

 新校舎敷地内を歩きながら、なにげなくつぶやいた俺の声に、

「えっ、もう!?」

 隣を歩く玲萌レモが驚いた顔をする。

「たしか生徒会のうちあわせ、七つからでしたよね」

 惠簾エレンの言葉に、

「え~、土蜘蛛についての古文書、調べたかったのにぃ!」

 頭に両手を当てる玲萌レモ

「ま、調べものは明日にするんだな」

 たしなめる俺。一方、惠簾エレンはきょとんとした顔で、

「もう倒しましたのに、なにを調べるのでしょうか?」

「だってまた復活するかもしれないんでしょ? ご神託によれば」

「あー、あれはきっとうちの父のいぼ痔の件でしょう。いぼ痔、いぼ痔!」

 しとやかな美少女がいぼ痔って単語ワード連発すんのやめてくれ。

 俺がちょっとがっかりしていると、夕露ユーロが足を止めた。

玲萌レモせんぱいたちは生徒会に行くんでしょ? じゃあわたしはこのへんで」

「ちょっと待った夕露ユーロ。あんたも生徒会の一員だから」

 歩きだしたところを玲萌レモにうしろ首つかまれて、

「えぇ~!?」

 夕露ユーロは驚きの声をあげた。――きっとこいつも俺同様、多数決要員として玲萌レモにつっこまれたから自覚がねぇんだな……



「遅いですよ!」

 引き戸をあけた瞬間、生徒会長である凪留ナギルの声が俺たちをむかえた。まっすぐ切りそろえた栗毛色の髪にメガネという、いかにもまじめそうな男である。が、メガネをとると美男イケメンだと下級生たちがさわいでいるらしい。くそくらえってんだ。

「うっさいわねー! こまこまこまこまとっ!」

 そっこー言い返す玲萌レモ。こいつら相性最悪だな……

凪留ナギルくん甘いもの食べて機嫌なおそ!」

 夕露ユーロが、惠簾エレンがぶるさげていた経木きょうぎの包みをしめす。俺はかついできた三味線を風呂敷ごと丁寧に、あいている机に置きながら、

「だんごでも買ってきたの?」

「はい」

 と答えたのは惠簾エレンだった。「たちばなさまが美しい歌声をお聞かせくださったお礼に―― あっ、もちろん玲萌レモさんの歌も元気でとってもかわいかったです!」

「やっ、どーも」

 玲萌レモはぱたぱたと手を振ってから、

「気ぃつかわなくていーのよ惠簾エレン。あたしだって樹葵ジュキの歌には感動したんだし」

 にっこりと笑う。惠簾エレンは安心したように、

「お二人へわたくしから感謝の気持ちです。あ、お支払いは夕露ユーロさんです」

 ん? それはどっちに礼を言うべきなんだ?

「わーいありがと、惠簾エレンちゃんも夕露ユーロも!」

 あ、ふたりに言うのな。玲萌レモさすが陽キャ。

「俺からも礼を言うよ。ありがとな、ふたりとも」

 俺が言い終わらぬうちに、

「みんなで食べながら話し合おっ!」

 玲萌レモがぱぱっとひもをとき、つつみをひらいた。上の段にはきな粉、下の段にはあんこをからめた団子が並んでいる。

「わたくし、お茶を入れてまいります」

 惠簾エレンが立って教室を出ていった。

「ところで」

 だんごに手もつけずに口をひらいたのは凪留ナギル。「なぜきみがいるんですか」

 と、真顔で俺を見た。そういえばこいつが満面の笑みを浮かべてるとこなんて見たことねーな。

「あはひが入えたにょよ」

 玲萌レモがだんごを頬張ったまま答える。「あたしが入れたのよ」ってか?

「副会長権限でね」

玲萌レモって副会長だったのか?」

 よくまあめんどくさそーな職につくよな、と思いつつ尋ねる俺。

「そうよ。会長選挙でこいつに負けてね」

 と、凪留ナギルをにらみつける。

 凪留ナギルは、フンと鼻息をはいて、

「多数決で有利になるようにと夕露ユーロくんやそこのたちばなくんなど、生徒会にふさわしくない人材を勧誘してくるきみに、会長職が務まるとは思えませんね」

「見る目がないわね、凪留ナギル夕露ユーロ大店おおだなの娘。資金力があるわ! 樹葵ジュキは無敵の魔力でもし今ここに異星人が攻めてきても勝利間違いなしよっ!」

 異星人て。玲萌レモ、変な貸し本ばかり読んでるな。

 凪留ナギルはこれ見よがしにため息をついて、

「その魔力で今朝、土蜘蛛の封印を破ってしまったと」

「よく知ってんな、あんた」

 驚いて思わず口をはさむ。

「午前の授業で瀬良師匠が話していたではないですか」

「あの授業、あんたいたの?」

「いましたよっ」

 口のまわりをきな粉だらけにした夕露ユーロが、

凪留ナギルせんぱい、寝てたんでしょ! 静かだったもん」

「きみと一緒にしないでくれっ。僕は静かに授業を――」

 怒りはじめた凪留ナギルが突然、口をつぐんだ。と思ったら、

「みなさま、お茶をどうぞ」

 惠簾エレンがお盆に五つ湯呑み茶碗を乗せて入ってきた。なーるほど。惠簾エレンの前では冷静な男でいたいのか。

「まずたちばなさま」

 と、しとやかなしぐさで急須から茶碗にお茶をそそいでくれる。「お熱いからお気をつけてくださいまし」

「あんただけ厨房に行かせて悪かったな。俺、気がかなくて」

「いいえそんなっ」

 少し頬を赤らめて首を振る惠簾エレンを、凪留ナギルが横目で見ているのに気付いて、俺は優越感にひたった。俺はお前より背は小せぇかもしれねえが、惠簾エレンは俺を見てくれるんだっ
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